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経営者の輪Vol.371 たつ吉 営業部マネージャーの神山輝充さん

経営者の輪Vol.371 たつ吉 営業部マネージャーの神山輝充さん

今回、お話を伺うのは、たつ吉 営業部マネージャーの神山輝充さん。小さいころから東京に強く憧れていたと言う神山さんが、地元のために恩返ししようと思うまでや、たつ吉のおいしさの秘密についてお尋ねしました。

プロフィール

神山 輝充(かみやま・てるみつ)さん

みどり市出身

伊勢崎市在住

陸上でオリンピックに出る計画

この看板がおいしさの目印デス! 

「前回、当店の小林(信子店長)がお世話になったので、経営者の輪については存じ上げています。顔写真は笑顔、ですよね」と頼もしい言葉で迎えてくれた神山さん。その通りです! ありがたや!

 

そんな神山さんのお生まれは旧勢多郡東村。小学校の時は同学年が20人、学校全体でも100人足らずというところだったそうです。

 

周りはよく知る顔ばかりで仲が良く、大好きな仲間たちとの遊び場は、自然あふれる河原や森でした。地元は嫌いではなかったものの、車がなければ買い物に行けない、ゲームセンターがない、街灯がないという環境は、テレビで見る都会への憧れを助長させました。「早く東京へ出たい」「スーツをビシッと着こなすビジネスマンになりたい」と考えていたそうです。

 

都会よりも夢中になるものができたのは、中学校に入ってから。陸上部に入部し、次第に記録が出始めるとさらなる高みを目指すようになったのです。

 

「陸上はある意味残酷なスポーツ」と神山さん。レース前からライバルたちの成績はおおよそわかっています。大会に合わせてコンディションを整えてくるので、本番でよほど大きなハプニングがない限り番狂わせはなく、今までの記録に近い結果になることが多いのだそう。それでもエントリーしたレースには出場しなければならない…。なるほど、残酷というの言葉の意味に納得です。

 

「でも、陸上には面白いことがある」とニコリ。それが、成長の度合いです。「成長」というと緩やかな右肩上がりのグラフをイメージしますが、神山さんが感じた陸上での成長は少し違うそう。

 

「たとえるなら階段。停滞していたものが、ある日突然、カコンと音を立てるように1段、2段と上がっていくのです」と神山さん。上がりも下がりもしないフラットに見えるときを、どれだけモチベーションを保ちながら耐えていけるか、が次のステップにつながるのですね。一気にポンと跳ね上がる感覚がやりがいにつながり、中学3年生時には走り幅跳びで群馬県2位、全国大会では16位にランクインしたのです。

 

「このころは、本気でオリンピック出場を目指していました」と振り返る神山さん。高校のインターハイ、大学のインカレで成績を残し、世界の舞台で戦う日を頭に描いていました。

 

プラン通り、卒業後は陸上に専念できる樹徳高校に進学。日々練習に励んでいました。ところが事態は急変します。1年生の冬、三段跳びの練習中、着地をしたときに右足に違和感を覚えるのです。十字靱帯断裂でした。痛めたのが利き足だったこともあり、心の中は大きな絶望感でいっぱいになりました。回復後、練習に戻りますが、納得のゆく走りは戻ってきませんでした。

 

それでも、陸上は継続。3年生になると、いくつもの大学から誘いの声がかかりました。かつて夢中になった「階段のように上がるような成長」を再び味わうことはないだろうと思った神山さんの中に、3年前に立てたプランはもうありませんでした。

 

そんな中、選んだのが新設校でまだ陸上部が存在していなかった高崎商科大学です。同じ学校で陸上に励んでいる友達や先輩がいれば、どうしても気になってしまう。陸上への思いを断ち切るための選択でした。

 

まわりの人たちに支えられて芽生えた地元愛

こどもとり弁は、子どもたちのおなかにジャストサイズ。育成会や運動会などのイベントにぴったり 

大学入学と同時に、学校の近くで一人暮らしを開始。小さい頃から洋服が好きだったことから、高崎にある古着屋さんでアルバイトを始めます。洋服の歴史やスタイルの意味など洋服の文化的な背景にも興味を持つようになり、楽しさは倍増。同店が伊勢崎店を出店する際は、オープニングスタッフとして立ち上げにも携わりました。

 

就職も好きな世界に行きたいとアパレル業界を志望。いくつかのアパレル会社から内定をもらったそうです。ある日、テレビをつけると「滅多に見ない」というNHKで、大手アパレルメーカーである株式会社ワールドの特集が流れていました。その中で当時の社長が「洋服屋では食べて行けないという認識を変える。希望するパート社員を社員に雇用する」と語るのを耳にするのです。このスピリットに共感した神山さんは早速、株式会社ワールドに応募。見事内定をもらい、就職が決まりました。

 

群馬県内を皮切りに4年間で6カ所の店舗に異動。スーパーバイザーとしてマネージメントも経験しました。このときに学んだのは、人との関わり。ヒントになったのはニーチェの「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」という名言です。

