経営者の輪Vol.342 株式会社GENKIDOの取締役総院長 上田秀幸さん

経営者の輪Vol.342 株式会社GENKIDOの取締役総院長 上田秀幸さん

今回、お話を伺うのは、株式会社GENKIDOで取締役総院長を務める上田秀幸さん。今のお仕事に影響を与えた柔道のこと、現職に至るまで、仕事のやりがいなどをお尋ねしました。 

プロフィール

上田 秀幸(うえだ ひでゆき)さん

岩手県大槌町出身

伊勢崎市在住





打ち込んできた柔道を活かせる仕事に魅力

岩手県生まれの上田さんが、お父さまの仕事の関係で伊勢崎にやってきたのは、小学校1年生の時。「当時のことはほとんど覚えていない」と言うほど、自然に伊勢崎の環境に馴染んでいました。この頃からスポーツが大好きで、野球やサッカーに興じ、相撲大会にも出場していたそう。

 

高学年になり、ご自身の人生を変える柔道と出合います。きっかけは友人からの誘い。気軽に始められたそれまでのスポーツと違って「礼に始まり、礼に終わる」武道に、最初は戸惑ったと言います。それでも、稽古すればするほど成果が出ると分かってからは、おもしろくなっていったそうです。「自分に合っていたんだと思います」と上田さん。中学では柔道部に入部する傍ら、近くの道場にも通い、県大会では入賞も果たすほどになっていました。

 

高校は、道場の指導者が監督を務めていた伊勢崎興陽高校に進学。朝練、夕練、休みの日は練習試合、長期休みは合宿、と練習の厳しさは、中学の比ではなかったと言います。その甲斐あって、関東大会にも出場を果たしました。

 

思い出深いのは、関東大会予選での育英高校戦です。副将を務めていた上田さんが、まさかの敗退。大将決戦へもつれ込みました。大将が踏ん張って勝ち抜き、関東大会出場を決めました。仲間たちの団結力の強さ、諦めなければ結果が出るということを改めて知るきっかけにもなりました。

 

将来については、料理が好きだったことから調理師の道を考えたこともあったそうです。しかし、熱心に打ち込んできた柔道を生かす柔道整復師という仕事があることを知り、東京の専門学校への進学を決めました。ケガに悩まされた経験さえも、患者さんの心によりそうというかたちで生かせる柔道整復師は、上田さんにとって魅力な職業でした。


勉強の習慣がついた専門学校時代

上田さんが進学したのは、東京にある専門学校。自宅から通学する際、偶然目にしたのが現在の職場となる「げんき堂スポーツ鍼灸整骨院上泉町 / GENKI Plusコンディショニング上泉町」の求人広告でした。

 

専門学校の講義は朝から始まり13時過ぎに終わるので、夕方からアルバイトできます。面接で社長から「研修の実習も兼ねられる」と聞き、午前中は学校、午後は同店でアルバイトという毎日が始まりました。

 

「専門学校時代はとにかく勉強をしました。勉強の習慣がついたのもこの頃からです」と上田さん。興味があった分野とは言え、細胞やホルモンなどを学ぶ生理学は、イメージをつかむことが難しくとても大変だったそうです。逆に楽しかったのは実技。特に柔道の講義は「大得意」でした。

 

同級生は30人。高校卒業後、すぐに進学したのは、上田さんを含めてわずか4人。後は年上で、社会人経験者でした。「一度社会に出た人たちは、勉強に対する意識が違いました」と上田さん。彼らが熱心に取り組む姿勢はよい刺激になりました。わからないところは教えてもらったり、残って一緒に勉強に付き合ってくれたり、ずいぶん可愛がってもらったそうです。

 

専門学校では主に知識を身につけ、同店では接客や院長のフォローなどを通して運営や実技を学びます。この2つがうまくリンクし、最高の学びの時間を経験できました。

 

卒業後は、そのまま株式会社GENKIDOに就職。アルバイトをしていた店舗に配属されたため、不安を抱くことなく、すんなりと社会人の一歩を踏み出すことができました。

 

