経営者の輪Vol.379 恵光塗装の代表 小暮航也さん
経営者の輪Vol.379 恵光塗装の代表 小暮航也さん
今回、お話を伺うのは、恵光塗装代表の小暮航也さん。大好きだったアニメを見なくなった理由、「天職」という塗装の魅力、これからさらに高めていきたい塗装+アートについてお話いただきました。
塗装を生涯の仕事に
取材の前日、小暮さんから着信アリ。「明日、都合が悪くなってしまったのかな…」と思ったのですが、Non non! 取材時のドレスコードについて尋ねるものだったのです。取材に真摯に向き合おうとしてくださる姿勢に、うれしくなりました。
ということで、よくお似合いのオシャレな私服で取材に応じてくださいました。小さい頃から絵を描いたり、モノを作ったりするのが大好きだったという小暮さん。小学生の頃の絵画コンクールでは、毎年金賞を受賞していたそうです。
初めて塗装に触れたのは、中学生の時。もともとお父さまが塗装業をしており、服にペンキをつけて帰ってくる姿を見ていました。しかし小さい頃は「どんな仕事なのかはよくわからなかった」と言います。そのお父さまが、中学生だった小暮さんに「ちょっとやってみるか」と声をかけたのが、塗装のお手伝いでした。試しにやってみると、これがとても楽しいものだったそう。「もっと知りたい、もっとやってみたい」と思うようになりました。
中学卒業後は、仕事をしながら学ぶことのできる通信制の高校に進学。毎日通学する必要がないため、お父さまのもとで塗装に携わり始めました。従業員の方に教えてもらったり、他社で別の手法を学んだりしているうちに、さらに夢中になっていきました。この時に感じていた面白さは、はっきりとわかるビフォーアフターの変化です。「お客さまに喜んでいただけることも大きなやりがいだった」と話します。
時を同じくしてもう一つ、夢中になっていたものがありました。それが音楽。フランスの音楽アーティストでありDJでもあったデヴィッド・ゲッタに魅了され、クラブの専属DJをつとめ始めたのです。高校3年時になると、将来の進路について塗装の道を究めるか、音楽の道でプロデューサーを目指すか悩んだ時期もあったようです。
そこで、都内にある数校の音楽専門学校を見学。ご両親は「好きなことをやりなさい」と背中を押してくれましたが、専門学校に通うことになれば、今のように塗装の仕事はできなくなり、その分ご両親にかける経済的な負担は大きくなってしまいます。それではご両親に申し訳ない、と思ったそうです。一方で、そこまで高額な学費を払うだけの魅力を感じきれない自分がいました。そこで心は決まりました。塗装の道で生きていこう、と。
父のもとで修業を積み、独立
一生の道として選んだ塗装ですが、必ずしもうまくいくことばかりではありませんでした。苦しかったのは、伸び悩みを感じた時期。自分の理想と現実の仕上がりのギャップを目の当たりにしたときです。この時期は2年にも及び「逃げ出したい」と思うほど悩んだそうです。しかし、その悩みをクリアしたいという思いが沸き上がるほど、塗装の仕事は小暮さんにとって魅力的なものでした。その心を支えたのが、お客さまの喜ぶ姿でした。「お客さまにもっと喜んでいただきたい」その思いが、成長をするきっかけになったのです。
「今、振り返ってみると足りなかったものが今でははっきりわかる」と小暮さん。それは「失敗の経験」と言います。失敗を経験すれば次はそれを回避するような改善の道を探ることで、技術は向上していきます。「トライ&エラー」を繰り返し、確かな技術を身に付けていきました。
当時、お父さまの会社は忙しい時とそうでないときのムラが大きかったといいます。「仕事がない時は仕方がない」と考えていたお父さまに対して、小暮さんが目指していたのは、定期的な仕事の受注。思いの違いをお互いに理解し、小暮さんは自分でやってみようと考えるようになりました。
このとき、大きな後押しとなったのが、リフォーム会社の監督との出会い。小暮さんの仕事に向かう姿勢や技術力を高く評価した監督は「航也は今の拘りを捨てるなよ」と小暮さんにアドバイスをしてくれました。
「お客さまに喜んでもらうだけでは物足りない。感動されるレベルまで仕事の質を高める」という姿勢は、小暮さんにしかできない大きな武器になり、多くの技術者を見ている中で、そう感じ取った先輩からの愛情あふれる応援の言葉でした。
お母さまと一緒に字画を考慮しつつ、塗装を通して恵みを与え、光輝かせるという意味を込め「恵光塗装」をスタートさせました。2017年のことでした。
塗装+アートで新しい世界を
現在は、業界内でもその腕の高さは一目置かれている小暮さん。大手ハウスメーカーの住宅の塗り替え手がけるなど業界で高い評価をされています。ご本人も「技術には自信があります」と言い切ります。
そんな小暮さんがこれから力を入れていきたいのが特殊塗装。全国で最も塗装会社が多いと言われる群馬ですが、特殊塗装に携わっているのは数えるほどだそう。特殊塗装とは、特殊な塗料や技術を用いて施す塗装技術のこと。木目や大理石などの模様やサビや独特の味わいを醸し出す経年劣化を、塗装で表現するのです。一見すると、塗装だとは気づかないほどその技術は精巧。アーティスティックな美しさを感じです。
「塗装はやり方次第でいろいろな可能性を秘めている」と小暮さん。「こういうことができる?と尋ねられるものに応えていきたい、塗装+アートで新しい世界を築き上げていきたい」と小暮さんは前を向きます。
今では、現場に出るほか、営業活動、現場監督など全てのプロセスに携わる小暮さん。「これができるのは、技術力の高い仲間達がいるお陰です」と言います。協力業者さんは、10数社。小暮さんが「この人」と一目置いた人や会社に限っています。
「仕事のオンオフの切り替えはすぐにできるので、特に休みは設けてないんです」とニッコリ。ご自分の時間は、趣味の筋トレに当てているのだそうです。筋トレの面白さは、単純に身体が鍛えられることだけでなく、メンタルの強化につながる点。なるほど! 小暮さんのタフさは筋トレの影響もあるのですね。最近では、すき間時間と「~ながら時間」を活用して聞く読書も楽しんでいるそう。
日本初の女性記者である羽仁もと子さんは「時間の使い方は命の使い方」と話していたそうです。ギッシリと実が詰まった充実の命の使い方を、小暮さんはしています。
企業情報
恵光(けいこう)塗装
◆住所/伊勢崎市下蓮町320-78
◆TEL/0270-75-6179
◆創業/2017年
◆営業時間/9:00~21:00
◆休日/無
◆業務内容/建築塗装・リフォーム工事
取材日 2025年1月
恵光(けいこう)塗装のHPはこちら
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)
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