人によって異なる解釈にどうアプローチしていけばよいか? を考えて実行していたそう。「この時の経験は今でもずっと生き続けています」と話します。

 

順調に仕事を続けていた神山さんに、2011年、ある大きな出来事が起こります。当時、神山さんのお父さまは、水沼駅温泉センターを運営する会社を経営していました。その年の2月、テレビの取材が入ったことで同センターはさらに活気を増していました。今後さらに伸びが期待できるというまさにその時、東日本大震災が起こったのです。キャンセルが相次いで先の見通しが立たず、がっかりするお父さま。そんなお父さまを見て「親孝行をしたい」と思った神山さんは思い切ってワールドを退職。お父さまの会社に入社したのです。

 

そこからは、全国の旅行会社に営業をかけて回る日々が続きます。このとき改めて思い知らされたのが、草津と日光と言う2つの大きな観光地の圧倒的な存在感です。群馬から離れた関西や九州では、北関東の存在を正しく理解していない人もいましたが、草津と日光は良く知られた存在でした。

 

そこで、草津温泉、鬼怒川温泉の両担当者と一緒に営業に出かけ、次々と新規顧客を獲得。再び水沼駅温泉センターはV字回復を遂げるのです。

 

 

うまくいっていた矢先、起こったのがコロナの蔓延です。これにより今までの予約は全てキャンセル。営業をかけることもできず、ただただ時が過ぎるのを待つしかありませんでした。

 

そんな時、力になってくれたのが地元の人です。当時、年間でおさえていた3000キロにも及ぶお米は、大勢の人の協力のおかげで1週間間足らずで行き先が決まりました。お弁当の予約も入れてくれ「本当に助けられた」と話します。

 

これをきっかけに、今まで県外に向けていた目を県内へ、身近な人たちへ向けるようになった神山さん。地元、水沼をもりあげようと非営利団体を立ち上げました。マルシェを開いてキッチンカーを呼んだり、子どもたちに地元での思い出をプレゼントしようと「桐み(桐生市とみどり市の最初の文字を合わせて「きみ」)の夏」と題したイベントを開いたり。ながめ余興場を会場にダンスバトルやプロスケーターのデモンストレーションを実施したりもしたそうです。多くの子どもたちとその子どもたちを取り囲む大人たちみんなに笑顔が戻ってきました。

 

その後、どうにか水沼駅温泉センターの営業を続けていた矢先のこと。パイプや設備の劣化で、修繕が必要なことがわかります。見積もりはとても現実的な数字とは思えないものでした。一か所直しても、翌年には別の場所を直さなければならない。まるで修繕費のために営業をするようなことになってしまいます。このような状態を続けていけるのか?自問自答したとき、その答えはNO。神山さんとお父さまが閉館を決めた瞬間でした。

社長の心意気に賛同、新たな道へ

たつ吉カーと一緒に笑顔の神山さん 
横から見るとこんな感じ。クラシカルな雰囲気がオシャレ 

その後、今までお世話になった人たちへの挨拶回りを始めた神山さん。「振り返ると自分はいつも好きなことをやってきたことに気づいた」と言います。次もまた好きなことを、と思うものの、当時の神山さんには「好きなこと」を思い浮かべることができなくなっていました。それでも会社を自らの意思で終わりにした神山さんには、さまざまな方面から誘いの声がかかりました。その一人が、たつ吉の社長です。

 

「人気店を越えたい」と熱く話すのを聞き、心に火がつきました。本気でトップの座を目指そう、とたつ吉への入社を決心したのです。2023年10月のことです。

 

神山さんは、今までの経験を生かして県外営業を展開。知人たちからイベントへの出店も打診され、マルシェやお祭りにも出店するなど、たつ吉として初めての挑戦に乗り出したのです。

 

うなぎ店から始まった同店。お持ち帰り専門店の一番人気は「とり重弁当」です。うなぎのタレをつけて香ばしく焼いた厚みのある鶏肉と、ふっくらとたき上げたタレのしみたご飯が絶品。ジューシーなもも肉と、あっさりした味わいの胸肉を選ぶことができます。鶏肉もお米も国産で、子どもから高齢者まで安心していただけます。パッケージにもこだわっており、あったかさが長持ちするのもうれしいところ。コンパクトな子ども用サイズもあるので、育成会やスポーツイベントにもぴったりです。「これからは、寿店がある伊勢崎や、近隣の前橋・高崎にもファンを広げていきたい」と意欲を燃やします。

 

ご覧のようにオシャレで可愛らしい「たつ吉」カーを見たら、運転席をのぞいてみましょう。楽しそうな神山さんの姿が見られるはずです。

企業情報

画像1 

たつ吉 伊勢崎寿店

 

◆住所/伊勢崎市寿町132-1

◆TEL/0270-27-4058

◆設立/1949年8月

◆営業時間/11:00〜20:00

◆休日/火曜

◆業務内容/お弁当販売


たつ吉 ホームページはこちら 

たつ吉伊勢崎寿店はこちら 


取材日 2024年10月



応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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