今回、お話をうかがうのは居酒屋&カフェ IKOI場の「あるじ」である山田雄也さん。お料理経験がなかったという山田さんがレストランに勤めた理由、IKOI場の楽しみ方などを教えていただきました。
山田 雄也(やまだ・ゆうや)さん 伊勢崎市出身 伊勢崎市在住
独特のアーティスティックな雰囲気をまとった山田さん。いただいた名刺の肩書は「あるじ」。「あるじ」さんの方がしっくりするので、ここでは「あるじさん」でいきましょう! あるじさんは、バイク好きのお父様の影響で、小学校5年生の時からバイクトライアルを始めました。バイクトライアルとは、岩場や斜面などがある専用のコースをバイクに乗ったまま足を着けないようにして駆け抜けるというもの。免許を取得する必要なく、小学生でバイクに乗れるスペシャルな競技です。初めのうちこそ怖かったものの次第に面白さを感じるようになり、中学1年生まで続けていたそうです。 入れ替えのように始めたのがアルトサックス。小学生時代、鼓笛隊でトランペットを吹いていたことから音楽にも興味を持ち、中学校では吹奏楽部に入部。見た目の美しさとバンドの主旋律を担う華のある役割に惹かれたそう。「今でも音楽は好き」と話します。 アメカジ好きで古着にも興味があったあるじさん。社会人になると、古着屋さんに勤務します。当時は、古着の買取をするところは少なかったことと、あるじさんの手腕も手伝ってお店は急成長。県内以外だけでなく、原宿や新宿まで出店したそうです。結果的に8店舗の立ち上げに関わりました。「古着はなまもの」というあるじさん。仕入れから1ヵ月後には価格が10倍に跳ね上がる面白さがありますが、さらに半年後には仕入れ値と同じくらいに下がってしまうこともあるのだといいます。変動が大きく先読みが必要な世界。会社の規模が大きくなるにつれ、「読み」が求められるようになってきました。商売ですから当然とはいえ、古着そのものの魅力や楽しさよりも、売上に重きを置くことに違和感を覚えるようになります。それと同時に、年齢を重ねても続けられる仕事は? と考えるようになったそう。そして、ご自分の好きだったお酒を中心に、おいしいお料理が提供できるお店を開こうと思うようになりました。ほどなくして前橋のレストランバーに転職。料理経験は全くありませんでしたが、魚をさばけるほど腕を上げたそうです。
結婚を機に30歳でホテルに転職。厨房スタッフとして勤務を始めました。ここでびっくりしたのは、レシピが全てフランス語だったこと。単語一つ一つを聞いて日本語に翻訳し、理解を深めていきました。ここではフレンチ、イタリアン、スパニッシュに加え、中華も網羅。お料理の幅が広がり、盛り付け美しく盛り付ける技も学びました。 調理師を取ったのもこの頃。「すぐとれますよ、と言ってしまって」と気恥ずかしそうに話すあるじさん。入社したその年には、もう調理師免許を手にしたのだそうです。有言実行! さすがです。充実感を持って仕事に励んでいましたが、残念なことに会社の経営母体が変わることに。 もう少し修行を積みたいと思っていたあるじさんは、全国展開しているレストランに最後の転職を果たします。調理師免許を持ち、現場経験も積んだ末の入社だったにもかかわらず、実際に担当したのはホールや全体のマネジメント。それでも1年後には店長に。その後もどんどん出世を続け、最終的には現場のトップまで上り詰めました。今まで攻めの姿勢でやってきた会社でしたが、東証一部に上場すると少しずつ守りに入るように。次第に、あるじさんは独立を考え始めました。 ところがいざ、お店の候補地を探し始めると、なかなか出店できる場所がなかったそう。ようやく探し当てたのが、今の場所です。少し歩けば大型のショッピングモールや飲食店がありますが、周りの多くは住宅地。近隣住民がふらりと訪れることのできる地元密着のお店に、という思いを込めて「IKOI場」と名付けました。 IKOI場の特徴は、おいしさに加え、ホテルで学んだ美しい盛り付けのお料理と、オーガニックや自然派のワインなどの豊富なアルコール類。店内禁煙可なので、最近では肩身の狭い思いをしていた「もくもく隊」の皆さんにも喜ばれています。食事もおしゃべりも途中でストップすることなく、楽しめます。
席についたら、メニューをじっくり見ることをおすすめ。ネーミングが秀逸なのです。「ちょこっとローストビーフ」「丸ごとカマンベール」など興味を駆り立て想像を広げてくれるものから「ふつうのポテトフライ」のようにクスっと笑ってしまうものまでズラリ。誰もが突っ込みを入れるというのが「渾身のナポリタン」です。なんだかほとばしるものを感じますねっ! 自慢のトマトソースにケチャップを混ぜ合わせた、オリジナルのナポリタンソースを使った「渾身の」ひと品です。 パン2枚が付くアヒージョもおすすめ。一般的なアヒージョで使うのはニンニクとオイルですが、IKOI場ではそこに野菜の出汁も加えるそう。うまみと香りの両方をしっかりと味わえます。おかわりパンをオーダーして、最後の最後まで余すことなくいただきたいですね。また、ホテル仕込みの手づくりハンバーグも欠かせない逸品です。 お料理を引き立てるのは、店内に並ぶ厳選したアルコール。中でもあるじさんのイチオシは、オレンジワイン。独特な風味や渋みがくせになります。伊勢崎市内では、あまり扱っているところがないようなので、IKOI場で「初飲み」といきたいですね。 シメのパスタもあるので、1軒で完結する嬉しいお店。あるじさんは「時間も空間も楽しんでほしい」と話します。その思いはお客さまにしっかり伝わっているようで、平均滞在時間は4時間。居心地の良さの表れです。 「やりがいは、今まで知り合いになれなかった人とも会えること、お客さまが喜んでくれるシーンを提供できること」と言葉を選びながら丁寧に話すあるじさん。最近、最もうれしかったのは、バイトさんとお客さまが結婚したこと。あるじさんは、結婚式で牧師さん役を務めました。その姿はインスタで公開されています。 インスタ、といえば。「最も大変だった」というコロナの時期に、1日1本インスタを上げることを決めたそう。これがとにかく面白いんです。ほほが緩みっぱなしになってしまう楽しい投稿が続きます。「コロナ明け、どこに飲みに行こうか、となったとき、候補のひとつに挙げられるお店になろう」という考えがあったそう。ユニークな投稿でフォロワーはどんと増えたそうです。 ランチもやってほしいなーーと思いますが、お昼は赤堀の障がい者支援施設でお料理を提供しているのだそう。パスタ、唐揚げ、中華料理など飽きがこないバラエティに富んだメニューを心掛けていると話します。利用者はもちろん、ご家族も喜びますね! ここからもまた、あるじさんのお料理で、幸せの輪が広がっていきます。
居酒屋&カフェ IKOI場 ◆住所/伊勢崎市宮子町3557‐10 ◆創業/2017年 ◆営業時間/18:00〜翌2:00 ◆休/木曜 ◆事業内容/飲食業
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)