伊勢崎市赤堀歴史民俗資料館では 「いせさき・発掘・2008」と題し、遺跡発掘速報展が(9月20日(土)〜11月16日(日)まで)開催されています。
伊勢崎市内の区画整理事業や住宅、道路、施設建設などを行うと遺跡が発見されます。毎年、市内各地のそれらの遺跡調査が行われています。今回は2007年度に発見された土器、埴輪の資料や発掘の様子などをまとめた調査資料に基づき、市民に展示報告されています。
昨年度、市内で行われた発掘調査は13遺跡。なかでも今回の特筆すべきものは2つあります。
まずは釜ノ口(かまのくち)遺跡。この遺跡は、分譲住宅造成に伴い発掘調査が行われました。調査では古墳時代後期(約1,500年前)の古墳2基が確認されました。2基の古墳の高まりは削平されていたため、古墳の周りに掘られた堀のみが見つかりました。この堀からは本来墳丘に置かれていて転落した埴輪が多量に発見され、それらの埴輪の多くは円筒埴輪という筒状の埴輪でした。しかし、4号墳からは馬形埴輪の破片がいくつも見つかり、以前にも発見された破片と今回の破片を接合し、馬方埴輪が完全な形に復元されています。
次に上げるのは上渕名(かみふちな)遺跡。こちらは老人福祉施設建設に伴い発掘調査が行われました。調査では、古墳時代〜古代(約1,400年〜950年前)の竪穴式住居跡を合計74軒を確認。これら住居跡から、生活道具として使用されていた土器もたくさん見つかりました。また、「八稜鏡」(はちりょうきょう)とよばれる銅製の鏡が出土。この鏡は生活用具ではなく、祭祀用具として使用されたと考えられ、貴重な発見となったそうです。
その他の遺跡も貴重な資料がたくさん展示されていました。記者が特に気になったのは、ベンガラという顔料です。これは下谷(したや)古墳群(約1500年前)という古墳が密集する場所の1号古墳の堀底で蓋をした須恵器の中から見つかったそうです。ベンガラは酸化鉄を成分とする赤い顔料で、かつて赤い色は魔除け、厄除け、再生などの意味ある色と考えられ、石櫃の中、土器、馬具の一部や、祭祀の際に人の顔に塗るなどしていたそうです。それがこの古墳の堀底から見つかったということは古墳に埋葬された人物を護るために用いられたと考えられるようです。
今の時代でも建物や手作り化粧品などで赤い色を出す時に用いられるというベンガラ。当時のものと品質は異なるでしょうが、古墳時代の人々も今の私たちも「赤い色を顔に塗ってお化粧する」という行為は、意味合いは違っても昔からあったということに不思議な気がしませんか?
その他にも興味深い発掘資料がたくさん展示されています。また展示品の解説会も予定されていますよ。面白そうだなと感じた方、ぜひご覧になってください。
伊勢崎市赤掘歴史民俗資料館
取材日:2008年10月3日/アイマップfuru