今回、お話を伺うのは、株式会社内山労務管理事務所の課長で、社会保険労務士の尾下信一さん。最初に就職した先で経験したことで、今のお仕事に生きていることと、内山労務管理事務所ならではの持ち味をさらに高めるために尽力していることなどをお尋ねしました。
尾下信一(おした しんいち)さん 栃木県真岡市出身 高崎市在住
栃木県で生まれ、高校まで県内で過ごした尾下さん。大学入学をきっかけに移り住んだ県外で初めての一人暮らしをスタートさせました。それまで家のことはご両親任せ。「初めて親の有難味を知りました」と照れ臭そうに話します。 意外なことに大学での専攻は化学。4年生の時は、ほぼ一日中、研究室に詰めて液晶の研究をしていたそうです。卒業後、就職したのは包装資材の会社。配属になったのは開発部ですが、その後、製造も経験したそう。 1銭でもコストを抑えて良い商品を作り上げる努力を重ねる製造部と、少しでも良い条件での取り引きに頭をひねる営業部。「両部署の社員から見ると、開発部は湯水のようにお金を使う部署と映っていたと思います」と尾下さん。1つでもヒット商品が生まれれば、会社の稼ぎ頭になり、大きな財産にもなる。その「1つのヒット商品」を生み出すためには、多くの経費が必要…、わかってはいるけれど…と、言葉にできないもどかしい思いを抱く現場を経験したことが、尾下さんの今後に大きな影響を与えました。 転勤で、栃木県〜群馬県と移り住むうちに「このまま勤務し続けると、確実にポストは上がっていくけれども、どこに異動になるか分からない」と考えるようになったそう。この頃「別の世界も見てみたい、知りたい」と言う思いがわき上がっていました。 そこで、思い切って退職。1年間、派遣会社勤務を経験します。実は尾下さんは、在職中、業務を遂行する中で必要性を感じて自ら「衛生管理者」の資格を取得していたのです。衛生管理者とは、労働安全衛生法によって定められた国家資格。社内の衛生や、働く人の健康を管理する役割を担います。 この衛生管理者の資格を取得する過程で知ったのが社会保険労務士という仕事でした。興味を持ち、いずれは社会保険労務士として仕事をしたいと、株式会社内山労務管理事務所の扉を叩くのです。
当時は、社会保険労務士の資格を持っていなかった尾下さん。株式会社内山労務管理事務所の代表取締役である内山道広さんは「当時、採用に直接かかわったわけではないが」と前置きをしつつ「資格の有無よりも、コミュニケーション能力の高さや職歴、衛生管理士の有資格者であることなどを考えても、当社で活躍してくれる人材であると、担当者が判断したのだと思います」と話します。 尾下さんは、仕事をしながら社会保険労務士の勉強を重ね、資格を取得。当時は、お子さんも小さかったため、朝、お子さんが起きる前の時間や土日を使って勉強をしていたそう。何年かに渡っての挑戦だったため、合格したときは「うれしさよりも、ホッとした気持ちの方が強かった」と笑顔を見せます。 業務を遂行しながら資格を取得したことで「点が線でつながった」と言います。このつながりが知識となって身についていく、と話します。そして、有資格者という自信が、確かな対応に結びついたと振り返ります。 「独自性を生み出すには、スキルとスキルを掛け合わせる必要がある」と尾下さん。社会保険労務士、衛生管理者の2つの国家資格に、製造業での経験、と異なるスキルを幾重にも掛けあわせることで「尾下さんにしかできない」「尾下さんだからできる」と言われるオリジナリティが発揮できます。最初の職場で、さまざまな現場を経験したことは、尾下さんらしさを打ち出す要因になっているのです。 伊勢崎エリアを中心に、比較的規模の大きな企業を担当している尾下さん。2年前に課長に就任しました。課をまとめる立場になって気をつけているのは、社員一人ひとりが確実に力をつけられるような環境を整えること。ご自身が役職についていなかったころは、上司に対して「もっと(仕事を)やってくれればいいのに」と思ったこともあったそう。今の立場になってからは「手伝ったり、自分でやってしまったりするのは簡単。しかし、もがきながらも自分でやっていくことが成長につながる」とわかったそう。「仕事を任せてくれたことは、かつての上司たちの愛情だったことに気づいた」と言います。
「顧問先から、さまざまな悩みごとが寄せられる」と尾下さん。中には、社会保険労務士の範疇を超えているものもあるそうですが、まずは自分で調べて、できることは誠意をもって対応するそう。そうすることで知識の幅も広がり、経験にもなって、知らず知らずのうちにできることが増えていきます。さらに専門性の高さが必要なものに関しては、弁護士さんや税理士さんにつなげる提案をするそうです。
比較的、担当者次第になりがちな士業。たとえば、今までの担当者が辞めてしまうとつながりが切れてしまうことが少なくないそうです。そんな中で尾下さんが意識しているのは、内山労務管理事務所というチーム。もともとお客さまが仕事を依頼するのは、担当者個人ではなく内山労務管理事務所という会社。「仮に担当者が何らかの事情で担当を外れることになったとしても、お客さまに迷惑がかからないようにすることが必要」と考えています。日ごろから情報を共有したり、能力のばらつきをなくして高め合ったり、同社ならではの結束力を発揮したりして、お客さまに安心して任せてもらえる体制作りを心がけています。 昨年から、伊勢崎商工会議所青年部(伊勢崎YEG)に入会。内山社長は「外に目を向け、いろいろな刺激を受けてほしい」と期待を寄せます。尾下さんは「チームで活動することが多い伊勢崎YEG。所属している国際ビジネス委員会は、お互い思い合える仲間。上に話を通して物事を進めていくプロセスは、初心に戻った気持ちになれて新鮮」と楽しそう。「今後、仕事では政府が推奨するDXに関する提案に取り組み、伊勢崎YEGでは仲間と協力しながら地域を盛り上げたい」と話しています。 「休日は?」と尋ねると、お子さんの部活に自主的に付き合い、審判を務めたりしているそう。部活のサポートは大変、と関わりを躊躇する保護者も少なくありませんが「今しかできないことだから関わろう」と思うのだと言います。自分にできることに楽しみながら関わっていくのは、プライベートでもビジネスでも共通しているようです。
株式会社内山労務管理事務所 ◆住所/伊勢崎市昭和町4065 ◆TEL/0270-25-2639 ◆創業/1961(昭和36)年 ◆営業時間/8:30〜18:00 ◆休日/土、日、祝日 ◆従業員数/38人 ◆事業内容/労務管理、会計、給与計算など URL https://www.uchiyama-roumu.co.jp/
取材日 2024年9月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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