経営者の輪Vol.359 伊勢崎ガス株式会社 営業課兼新エネルギー事業部課長 井上昌浩さん
経営者の輪Vol.359 伊勢崎ガス株式会社 営業課兼新エネルギー事業部課長 井上昌浩さん
今回、お話を伺うのは、伊勢崎ガス株式会社営業課兼新エネルギー事業部課長の井上昌浩さん。小学校から高校まで続け、今も関わっているという野球について、仕事の面白さ、改めて気づいた組織や、受け継がれることも大切さなどについて伺いました。
野球をきっかけにつながる道
新卒で伊勢崎ガスに就職した井上さん。伊勢崎ガスと井上さんをつないだのは「野球」でした。
野球好きだったお父さまと、小学校のグラウンドでキャッチボールをしていたとき、その様子を見ていた少年野球の監督に声をかけられ、小学校2年生で少年野球を始めました。当時チームはできたばかり。他のチームにあったような厳しさはなく、先輩も後輩もみんなで野球を楽しんでいたそう。その後、進学したあずま中学校~伊勢崎工業高校でも野球を続けましたが、小学校時代と雰囲気は一転。待っていたのは厳しい上下関係、長時間にわたる練習など今までとは全く違う環境でした。しかし「この時、特に高校時代の野球部での経験がなければ、今の自分は無いと思えるほど貴重な3年間だった」と振り返ります。監督や先輩には、野球以外にも日常的な挨拶、礼儀など厳しく叩き込まれました。社会人に出てからなってからも通用する基本をこの時に教えられたのです。
将来を意識するようになったのは、高校3年生になってから。たくさんの求人票の中に「工業化学科で野球部出身者」と言う条件のある会社がありました。それが伊勢崎ガスです。井上さんの学年で該当する生徒は2人。しかし、もう1人の友人は専門学校への進学が決まっていました。「となると自分?と思った」という井上さん。会社や仕事に対するイメージはわきませんでしたが、両親に相談をすると「エネルギーという社会インフラを支える企業。生まれ育った伊勢崎に貢献するにもよい選択」と背中を押され面接を受けることになりました。
「ところが面接で大失敗」と苦笑。化学的な質問をされますが、ほとんど答えられず…。「どこに住んでいるの? ご家族は? など世間話で終わってしまった」のだそう。ただひとつ、覚えているのは、やりたいことを聞かれ「営業」と答えたこと。当時、学校では禁止されていたアルバイトを、ガソリンスタンドでしていた(※時効、ですよね⁉)井上さん。勧めた商品が売れると、手当が上乗せされました。ところが、お金よりも自分を信頼してもらえた喜びが大きかったことから、営業という仕事に興味を持ったのです。「落ちた」と思ったそうですが、結果は見事合格。高校卒業から1週間経たない3月6日に入社すると、希望通り営業課に配属されました。
先輩たちが築いてくれた礎
研修終了後、8か月は先輩について営業を学び、翌年4月からは独り立ち。担当するお客さまは、1500から2000軒にも及びます。基本はルート営業で、お電話をいただいたお客さまの元へ出向き、困りごとに対応すべく修理したり、買い替えなどをお勧めします。『井上さんが言うなら』と提案を受け入れてもらい、さらにお客さまの暮らしの質がアップして喜んでいただくことが、やりがいです。
こんなこともあったそうです。まだまだ浴室暖房が出たばかりの頃。お勧めしたお客さまが導入を決め、なんと半日で2件の契約に結び付いたのです。浴室暖房自体の認知度は低く、費用も高額だったことから、上司もそうそう売れるものではないと踏んでいたよう。お昼で会社に戻ってきた井上さんに「(浴室暖房は)売れないだろう」と声をかけたそうです。半日で2件の契約がいただけたことに、上司はびっくり。とても褒めてくれたそうです。お客さまに受け入れられ、導入した商品で喜んでいただくことと、上司からの賞賛。この2つがモチベーションになって、井上さんをつき動かしました。
しかし、次第に受け入れられているのは自分ではなく、伊勢崎ガスと言うネームバリューとブランド力だと思うようになったそう。「これを築きあげてくれた先輩たちがあったからこそ今がある。私たちも引き継いでいきたい」と話します。
「初めてお客さまを持った時はすごく不安でしたが、もっと不安になったのは後輩ができた時」と井上さん。入社から10年間、毎年、新入社員は入社しましたが、配属は営業課以外。その結果、10年間は「1番下の弟分」だったそう。後輩が入ってきたときに「もう甘えられない」と気が引き締まったそうです。
自慢のスタッフと続けるチャレンジ
今では営業課の課長に就任。心がけているのは、みんなが高いモチベーションを持って、仕事をすることです。「新しい商品が出たから売ろう、という単純なものではありません」とキッパリ。新商品がお客さまにとって、そして自分たちの将来を中長期的に見たときに、どんな意味を持つものなのか、噛み砕いて話をするそうです。そうすることで、仕事に向かう気持ちは変わり、当然結果も違ってくるのだと言います。
同課のスタッフを「自慢」と言う井上さん。同社の伝統として、野球部出身者を採用することが多いそう。現に営業部でも、13人のうち、女性スタッフと管理職以外は、全員が野球部出身。「組織の意味をよくわかっており、自分が今何をすべきなのかということを理解する力も高い。さらに行動力もある」と胸を張ります。
伊勢崎ガス自体にも野球部があり、社会人の大会にも出場しています。井上さんも選手を務めましたが、36歳で引退。その後、チームスタッフを経て、今はOBとして応援に回っています。特に今のチームはとても強く、県内実業団軟式の強豪である高崎市役所にも勝利。県内でベスト4にまで上り詰めたことがあるそうです。「大学まで野球を経験した選手が多い企業は多くありますが、当社は高校までしか経験していない選手がほとんど。それでも勝ち星をあげられる要因は、結束力と気持ちの強さ」と話します。
6月と11月には、同社で最も大きなイベント「ガス展」が開かれます。営業課長である井上さんは、その責任者。自慢のスタッフたちとチームを組み、野球部同様の「結束力」でお客さまに喜んでいただけるイベントを思案中です。
企業情報
伊勢崎ガス株式会社
◆住所/伊勢崎市日乃出町 108 番地
◆TEL/0270- 25-4520
◆設立/1963年2月15日
◆休日/日、祝
◆従業員数/43人
◆業務内容/都市ガスや電気の供給、ガス機器の販売、ガス・電気工事の施工
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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