4月15日〜25日まで、
伊勢崎市役所東館1階にて群馬県ふるさと伝統工芸士
伊勢崎括り絣「齋藤定夫 展」が開催されています。
※括り絣(くくりがすり)以下省略
「群馬県ふるさと伝統工芸品」に、本年一月
新たに「伊勢崎括り絣」が指定されたことを記念し
齋藤定夫さんのご紹介、手がけた作品・弟子の作品10点の展示が行われております。
日替わりで以下の行程を体験することができます。
・機織り(はたおり)
・種糸(たねいと)
・括り(くくり)
・捺染(なっせん)
【齋藤定夫さんプロフィール】
1943年、伊勢崎の機屋に生まれる。
14歳頃から家業を手伝うようになり、23歳で伊勢崎絣の職人として独立。
従来、「分業制」であった伊勢崎絣の生産工程の全てを自ら行うようになり、「括り絣」や「板締め絣」の技法で糸を染め分け、手織りならではの技術で繊細な織物の意匠を追求している。
「伊勢崎絣」を継承する存在として、メディアにも多数取り上げられている。
2015年には、文化振興への功績が認められて県文化奨励賞を授与。
2021年12月、群馬県立日本絹の里 にて
特別展「伊勢崎に機の音を鳴らし続ける 齋藤定夫展」が開催。
2024年1月、群馬県ふるさと工芸品に「伊勢崎括り絣」が指定され、群馬県ふるさと伝統工芸士として認定。
「独自の作品」の追求と挑戦をしながら、
新しい担い手を育てる為に多くの生徒への技術指導・後継者育成を行なっている。
布を織る前に糸を染める「伊勢崎絣」の「6つの技法」のうちの一つ。たて糸とよこ糸をひもで縛り染め分け、織る時に模様を合わせる。
「括り絣」特に総柄のものは、絣縛りや機巻きも
“高度の熟練者”でなければ作れない特殊技術品である。
【伊勢崎括り絣の特徴】
1890年代に確立された技術・技法であり、伊勢崎地域で製作されている。伊勢崎絣には「先染め」「平織り」「絹糸」という特徴があるが、このうち染色の工程において「括り染め」という技法を用いていることが特色である。
「括り染め」とは、原料糸のうち染色しない箇所をテープ等で縛り、染料につける染色手法。
主原材料の絹紡糸や正絹は全て県産品を使用し、精錬から製織までの11もの工程のうち、ほとんど全てを「手作業」で行っている。
【齋藤定夫さんの作品について】
生地には光沢があり、肌触りは滑らか。
多種多様な太さや本数の糸を用い、製造者の卓越した染色と織りの技術から生み出される高度で複雑な柄をとおして、既存の枠にとらわれない独特の風合いを感じられる作品に仕上がっている。
※ 参考:群馬県ホームページ
従来は糸染め、括り、機織りなど、作業工程ごとに分業していた伊勢崎絣。一工程でも抜け、途絶えると反物として完成させることは不可能。
齋藤さんは、時代の移り変わりとともに職人が減り、技術が途絶えることへの危機感を感じたこともあり
伝統工芸技術を守るためにすべての工程を一人で手がけるようになったそう。
現在、伊勢崎絣の全行程を扱えるのは、齋藤さん“ただ一人”です。
齋藤さんの作品は、日本らしい、粋で絶妙な配色、上品で優しく、柔らかなグラデーション。
細部へのこだわり、さりげない中にも動きを付けた意匠、少しのズレもない美しく巧妙な技術、生地としての強さ、
齋藤さんが追求されてこられた“糸の道”の全てが網羅されています。
息を呑むような素晴らしい作品は、見ていると時が経つのも忘れてしまいます。
近距離で観察するのも良いですが、
作品の前に椅子を置き、少し距離を取り
時間を忘れてゆっくりじっくりと鑑賞したくなります。
齋藤さんが紡いでこられたこられた“糸の道”
決して楽しいことばかりではなかったはず。
作品を目の前にすると、簡単に言葉では表せません。
「時代の流れと共に、織物産業は衰退していったが“自分の作品”を作ることを追求してきた」
「織物は、糸と向き合い続ける糸の道」
とお話しされていた事が強く印象に残っています。
伊勢崎を作ってきた産業の一つである「伊勢崎絣」
作品に触れる、技術者・作り手から学ぶ、本物の体験ができる場所は限られており、大変貴重かと思います。
ぜひこの機会に、本企画展や
齋藤定夫さんの工房へも足を運んでみてください♪
かすり工房さいとう
住所/群馬県伊勢崎市今泉町1-1393-3
電話番号/0270-25-1148
「伊勢崎括り絣」作品・全行程の見学可能
※ 電話にて事前予約
※ 購入可能
群馬県ふるさと伝統工芸士会
→伊勢崎括り絣
伊勢崎銘仙アーカイブス
→齋藤定夫物語
→技法シリーズ?括り絣
日本絹の里
「伊勢崎で機の音を鳴らし続ける」齋藤定夫 展
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■取材:2024年4月 阿部