3年後、院長に抜擢。「この頃はとにかくがむしゃらでした」と上田さん。「目の前の患者さんのことと、自分のことだけで精一杯。「今、思えば本当の意味で患者さんの立場に立つことができなかったし、スタッフのことまで目が向けられませんでした」と悔しそうな表情を見せます。

 

同社には5つの治療概念があります。それは、①食事 ②呼吸 ③想い(メンタル) ④動作 ⑤環境。この要素のうち、どこかがずれることで体調の不良が生まれると考えています。初診の際、十分にヒアリングをして患者さんの立場や精神状況を把握。5つの要素のバランスがとれるようになるよう治療を進めていきます。

 

 

「頭ではわかっていても、なかなか自分の中に落とし込むのが難かった」と上田さん。どうしても目の前にいる患者さんを、今、この場だけで良くしたいと言う思いが勝って、広く見ることができなかったそう。しかし、この考えが浸透していくと、不思議と視野が広がり患者さんを深く見ることができ目には見えない環境の大切さ、本当の原因にアプローチできるようになったと話します。

 

たくさんの患者さんと出会う中、最も印象に残っているのは上田さんの施術を受けて「良くなった」と喜んで毎日のように通ってくださった高齢者の患者さん。突然、姿を見せなくなり、急逝したことがわかりました。人の明日は約束されたものではありません。「患者さんとの出会いも、治療も一期一会。だからこそその時を精一杯」。患者さんを通じて得たこの思いは今も上田さんを支えています。


みんなの健康に貢献する柔整師の地位を向上させたい

5年目には統括院長。伊勢崎市内にある5つの店舗を統括していました。10年目にはエリアマネージャーに昇格。群馬県内の16店舗をまとめる立場になりました。7年前には執行役員に。担当エリアは北海道~関東に及びました。そこでは、責任者の指導が中心。

直接現場に関わることは減り、「人を育てる」ことが増えていきました。「この時代は、なかなか思いが伝わらず、ずいぶん悩みました」と慎重な面持ちで話します。

 

そして気づいたのが「人を育てるのも技術が必要」ということ。それならば「人を育てることを勉強しよう」と思ったのだそうです。それからは、コーチングやマネジメントに関する本を読んだり、研修に参加したり。会社が外部から講師を呼んで研修を開いてくれることもあったそうです。

 

こうしていく中で、自分と他人は違うと言うことを実感として学ぶことができました。「自分にできたから他の人にもできるはず、施術方法は見て覚えるというものではないというのは違う」と思ったそう。

 

そこで今までにスタッフたちが培ったノウハウを明文化。会社独自のマニュアルやシステムを構築しました。マニュアルというかたちにすることで、スタッフのやるべきことが明確になり、教育レベルの差が生じることもなくなります。結果的に、会社全体として質の高い治療を提供することにつながるのです。

 

 

2018年には現職に就任。今では、新しい技術の習得や見直し、マニュアルのブラッシュアップなどをする傍ら、現場での後進の指導や難しい患者さんの治療にあたっています。「現場とバックオフィスのどちらも携われるのはありがたい」とにこやかに話します。

 

入社からおよそ20年。キャリアアップするたびに、やりがいが変わってきたと言います。入社間もないころ、目を向けていたのは自分や目の前の患者さん。それが、スタッフ、地域、社会へと広がってきたそうです。「大勢の人の健康を支えることで、経済にも発展にも貢献できることにやりがいを感じている」という上田さん。これからは「この大切な仕事の社会的地位の向上にも貢献したい。また、広くこの仕事の素晴らしさを発信していきたい」と力強く話します。

 

そんな上田さんが楽しみにしているのが、YEGのバイク部の活動です。「仲間と一緒にいろいろなところに行くのがうれしい」と親しみやすい笑顔で話してくれました。


企業情報

株式会社GENKIDO

 

◆住所/伊勢崎市上泉町157-1 2F

◆電話/0270-21-1695

◆営業/9:00~13:00、15:00~20:00

◆休日/日曜

◆事業内容/整骨院、鍼灸院、整体院の経営、リフレッシュサロン、リラクゼーションサロン、パーソナルトレーニングジムの経営、スパ事業「マンダラ・スパ」運営


 
取材日 2023年10月

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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