今回ご紹介するのは、伊勢崎市長沼町にある「島田工業」の島田渉さん。現在は、同社の常務取締役として采配をふるっています。
島田 渉(しまだ わたる)さん 昭和48年6月24日。 伊勢崎市馬見塚町出身、伊勢崎市馬見塚町在住。 島田さんは、長沼町にある島田工業株式会社の常務取締役。ご本人曰く「天の邪鬼的性格」。それゆえ、生まれた逸話も多いようで…。独特の風貌からは結びつきがたい(?)堅実ぶり、「遠回りした経験」から得たことなどをうかがいました。
島田さんと「島田工業」さんは、同じ年。島田さんが誕生したその年にトラックの運転手をなさっていたお父さまが立ち上げたのが、島田工業でした。幼い頃、お父さまの運転する車の助手席に乗り、納品に行ったときの記憶が、島田さんには今もハッキリ残っていると言います。「あの頃から、自分がこの会社を継ぐって言っていたらしいですね。自分では言った覚えがないけれど」島田さんは照れくさそうに話します。
物心ついた頃、好きだったのは「仮面ライダー」と「チャンバラ」。そんなに好きなのならば、と勧められて小学校時代の6年間は剣道の道場に通い、全国大会への出場も経験しました。
進学しても剣道を続けるだろうという周囲の期待を見事に裏切って(?)、バレーボール部に入部。「天の邪鬼だから、周りの期待とは違うことをしたくなっちゃうんだよね」とひょうひょうと答える島田さん。しかし、その実力はかなりのもので、中学時代にも全国大会に出場。それも学校のチームとしての出場ではなく、所属する中学からは島田さんただ1人、群馬県選抜チームのメンバーに選ばれたというから相当なものです。
島田さんの「天の邪鬼」性格は、成人してからも続きます。情報処理の専門学校時代、就職先を考えるとき望んだのは「親の息のかからない領域」。お父さまが携わる製造業とは全く異なるフィールドを、と選んだのは建設業関連の営業職でした。 「手伝えって言われたって、こっちは昼間仕事があるしねぇ。とりあえず、会社が休みの土日に手伝っていました」(島田さん) ところが、島田さんの考えとは別にウワサがひとり歩きを始めます。 「年内で今の仕事を辞めるって話が広がり始めて。『せめて1年間は勤めさせてほしい』と、3月15日まで会社勤めをしました」(島田さん) 3月15日の深夜までご自身の送別会に参加、翌朝4時には仕入れのため、東京に向かってトラックを走らせていたそうです(念のため申し上げますが、島田さんはお酒が飲めませんので飲酒運転ではありません)。 このときに持たされたのは市場までの地図だけ、という冗談のようなホントの話。 「花の買い方はおろか名前も分からない。バラくらいは知っているけど、バラにもいろいろ種類がある。仕入れ数も分からないしね。10本? 少なすぎるだろう、とかね。ホント、参りました」と当時を振り返って苦笑します。 何も知らないで始めた、というものの、3年目には経営は黒字に! 店舗数も3店になりました。「振り返れば、花屋での経験が今の土台を築いている」島田さんは言い切ります。収支のこと、人材管理のこと。経営のノウハウの基礎を実践で学んだ貴重な経験だったのです。
転機が訪れたのは、社会人1年目の9月。「来月から花屋を始めるから、手伝ってほしい」というお父さまのひと言でした。
その後、今の職場に移った島田さん。入社して半年間は、誰も島田さんに仕事を言いつけなかったそうです。 「仮にも社長の息子でしょう? そりゃ、まわりはやりにくいよね」と笑う島田さん。その半年間は、社会人になって初めて得た「自由な時間」を活用できた時期だったと言います。購入してはいたものの触ることのなかったパソコンを会社に持参。ソフトのマニュアル本を開きながら、会社に必要と思われる「発注書」などのビジネスフォームを整えていきました。バブルという時代も手伝って、がむしゃらに進んでいた会社という船が、島田さんの当を得た提案によって少しずつ確かな航路を進み始めたのです。 お父さまお一人で始めた会社は、40年足らずで今や社員100人を抱える大所帯に発展。その要因を「頼まれたら断らない。すぐに対応する、それを繰り返してきた結果かな」と島田さんは話します。 「今後も、大きなことを考える前に足元をしっかり固めたい。経営的に内容の良い会社にしていけたらいいな、と思います」(島田さん)。
島田さんが、常に心がけていたのは「自分が動く」こと。そして、まずは自分が「あいつに頼めば」と言われる存在になること。それは、現在、会長職にあるお父さま自身が貫いてきたことでもあったのです。
伊勢崎で生まれ育った島田さんは「伊勢崎が大好き」と言います。恵まれた立地条件に加え、気に入っているのが「庶民的な雰囲気」。「そうでなければ、もんじゃだって定着しなかったでしょうね」 また、3人の子どものお父さんになってからは「目線が変わった」と島田さん。「今まで気づかなかったけれど、子どもを遊ばせるのに丁度よい公園が随分あるんです。これは有り難いことだなと思いますね」シャープな視線を緩ませながら大好きな伊勢崎の魅力を答えてくれました。
島田工業株式会社 ◆住所:群馬県伊勢崎市長沼町2202 取材日 平成20年2月
◆TEL:0270-32-9077
◆営業時間:8:20〜17:00
◆定休日:日曜、隔週土曜
◆業務内容:空調機器関連の組立、プレス板金加工
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
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