経営者の輪Vol.360 有限会社三井シーズテック群馬営業所 所長の尾内貴志さん
有限会社三井シーズテック群馬営業所 所長の尾内貴志さん
今回、お話を伺うのは、有限会社三井シーズテック群馬営業所 所長の尾内貴志さん。学生時代に熱中していたバンド活動、仕事をきっかけにお客さまと心を通じあわせることができた要因、オフタイムの過ごし方などについてお聞きしました。
バンドでドラムを担当。基本を教わり技術力アップ
営業所を訪ねると、入口に「環境計量証明事業」という看板が。むむ? 何だか難しそう…。どんな事業なのでしょう? 有限会社三井シーズテックの本社は山梨県。群馬営業所は、同社初の県外拠点です。そして同営業所で、初めての所長を務めるのが、尾内貴志さんです。
尾内さんは、親戚の影響で小学3年生からサッカーを始めました。中学校でも続けましたが、もうひとつ、夢中になっていたのがバンド活動。中学3年生になったら文化祭でバンド組んで発表しようと仲間内で話しが出ました。ところが、改めてメンバーの顔ぶれを見ると、できる楽器は全員がギター。これではバンドにならない、とベース、ドラムと役割を振り分け、尾内さんはドラムを担当することになりました。当時はYouTubeもない時代。ご両親が買ってくださった本格的なドラムを前に、本を片手に独学でスティックを持ち始めました。
高校は、自由な校風に憧れ、国立の5年制の学校・群馬工業高等専門学校に進学。その時も、地元の仲間や先輩とバンドを組んで活動をしていました。今までと違ったのは、ドラムを教えてくれる先輩がいたこと。初めてエイトビートの基本から習い、一気に腕を上げました。スタジオで練習し、2か月に1度ほど伊勢崎のライブハウスで演奏をしていたそう。仲間が集まり、みんなで楽しい時間をつくり上げていきました。
高専時代、環境工学を専攻していた尾内さんは卒業後、環境分析をする仕事につきます。「大きな目的があって入社を決めたわけではなかった」と振り返りますが、実際には17年在籍。ここでの経験が、今のベースをつくりました。
アスベスト調査・分析に一から取り組む
就職間もない頃、主な仕事は、水質検査。学校や集合住宅などに設置されている大きな貯水槽は、1年に1回の検査が義務付けられています。尾内さんの仕事は、設備や管理がきちんとなされているか、書類に漏れがないかなどもチェックすること。大切なライフラインであり、健康にもつながる水に関わるため「とにかくミスのないよう」注意したといいます。
そんな中で知り合ったのが、山梨県で同じようなお仕事をしている三井亮さんでした。三井シーズテックの社長です。当時、いち早くアスベストの検査に取り組んでいた三井さん。「必ず需要があるから、やってみないか」と尾内さんを通じて所属していた会社での導入を呼びかけたのです。アスベスト検査を実施することになり、担当となったのが尾内さん。三井さんとの出会いが、尾内さんの人生を大きく変えていくことになるのです。
通常の業務をしながら、アスベストの事業にも関わり始めた尾内さんは専門の資格も取得。営業にも乗り出しました。水質検査事業は、対象となる施設が決まっていたのに対し、アスベスト事業は、お客さまの開拓から始めます。対象となる建築物の保有者に調査書類が届くタイミングで連絡をすると「書類は来たもののどうしていいかわからない」「何から始めていいかわからない」というところが多かったそう。尾内さんは得た知識や技術で、お客さまの困りごとを解消する方法や検査の仕方を提案。このように地道に実績を積み重ねていきました。
しかし、いつでもすんなり受け入れられたわけではありません。話さえ聞いてもらえず、落ち込むこともありましたが、持ち前のプラス思考で気持ちを切り替えました。うまくいかないことを引っ張ると負のループが生まれてしまいますが、それを自ら立ち切って良いスパイラルが働くとプラスがどんどん広がっていくことも経験しました。
そうしているうちに、なんとアスベスト事業が、水質事業を上回る実績を上げるようになったのです。尾内さんのやってきたことが、大きく花を開きました。人々の健康を守るアスベスト調査や飛散対策をもっと広め、力を入れていきたいと独立を考えるようになりました。
誠実な仕事ぶりと人柄でお客さまの信頼を築く
会社を離れることにした尾内さん。退職のご挨拶のためお客さまのもとを訪れると「この先のこと」を尋ねられました。「独立を考えている」と言うと、ほとんどのお客さまから「今まで、会社ではなく、尾内さんと仕事をしてきたと思っているから、この先もつながりを続けたい」と言われたそう。
会社ではなかなか理解が得られず、悔しい思いをしたこともあったそうですが、お客さまは尾内さんのお仕事ぶりをちゃんと見て、高く評価していらしたのです。このうれしい反応に「今まで真面目にコツコツやってきてよかった」と心から思ったと言います。
うれしいことは続きます。アスベストのことを持ちかけてくれた三井さんが「尾内さんが独立するなら、群馬営業所を作るから所長としてやってくれないか」と呼び掛けてくれたのです。
三井さんを尊敬していてた尾内さんは、即快諾。群馬営業所を開所しました。同社の強みは、担当者が営業から現地調査、分析までできること。「1人が一貫して携わる会社はない」とお客さまから喜ばれています。尾内さんも営業所にある顕微鏡を覗いて分析をしています。複雑な分析や、経理的なことは本社が担当。「初めは独立して1人でやろうと思っていましたが、とても無理だったと今になって思います」と話す尾内さん。「必要な業務に集中できるのは、本社の存在があればこそ」と笑顔を見せます。
昨年11月からは伊勢崎商工会議所青年部に所属。「今まで付き合いのなかった業種の人たちと関われるのが面白い。伊勢崎で開かれる全国大会で、各地の人々と会えるのを今から楽しみにしています」と頬を緩めます。
週末はご自身と息子さん達が所属していた小学校のサッカーチームでコーチを務めています。趣味はキャンプ。時間ができるとササッと一人で、長期休みは家族での出かけるのだそう。豊かなオフタイムが、充実のオンタイムを生んでいます。
企業情報
有限会社三井シーズテック群馬営業所
◆住所/伊勢崎市宮子町3587-4
◆TEL/070-9162-5632
◆創業/1988年8月(群馬営業所の開所は2023年10月)
◆営業時間/9:00~18:00
◆休日/土曜、日曜、祝日
◆事業内容/環境分析(アスベスト調査・分析など)
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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