経営者の輪Vol.361 株式会社櫻井製作所の櫻井雅充さん
経営者の輪Vol.361 株式会社櫻井製作所の櫻井雅充さん
今回、お話を伺うのは、株式会社櫻井製作所の櫻井雅充さん。小学生~高校生まで打ち込んできた駅伝と駅伝を通じて学んだこと、お仕事のやりがい、会社の得意分野などをうかがいました。
駅伝を通じてメンタルの強さ身につける
爽やかなイケメン・櫻井さん。子どもの頃は元気いっぱいで「最初の記憶は保育園時代に、ジャングルジムに頭をぶつけて縫うほどの怪我をしたこと」だそう。
小学校2年生になると、2人のお姉さまの影響で陸上を始めました。得意だったのは長距離。当時から駅伝に出場していました。中学になると、殖蓮中学校の陸上部に入部。変化が生じたのは2年生になってから。顧問が変わり、練習内容も食事も考え方もがらりと変わったのです。練習時間こそ変わりませんでしたが、内容はレベルの高いハードなものに。合宿も実施するようになりました。食事は、当時の中学生が好むような炭酸もスナック菓子も禁止。そして「本気で全国大会を目指す」という考え方になっていきました。
ここだけ伺うと、いわゆる一昔前の理不尽にキビシイ体育会系かと思いますが、決してそうではなかったそう。「うまく気持ちを乗せてもらって練習をしているうちに、チーム全体がどんどん強くなっていきました」と話します。2年生の県大会では、櫻井さんもレギュラーメンバーとして出場。1区から3区まで4位を走っていた殖蓮中は、櫻井さんの前の4区で一気に1位に浮上。プレッシャーのあまり、喜びよりもイヤだなという思いが一瞬よぎったそう。しかし、トップでタスキを受け取ると「やるしかない」と練習の成果を出し切り、1位をキープしたままアンカーにつなぐことができました。その勢いのままチームは優勝。全国大会に駒を進めたのです。残念ながら、全国の舞台では走ることはできませんでしたが、ツワモノぞろいの全国大会の行けたことは大きな刺激になったと話します。「全国に出場する選手たちは、オンとオフの切り替えがとてもはっきりしていた」と櫻井さん。その風景を目の当たりにしたことは大きな励みになりました。
その後、当時の強かった先輩たちの後を追うように伊勢崎商業高校に進学。ここでも陸上部に入って練習を続けました。
長い陸上競技成果するの中で学んだのは粘り強さ。体力や精神力もアップしました。「あのころに比べれば」と大抵のことは「できる」という前向きな考えが備わりました。
自らの意志でお父さまの会社に入社
高校卒業後は、株式会社櫻井製作所に入社。同社は、櫻井さんが小学生のときにお父さまが創業した会社で、プラスチック金型や金型部品の製造、試作部品の製造に携わっています。小さい頃は時々お父さまが仕事をする様子を見て、大きな機械を動かして大変そうと思っていたそう。跡を継ぐという考えはなく、ご両親からも言われたことはなかったと言います。高校生になって進路を考えたときに、いずれは櫻井製作所に入るだろう、と思っていた自分に気づきます。どうせ入るなら早い方がと思い、自らの意志で入社を希望。ご両親は、櫻井さんの意志を尊重してくださいました。
入社してしばらくは、先輩たちに教わりながら完成した製品の油を取ったり、納品に向かったりしていました。「ヒマが嫌い」いう櫻井さん。残業もいとわず、むしろバリバリと働きたいと思っていたそう。プログラムを組んで新たな製品を設計できるようになり、仕事の幅を広げていきました。
同社の特徴は、短納期と少量多品種生産。短期を実現させるのは、熱い心を持っている従業員数がいるからこそ。職人魂で、急な仕事にも積極的に取り組む団結力は何よりの強みです。そして、機械の種類と数の多さ。それぞれの機械の稼働率を上げることで、さまざまな品種の生産に効率よく迅速に対応できます。また同業者との強いネットワークで、協力を得ながらより多くの希望に応えることができるのだといいます。
このようなメリットでもっと多くの会社に知ってほしい、と考えた櫻井さん。3年前からは営業活動にも乗り出し始めました。
新たな挑戦で拓けた道
営業はまったく初めてでした。しかし、コロナの影響を払拭するためにも、新たな展開が必要だと思い、挑戦する道を選びました。昨年9月のことです。
営業用に会社の内容がわかるパンフレットを作り、気になっていた会社やネットで見つけた企業に飛び込み営業。怪訝な顔をされることもありましたが、「すぐに結果が出なくても、半年後位に結果が報告出れば良い」と考え、地道に訪問を続けました。
半年間で訪問した企業は50社。そのうち5社から見積もりの依頼が寄せられました。実際仕事につながったのは1社。それも尋ねた企業ではなく、尋ねた企業から紹介されたという企業の仕事でした。自社で取引をしていないのに櫻井さんを紹介したというのは、同社の技術や設備の充実度に加え、櫻井さんの人柄に対する信頼の高さの表れです。その時は「社長が褒めてくれ、モチベーションに高めることに結びついた」と話します。
就職した翌年から一人暮らしを始めた櫻井さん。プライベートと仕事の距離ができたことも手伝って、「お父さま」と「社長」のスイッチは自然に切り替えることができたそうです。
普段から仲の良いお父さまと櫻井さん。頼まれた仕事は基本的に断らない、お客さまの希望に応えるには残業も問わないなど、基本的な考えが似ていることから、意見の相違はあまり無いそう。時折、食い違うこともありますが、そんなときは「相手は社長、自分は一従業員」と自分の中で線引きをすることで冷静になれるといいます。これからはもっと機械を効率的に稼働させ、今の仕事の幅を広めていきたいと抱負を語ります。
そんな櫻井さんの生き抜きタイムは旅行。ご自分が小さい頃、ご両親にたくさん旅行に連れてってもらったことが良い思い出になっていることから、お子さんも「いろいろなところに連れて行って、さまざまな経験をさせてあげたい」と優しいパパの顔でほほえみました。
企業情報
株式会社櫻井製作所
◆住所/伊勢崎市長沼町602-12
◆TEL/0270-31-2242
◆創業/2005年
◆営業時間/8:00~17:00
◆休日/土曜、日曜
◆事業内容/プラスチック金型部品、モールドベース加工、その他マシニング、フライス加工全般
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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