今回、お話を伺うのは、株式会社インテックプロダクツ 課長の小嶋悠己(こじま ゆうき)さん。今の仕事にたどり着くまで、転機となったできごと、お仕事のやりがいなどについておたずねしました。
小嶋 悠己(こじま・ゆうき)さん 千葉県出身 太田市在住
お生まれは、千葉県。お父さまのお仕事の関係で幼稚園から仙台で暮らし、中学2年生の4月に群馬に引っ越してきました。仙台での毎日がとても楽しく、引っ越したくなかったそう。そんな気持ちもあって、当初は「群馬の人とはなじみたくない」とまで思っていたと言います。仙台の中学校で打ち込んでいたハンドボールが、転校した太田市の中学になかったことも1つの要因でした。 クラスで背の順で並んだとき、後ろになった友人から誘われたのがバドミントンです。偶然のようなきっかけで始めましたが、続けているうちに夢中になり、高校でも続けたいと強豪の太田商業高校へ進学。バドミントン漬けの毎日が始まりました。 顧問は、日体大でキャプテンを務めていた先生。朝から晩までみっちり鍛えられました。その甲斐あって、3年生ではインターハイに出場。ダブルスで試合に挑みました。ところが、なかなかパートナーと意思疎通が図れず敗退。「悔しさしか残らなかった」と振り返ります。 インターハイが終わってから、進路について考え始めました。大学に進学し、バドミントンを続けることも考えましたが、もともとデザインをしたり、絵を描いたり、物事を考えるのが好きな自分に気づき、前橋のデザイン専門学校に進学。グラフィックデザインを学び始めました。 ところが、またここで新たな自分に気づきます。イラストレーターやフォトショップなどの専門的なデザインソフトを使って、2次元のデザインを制作しているうち、立体のものを作りたいという気持ちが高まってきたのです。 卒業後は桐生市にある家具店に就職。本棚や収納棚などを設計し、有名ブランドの名で全国に販売されました。自分が携わったものがカタチになって多くの人のもとで大切にされる、ということに確かなやりがいを感じていました。 しかし、そんな日は長くは続きませんでした。会社の経営が行き詰まり倒産することになってしまったのです。この時、先輩が求人情報誌で見つけたのが株式会社インテックプロダクツ。「一緒にどう?」と声をかけてくれ、無事2人そろって入社が決まりました。
同社では、下積みの細かな仕事からスタート。「このとき経験があったことで、今でもほかの社員に説明をする時や、設計をする際にも生きています」と話します。 その後、加工と事務の2つの部署を行き来しているうち、10年の月日が流れていきました。この時は、今のようにコンプライアンスが浸透していなかった時代。納期に対応するため、遅くまで仕事をすることが当たり前のようにありました。このままで良いのか、と少し迷うような気持ちになったこともあったそうです。 そんなある日、社長(当時、以下同様)に誘われて食事に出かけました。当時、小嶋さんは30歳になったばかり。髪を金色に染めた、まさしく「イマドキの若者」でした。食事先で偶然出会ったのが、社長のご友人。すると初対面にもかかわらず、そのご友人から叱咤されたそう。 「社長が君を食事に連れて行く来ているということは、どういうことだかわかっているのか? 将来を期待しているということだろう」と言われ、ハッとしました。食事が終わるとその日のうちに髪を黒く染め、翌日、社長に「よろしくお願いします」と改めて頭を下げたのです。覚悟が決まった、転機ともいえる出来事でした。 またこの時、同社は新たな素材の加工に挑んでいました。今までの扱っていた素材は、表面が人工大理石で中が無垢材。多少設計に狂いがあったとしても、削って対応することが容易にできました。しかし、新たに扱おうとしているのは石に近いもの。設計の段階で少しでも間違えると製品として成り立ちません。ごまかしが効かない正確性が問われるものだったのです。 やがて上司だった2人の先輩が本社に異動。小嶋さんは先輩たちのポジションを任されることになりました。尊敬する先輩方がやってきた重要な役目ということもあり「この時は、自分でどうにかやらなければ、と気負いすぎてしまった」のだとか。「頭の中は完全にキャパオーバーになってしまいました」と苦笑します。
そんな小嶋さんを変えるきっかけになったのが、2代目の社長。異業種を経験後、入社した人で広い見解を持っていました。同世代と言うこともあり話しやすかったそう。悩みをポツポツと話ようになると、こんな話をしてくれたそうです。 「会社は『個』ではない。大切なのはチームプレイで進めていくこと。 1人で悩んでいても解決はしない」と。「相談をしていいんだ。そうして道を見つけていけばいいんだ」と気づいた小嶋さんの心は、ふーっと楽になりました。そして肩の力が抜け「乗り越えられないわけではない」と柔らかな、それでいて前向きな気持ちが湧き上がってきたのです。 とは言え、何でもかんでも相談しまくればいい、というわけではありません。「いろいろなポジションの人の意見を聞いてから判断し、まとめるのが自分の役目」と話します。 同社の仕事は、使う目的やシーンが明確な受注生産。その分、苦労も多いそうですが、でき上がってお客さまに喜んでいただいたときの喜びは格別です。また「子どもに見せられる喜びもあった」と話します。実は、あるテーマパークのレジカウンターの埋め込み加工や、県内でよく知られるレストランの洗面台も同社製。お子さんたちに「パパが手掛けたお仕事だよ」と言うと、とても喜んだそうです。 今後、目指しているのは「人間的に成長すること」と小嶋さん。良い刺激になっているのが伊勢崎商工会議所青年部の存在です。「自分も頑張ってきたという自負がありましたが、もっと頑張っている人や、年下でもしっかりとした考えを持っている人がたくさんいる。そんな仲間たちの存在から影響を受けています」と話します。 学生さんのような初々しさのある小嶋さんですが、プライベートでは3児の父。かつて、小嶋さんが携わったお仕事を見て目を輝かせていたお子さんたちはもう大きく、以前のようにどこへ行くにも一緒、という機会は減ってきたそう。最近の休日の過ごし方は、サウナや温泉に行くこと。充実のプライベートでしっかり充電、お仕事でのさらなる活躍に期待が高まります。
株式会社インテックプロダクツ ◆住所/伊勢崎市飯島町540-10 ◆TEL/0270-75-3001(代) ◆設立/1991年 ◆営業時間/8:30〜17:30 ◆休日/日、隔週土 ◆業務内容/クオーツ系、セラミック系、アクリル系の人造大理石の企画、提案、製作、施工 株式会社インテックプロダクツのHPはこちら
取材日 2024年11月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)