経営者の輪Vol.356 新井自動車工業株式会社 代表取締役の新井進介さん

経営者の輪Vol.356 新井自動車工業㈱株式会社 代表取締役の新井進介さん

今回、お話を伺うのは、新井自動車工業株式会社 代表取締役の新井進介さん。今に生きている中学時代のサッカー部顧問の教え、人生最大の転機であった社長就任、今後の展望などを伺いました。

プロフィール

新井 進介(あらい・しんすけ)さん

伊勢崎市出身

伊勢崎市在住

考えた末に選んだ自動車整備の道を選択

新車・中古車販売、車検・点検、整備、鈑金、自動車保険などを手がけている、新井自動車工業株式会社。ここで代表取締役を務めているのが、新井進介さんです。

 

新井さんのお父さまが、同社を設立した3年後に新井さんが誕生。会社の方が少しお兄さんというわけですね。

 

ご自宅と会社が近かったこともあり、新井さんは、幼稚園の帰りに毎日会社へ寄っていました。小学生になると、放課後、会社にカバンを置いて遊びに出かけていたそうです。「もう一つの我が家」のような存在ですね。このときはまだ、お父さまや社員さんの仕事ぶりなどには関心はありませんでした。

 

活発だった新井さんは、小学校4年生でサッカーを始め、中学~高校でも続けていました。中学時代、印象に残っているのは顧問が再三、部員に向けて言っていた「やればできる」という言葉。繰り返し言われ続けたことで、この言葉は自然と新井さんの心に、身体に浸透していきました。そして、高校時代。校外試合で、後方から蹴ったボールがダイレクトで相手のネットを揺らしたのです。周りもビックリでしたが、一番驚いたのは本人だったそう。「やればできる」が現実化したのですね。

 

将来を考え始めた高校生のときには、10歳年上のお兄さまが既に同社に整備士として入っていて、お父さまもお兄さまも新井さんには「あと継ぐことは考えなくても良い」と選択の自由を与えてくれたそう。ところが、新井さんご自身は「いつかは会社に入ることになるだろう」と思っていたといいます。

 

高校は進学校。大学を目指す友人が多かったこともあり、新井さんも漠然と大学進学を考えていました。ところがふと、このような考えがわき上がってきました。いずれは同社に入るであろう自分。大学に進めば卒業後、改めて専門学校に入り直す必要がある。ならば、最初から専門学校を目指す方がスムーズなのでは? と。

 

こうして、高校卒業後は、八王子にある自動車専門学校に入学。自動車整備の道を目指し始めました。

良い仲間と先輩に恵まれた富士スバル時代

専門学校では当然のことながら、車の整備や点検、車の構造について詳しく学びます。身近にあったはずの車が、これほどまでに精巧に作られていること、どのような仕組みで走る・止まる・曲がるという基本的な動きができるか、をとことん学びました。

 

卒業後は、同社が扱うスバル車のディーラーである「富士スバル株式会社」に就職。最初の赴任先は、ご実家から近い連取店でした。「初めて実際のお客さまの車に触った時は、さすがに緊張しました」と当時を思い出して表情をこわばらせます。安全とダイレクトに結びつく車。それだけに、これで本当に大丈夫だろうか、と点検後は不安に思ったそうです。新井さんが、整備や点検をした車を、さらに先輩がしっかりチェック。このような流れを続け、1人でも自信を持って大丈夫と言えるようになるまで2年間ほどかかったそうです。

 

その後、太田西店に異動。歴史ある店舗で老朽化も進んでおり、売り上げによっては閉店してしまうのでは? とささやかれていました。店舗のみんなで『頑張ろう』と一致団結。売り上げを伸ばし、なんと店舗建て替えという運びになったのです。新店舗完成をきっかけに、営業にもチャレンジしたいと上層部に話をしますが、「難しい」との回答。そこで思い切って会社を辞め、2016年5月に新井自動車工業に入社しました。「予定より早く辞めることになってしまいましたが、富士スバルで良い仲間や先輩に恵まれたことは財産」と振り返ります。

 

38歳でお兄さまのあとを継いで社長就任

入社当時、会社はお父さまが会長、お兄さまが社長を務めていました。新井さんは、整備を担当。ディーラー勤務時代、携わったのはスバル車オンリーでしたが、新井自動車工場の整備工場では、さまざまなメーカーの、軽自動車からトラックまで幅広い車種を扱っています。「再び、一からスタートのようなものでした」と苦笑します。それでも、新しいことを覚えていく楽しさがありました。

また、富士スバルは教育や接客に力を入れていて、その違いも実感。ディーラーで学んだ良いところを取り入れ、活かせないかと考えるようになりました。

 

そんな矢先、社長であるお兄さまが急逝。会長であるお父さまは既に現場からは離れ、闘病生活を送っていました。今まで経営の経験のない新井さんでしたが、従業員やその家族のことを考えると「自分がやるしかない」と腹をくくり、社長に就任。38歳のときのことです。

 

それから3年。「何とかやってこられています」とホッとした表情を見せます。やればできるーー、中学生の頃、顧問が何度も口にしてきたこの教えは、今も新井さんの心の中で生き続け、行動を起こす活力になっています。

 

昨年は久しぶりにお客さま感謝イベントも開催。2日間で200人以上が来場するという盛況ぶりを見せました。「これからも、楽しくなるような店舗作りをして、お客さまが車との時間をもっと楽しめる空間にしたい」と目を輝かせます。

 

「大変な時、拠りどころになったのは家族」と話す新井さん。最近では、忙しくてなかなか家族全員で出かけることが少なくなってしまいましたが「またゆっくりキャンプなどを、家族で楽しみたい」と優しい表情で話してくださいました。

 

企業情報

新井自動車工業株式会社


◆住所/伊勢崎市茂呂町2-2872

◆TEL/0270-26-0398

◆創業/1980年

◆営業時間/8:30~18:30

◆休日/月

◆従業員数/12人

◆業務内容/新車販売、中古車販売、車検・点検、自動車整備、自動車鈑金、自動車保険など

 
 
 
取材日 2024年4月

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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