「経営者の輪」104回目にお迎えするのは、群馬伊勢崎商工会青年部に所属する群馬伊勢崎商工会青年部に所属する牧野不動産管理事務所の牧野直記さんです。
牧野 直記(まきの なおき)さん。昭和48年3月30日。 伊勢崎市田部井町(旧東村)出身・在住。2代目の登場が続いた「経営者の輪」ですが、今回、お迎えする牧野さんは創業者。一度は「2代目」の道を目指した牧野さんが起業を志すまでや、現職の魅力について伺いました。
庭先に鶏と猫が同居するなんともほのぼのとした環境に牧野不動産管理事務所はあります。その創業者が、今回ご紹介する牧野直記さん。キラキラした瞳が印象的な経営者です。 鉄鋼業を営むお父さまの長男として誕生した牧野さんは、その跡を継ぐつもりで高校卒業後、埼玉県にある工業専門学校に入学します。卒業を間近に控えたとき、弟さんも同じようにお父さまの会社で働く意思があることを知った牧野さんは、兄弟は別の道を進んだ方がよいのでは? と考えて進路を変更。前から興味のあった法律を学ぶため、法律専門学校に入学を決めました。 法律への興味を抱くきっかけとなったのは、ガソリンスタンドでのアルバイトでした。 「お客さまでとても知的でオーラのある方がいたんです。話をする機会があったので職業を尋ねたら『不動産業』、と。どうしたら不動産業につくことができるのか、と聞いたら、宅建の免許が必要だという。それならば、法律だ、と」とにこやかに話す牧野さん。アルバイト先もガソリンスタンドから司法書士事務所に移し、夜は法律専門学校に通う、という忙しい毎日が始まりました。
昼は仕事、夜は学校、とハードな毎日。その上、牧野さんが通っていた専門学校は、並行して中央大学法学部の単位も取得できるため、それに必要なスクーリングにも毎年通わなければなりません。さぞや大変だったのでは? と思いきや「最高に充実した時期でした」と牧野さん。当時の学友は、牧野さんと同じように仕事を持っている人がほとんど。「公務員や弁護士の卵など、職種もいろいろ、年齢もさまざま。今までの交友関係とは違った幅広い仲間ができました」と話します。1年に1ヵ月間の割合であった中央大学でのスクーリングには、仲間数人とアパートを借りて通学。「昼はスクーリングで、夜は宴会で交友の輪を広げました」と笑う牧野さん。そのときの輪は今でも切れることなくつながっていて、それが仕事にも人生にも大いに役立っていると言います。 専門学校と同時に大学を卒業した牧野さんは、引き続きお世話になった司法書士事務所に勤務。その傍ら、勉強を重ねて宅建の資格を取得します。そうこうしているうちに、ムクムクと湧き上がったかねてからの夢、不動産業者としての独立。不況の波が押し寄せる中「時期が良くない」「まだ若すぎる」など、周囲の人からは猛反対を受けたそうです。そんな中、賛成してくれたのは、お父さまと司法書士事務所の先生のただ2人。しかし、尊敬する2人の賛成は、とてつもなく大きな力で牧野さんの背中を押してくれました。「ベテランもぺーぺーも責任は一緒」。そのときに司法書士事務所の先生が送ってくれた言葉は、今でも深く心に残っている、と牧野さんは話します。
牧野さんが独立を果たしたのは、27歳のとき。ツテもない、土地もないところからスタートさせた不動産業。「とにかく挨拶回りをしなければ」と、牧野さんが用意したのは2000本の名入れタオルと自分の名刺数千枚。それがたった1週間でなくなってしまうほど、精力的に挨拶回りをこなしました。しかし、それで仕事が舞い込んでくるほど甘い世界ではありません。3カ月たっても半年たっても仕事はなし。1年近くたってようやく声がかかります。声の主は、以前、アルバイトをしていたガソリンスタンドの社長。「土地のことで相談したいという知りあいがいるから行ってやってくれないか」というものでした。話を聞いてみると、単純な売却ではなく法律が絡むなかなか難しい問題を抱えた土地でしたが、そこは司法書士事務所に勤めていたときの知識で上手に対処。終わってみれば、牧野さんの最初の仕事は700坪もの広大な土地を分譲し、わずか1年足らずで完売する、という業界から見てもダイナミックでスピード感あふれるものでした。 それがきっかけとなって、仕事が次々と入ってくるように。「紹介で仕事がつながる、これは仕事を続ける上で何よりの喜びです」。牧野さんは、現職の醍醐味を語ります。
土地を購入し、許可申請を出して造成し、住宅地として販売。それが、牧野さんが最初に設立した不動産管理事務所の大きな仕事の流れ。この流れを引き継ぐように建設に携わるのが、2年前に設立した「株式会社住まいるサポート牧野」です。これで、土地の販売から融資、プランニング、建設、登記まで一貫して行うという牧野さんの知識の集大成ともいえる体制を整備。建てる側にとっても、安心できる仕組みです。そしてうれしいもうひとつの特徴は、予算に応じた完全自由設計である点。ご家族のライフスタイルや好みに応じたオーダーメイドの家が建てられるのです。しかも「宣伝、広告、営業などの経費がかからないから無駄がない。それは料金にもダイレクトに反映します」とのこと! 牧野さんにとっても、土地を建てたあとまで、いいえ、そこから新しくお付き合いが続けられることは大きな喜びとなっています。 実際に不動産の売買を経験した人でないとピンとこないかもしれませんが、取引の際には「重要事項説明書」という大切な書類があります。これは、宅地・建物の売買契約を行う場合、物件と取引についての重要事項の説明が必要になるもので、登記のことや土地・建物の規制のこと、水道・ガスなどのライフラインのことや取引金額など、とても重要なことばかりが記載された書類。中には聞きなれない言葉も多く、納得するのは難しそうですが、牧野さんの説明は同業者の間でも評判になるほどわかりやすく丁寧です。 「この説明書をどれだけ自信を持って説明できるか? それが不動産業の一番大切なことなんです」と牧野さんは力強く話します。「でも、それは…」と照れくさそうに肩をすくめる牧野さん。「こうなるまでに失敗もありました。その失敗があったからこそ、自信を持って説明できる『重要事項説明書』の大切さに気づいたんです」。失敗=悪いことではない、と言う牧野さんらしいエピソードです。
「将来の展望とか目標とかってないんです」と話す牧野さん。それは決して夢がないのではなく、「今」この瞬間に感謝し、今を迎えられることにただ満足している証です。未来は今の積み重ね。大切に生きる「今」が重なりあい、感謝の瞬間が積み重なれば、未来もおのずと見えてきます。 必要以上の多くを求めず、今一番優先しなければいけないことを大切にする牧野さん。時間とのつながり、人とのつながりを大切に、日々、丁寧に生きる牧野さん。キラキラ輝く瞳は、そんな牧野さんの姿のあらわれなのかもしれません。
牧野不動産管理事務所・株式会社住まいるサポート牧野 ◆住所:群馬県伊勢崎市田部井町三丁目2402番地 取材日 平成21年3月
◆TEL:0270-20-2809
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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