季節にちなむ2つの展示を開催中
冬本番!日本の風習に親しもう

太陽の復活再生を願う

 伊勢崎市赤堀歴史民俗資料館では、ミニ展示「冬至トウナス晦日そば」と「あったか民具展」を開催中です。現在の暦では、12月22日頃にやってくる冬至。同館では、そのはじまりと風習について展示と解説、また寒い冬にホッとする民具を見ることが出来ます。

 ◆ミニ展示「冬至トウナス晦日そば」12月27日まで 1階ホール
 ◆「あったか民具展」12月31日まで 2階展示室


 冬至は、中国から来た二十四節気の中の1つ。太陽暦では、12月22日頃にあたります。
この日の正午における太陽の高度は北半球ではもっとも低く、昼の長さが一番短く、夜の長さが一番長くなります。その日を境に少しずつ昼が長くなっていきますね。

 古代では、冬至の前10日間が太陽の力が弱っている時期であり、そのピークが冬至であると古代人は考え、昼が一番短いのもその為だと考えていたようです。そこで太陽の復活再生を願い、黄色い柚子や金柑などは、太陽の輝き、金の輝きに通じると考えられ、太陽に似た丸い金色の果物を用いたようです。
 冬至の寒い夜には柚子風呂。展示されている本物の柚子の香りとかわいいだるま風呂が季節感たっぷりで温かいお風呂が恋しくなります。柚子(ゆず)には「融通がきく」の語呂合わせから、「柚子を食べるとお金に不自由しない」といい、東毛地方にはこの日に柚子の味噌漬けを作る地方もあるそうですよ。

また、昔は冬に収穫できる野菜が不足しました。そのため夏に取れ保存が利く緑黄食野菜のかぼちゃ(トウナス)をこの頃まで保存し、食べることでビタミン不足を補っていたそうです。そこから、かぼちゃを食べると風邪を引かない、中気(脳卒中)にならないとされ、風習となったようです。同館では丸ごとのかぼちゃや、煮付けたほっくり甘いかぼちゃ料理のミニチュア展示がされ、冬至の雰囲気を伝えています。
ミニ展示では「冬至」や間近の年越しに関する「晦日そば」など、季節に合った風習の解説も用意され、私たちの暮らしの身近な風習を改めて理解できます。同展は12月27日まで。ぜひご家族でお出かけ下さい。

季節の風景を1つ1つ手作りで

 これらの季節に合わせたミニ展示のほかにも、玄関スペースに飾られた可愛い動物たちの展示があるのをご存知ですか?今年の5月には鯉のぼりとたわむれ、夏はすいかをほおばり、今の季節はこたつでのんびりしている牛クンのお人形たちです。

 これら全ての展示物は、同館に勤務している今泉さんと小金澤さんの手作りのもの。
かつて赤堀町であった頃、今泉さんは発掘した土器などの修復に携わっていた経験を活かし、今は紙粘土を使って干支にちなんだ動物たちを製作しています。また展示の解説につかったパネルなども再利用して、周囲の道具を手作りされているそう。
 また、小金澤さんはちりめん細工やお裁縫を得意とし、動物達の衣装や小道具など布を使うもの全般を細かく繊細な雰囲気で作り出しているそう。それらお二人の手作りの作品が同館のミニ展示などを盛り上げているのです。
 新年に向け、トラのお人形を製作中の今泉さんにお話をうかがうと、
 「展示に使ったパネルなども取って置いて、再利用しています。干支にちなんだお人形と小金澤さんの作る衣装などがマッチし、同館を訪れる方に季節感を味わい、楽しんでいただければと思っています。」と語ってくれました。

 記者も年に何度ども同館を訪れますが、季節ごとに変わる可愛いくユーモラスな展示をいつも楽しみにしています。一つ一つ手作りで作られるこれらの風景。日本の古き良き姿が描かれ、大人には懐かしく、今の子供たちには昔をイメージできる展示となっています。同館にお出かけの際にはぜひ、かわいい動物たちや繊細な手作りの作品もお楽しみ下さい。

「あったか民具展」も開催中

 同館では、恒例の「あったか民具展」も開催中です。あんか、湯たんぽ、こたつなど、かつての日本の冬には欠かせない道具たちが約30点展示されています。これらの道具は実際に使用されていたもので、中には伊勢崎市の映画館オリオン座で使用されていたアンカや携帯カイロのはじまりとされる石?も展示しています。はてさて、この小石をどんな風に使ったのでしょう???  電気もガスもない時代の昔の人の知恵も感じられますよ。こちらの展示は12月31日まで。ぜひ2階の展示室をご覧下さい。


取材日:2009年12月12日/アイマップfuru

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