北爪　章子

　コミュニティバス「あおぞら」に乗ったことはありますか？
　料金は一日２００円。ルートの数は12。伊勢崎市の端から端まで、縦横無尽に走っているバスなんです。
　バス？　そんなの乗ったことあるよ、コニュニティバスってやつじゃないけどね。という方、ちょっと待った。
　一度「あおぞら」に乗ってみてください。あなたの知っているバスとは一味違う、なかなか素敵なバスだから。

　例えば。
　スマーク伊勢崎から伊勢崎駅まで、自家用車では13分で普通のバスなら15分。
　では「あおそら」だと何分かかるでしょう？
　答えは28分。普通のバスの約二倍くらいの時間ですよね。
　ずいぶんと時間がかかるね、と言うのはまだ早い。じゃあ逆に、スマーク伊勢崎へ行くのに何分かかると思いますか？
　そりゃあ28分でしょ、と思うのは「あおぞら」のことを知らなすぎ。
　答えはなんと55分！
　そう、「あおそら」が普通のバスと一番違うのは、ルートが一方通行と決まっているところ。いくら直線距離で近くても、ぐるりと回ってからでないとたどりつくことは出来ないのです。

　乗車運賃が安くたって、そんな時間がかかるのならば意味ないじゃないか。
　それはそうかもしれません、効率を考えればありえないのかもしれません。
　けれど。
　やることのない一日があるのならば。知らない町の風景を見てみたいのならば。「あおぞら」に乗ってみるのはいかかでしょう。
　目的地なんて、どこでもいい。路線図をざっと見て、気になる所や行ったことのない場所を選べばいい。適当に決めたら、まずは「あおぞら」の起点となる伊勢崎駅に行ってみよう。バス停は５番。青くて小さな「あおぞら」バスに乗り込もう。

　乗ればすぐに気付くはず、「あおぞら」は最短距離を進まない。
　あっちへ行ったりこっちへ行ったり。ぐるりと回って５分前に通った交差点に戻ってきたり。一筆書きのブドウのように、いろんなところへ寄り道したり。クリニックに寄るためだけに東に行ったり、病院のエントランスに横付けしたり。

　ぐるぐるゆるゆる。
　ぼんやり町並みを眺めながら、たっぷり時間をかけて、ようやく目的地に到着！
　次のバスは２時間後。用事を済ませて周りを散歩して。まだまだ時間あまるのならば、別のバス停まで歩いてもいい。
　伊勢崎駅に戻ってきても、今日の冒険は終わらない。だって「あおぞら」は一日何度でも、乗ったり降りたりできるから。

　今度はどこへ行こうかな？
　いこいの森公園ってどんなだったっけ。
　桐生のカリビアンビーチにも行けるんだ。
　五目牛って地名格好いいよね、言い伝えとかありそう。
　宮子町あたりっていっぱいお店あって楽しいね。
　柴宿本陣ってなんだろう？
　川向うの嶋村蚕のふるさと公園まで行けちゃうんだ。
　久しぶりに境トレセンで馬を見て癒されようかな。

　知っているようで知らない地元。
　百円玉２つを握りしめて。
　今日一日、見たことのないあなたの町を「あおぞら」で巡ってみませんか。

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○本記事：まちおしAWARD at 伊勢崎

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