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まちおしAWARD at 伊勢崎 佳作

【佳作】星野 瑞季さん

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伊勢崎生まれ、伊勢崎育ち。
大学を卒業後、市内の学校の相談室に勤務。その後、伊勢崎の不登校児支援に従事。
人生のほとんどの時間を伊勢崎で過ごす。
現在、8歳のアイドル好き女子、6歳のあざと男子を子育て中。

 

まち×ハンドメイド〜人と人とを笑顔で繋ぐ小さなショッピングモール〜

星野 瑞季

 一歩店内に足を踏み入れると、色とりどりのハンドメイド作品たちが迎えてくれる。壁いっぱいに設置されたカラーボックスには、作家たちの個性が詰まった作品が並び、それらがひとつひとつの棚の中に異なる世界を創り上げる。
 伊勢崎市宮子町にある「ハンドメイドハウスマルシェ」は、ハンドメイド作品の委託販売を行うお店である。バッグやポーチなどの布小物をはじめ、UVレジンアクセサリー、ビーズ、編み物、リボン、さらには手作りのクレヨンまで、約百個の棚には、全国八十名以上の作家の作る多彩なジャンルのハンドメイド作品が揃っている。
 「ここでは、作家さんの“お店”を預かっているんです」と語るのは、店長の圭子さん。彼女自身もハンドメイド作家であり、コロナ禍で販売の機会を失った仲間たちの声を聞き、「それならば私が」とこのお店を立ち上げた。店内の温かい雰囲気には、彼女のそんな思いが滲み出ている。
 店内には、全国各地の作家たちが自分の世界を表現した棚が並び、それぞれが独自のテーマを持つお店なのだという。動物のあみぐるみが整列した店の隣には、きれいなネイルショップ。リボンの髪ゴム屋さんの上には、パワーストーンを使ったアクセサリーショップ。ジャンルもテイストも違う。棚ごとに異なる作家の世界が広がる店内は、まるで小さなショッピングモールのようだ。
 店内では、ハンドメイド作品だけでなく手芸の資材や懐かしい駄菓子も販売しており、訪れるたびに新しい発見があるのが魅力。どの棚にどんな作品が並んでいるのか、お客様は宝探しを楽しみながら買い物をしている。
 「子どもも大人も親子も楽しめる店」というコンセプトを掲げるこのお店は、週末になると家族連れが多く訪れる。昨年から始めた駄菓子販売は、親がじっくり作品を選んでいる間に、子どもが飽きずに過ごせると好評だ。「実は、何も買わないと後ろめたく感じる方が、駄菓子を買うことで気軽に店を出られるようにという配慮でもあるんです」と店長はおちゃめに笑う。誰にとっても気軽に立ち寄れる場所でありたいという店長の思いが、多くの家族の笑顔を生んでいる。
 お店のコンセプトもあり、お客様の約3割が子どもたち。これには、駄菓子だけでなく商品の価格帯も影響している。ハンドメイド作品というと高額なイメージを持たれることも少なくないが、ここでは手に取りやすい価格設定を大切にしている。たとえば、アクセサリーや布小物は数百円から購入可能で、親子連れや若い世代にも気軽に手に取ってもらえる工夫がなされている。この価格設定は、ハンドメイドに初めて触れる人の入り口としても最適だ。特に小学生の女の子たちにとっては、自分のお小遣いで世界に一つだけの特別なプレゼントが買える場所であり、友達同士でプレゼントを選びに来る姿も多く見られる。彼女たちは、自分が選んだプレゼントを贈ることでまた新たな繋がりを作り、その後プレゼントをもらった子どもたちが、今度は自分も買いに来たよ!と言って訪れるようになる。そうした口コミでどんどん小さなお客様が増えている。
 また、お店が提供する資材の中には、百円均一店よりも安く購入できるものも多くある。子どもたちは、ここで資材を買って自分でハンドメイドを楽しむことができ、作品を作り「見て見て!」とお店に持ってくることもよくあるという。その光景がお店の温かい雰囲気を作り上げている。
 さらに、このお店には8歳から14歳までの3人のキッズ作家が契約しており、彼女たちの作品が店内で販売されている。お店の中で子どもたちの作品が並ぶ光景は、まさにこのお店の「家族で楽しめる」コンセプトを象徴するものとなっている。キッズ作家たちは、他の作家たちからの刺激を受けて着実に成長しており、その作品のクオリティはどんどん向上している。店長は、「(キッズ作家に限らず)成長する作家の姿を見ることが、何よりも楽しい」と語り、その過程をお客様と一緒に楽しんでいる。
 「ハンドメイドを通して、皆が笑顔になれるような場を提供したい」と店長は熱い思いを語る。ここは、単なる商品を買う場所ではなく、作り手とお客様が笑顔で繋がるところ。作家たちが作品を通して夢を語り、買い手がその想いを受け取る。このシンプルで温かな循環こそが、このお店の本質である。
 このお店は、これからも作り手と買い手の架け橋として地域に根付いていくことだろう。そこには、ハンドメイドが紡ぐ無数の笑顔と、未来への希望が溢れている。
 ハウスメーカーのモデルハウスを改装したという店内は、外からの視界が限られるため、初めて訪れる人には少し敷居が高く感じられるかもしれない。しかし、ぜひ入ってみてほしい。扉を開ければ、そこには作家たちの想いがぎゅっと詰まった世界が広がっている。
 もし店内の作品にご縁がなかったとしても大丈夫。「そんな時のために、駄菓子もご用意していますよ」。

※コラムの著作権は、すべて執筆者に帰属しています。無断での転載、使用はご遠慮ください。


 

○本記事:まちおしAWARD at 伊勢崎

 

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