経営者の輪Vol.341 夢しんどうの営業部長 新藤靖さん
経営者の輪Vol.341 夢しんどうの営業部長 新藤靖さん
今回、お話を伺うのは、夢しんどうの営業部長の新藤靖さん。多くの肩書を持つ新藤さんに現在に至るまでの経緯、それぞれのお仕事でのやりがい、ご自身の息抜きなどについてお尋ねしました。
サッカーの名手、子どもと接する未来を夢見て進学
夢しんどうの営業部長、市議会議員、保育士、介護福祉士、児童クラブ副代表、放課後児童支援員、伊勢崎文化協会 紙芝居をたのしむ会代表、伊勢崎ユネスコ協会会員、伊勢崎地元消防団団員、伊勢崎市インディアカ協会顧問など、たくさんの肩書を持つ新藤靖さん。
伊勢崎市サッカー協会の常任理事も務めています。ご自身も小学校1年生からサッカーを始め、社会人になってからも続けていました。中学生の時は群馬県選抜のメンバーにもなったほど。ポジションは試合の状況を見て、ゲームメイクするチームの司令塔、ボランチです。「選ばれた要因を改めて考えたことはなかったけれど、強いて挙げるならバランスの良さかなぁ」と控えめに話します。
20年にも及ぶサッカー経験の中で最も印象に残っているのは、伊勢崎商業高校時代の最後の試合、全国高校サッカー県予選・決勝トーナメントでの一戦です。対戦相手は、前橋育英高校。延長戦にもつれ込みますが決着がつかず、PKに突入しました。重圧と緊張の中、新藤さんが蹴ったボールはネットを揺らしましたが、仲間の1人が惜しくも外し4対5で残念ながら敗退。涙を飲む結果となりました。この群馬大会で優勝した育英高校は、全国大会でもベスト4入りするほどの実力だったそうです。そんな育英高校相手に最後まで粘りのゲームを展開できたことは、新藤さんたちにとって大きな自信となりました。
高校卒業後は、関東短期大学の初等教育科に進学。子どもが好きだったことと、お母さまが保育士だったことが影響し、かねてから子どもの教育に携わりたいと思っていたのです。この時代、苦戦したのが今まで触れたことのなかったピアノ。それでも独学で練習をしました。さらに学びを深めたいと思うきっかけになったのが、実習で重度障害児の施設に行ったことです。子どもたちを見て、純粋に「可愛い!」と思った新藤さん。この可愛い子どもたちが心地よく過ごすためのサポートをしたいと考えるようになりました。短大卒業後、介護士と保育士の資格が取れる専門学校へ進学。ここでは、知識に加え、介護施設、保育園、障害者・児施設などでの実習を経験して現場の理解を深め、保育士と介護福祉士の資格を取得しました。
子どもの笑顔を願う保育士から政治家へ
卒業と同時に市内の保育園に就職。壁面装飾が得意で、子どもたちと一緒にダイナミックな作品に挑んでいたそう。3歳児の担任になることが多かったこともありますか、新藤さん自身、おもしろさを感じていたのも3歳児。春、赤ちゃんっぽさを残した子どもたちが、ご飯の食べ方、靴のはき方、気持ちの成長など、最も変化を感じられるのが、3歳児なのだとか。「成長や変化を間近で見られるのはとても幸せで、興味深かった」と爽やかな笑顔で振り返ります。
年長児の担任を持った時は、自分でも想像つかなかった展開があったそう。卒園式当日、おしゃれ着に身を包んだ子どもたちは、キラキラと輝いていました。すっかりお兄さん、お姉さんらしくなった子どもたち一人ひとりの名前を呼ぶとき、既にグッときていた新藤さん。謝恩会で、かつては苦手だったけれど、子どもたちに歌う楽しさを知ってほしいと練習を重ねて上達したピアノで伴奏をしているうち、自然と涙が頬を伝いました。「あの新藤が泣いている!」と周りはビックリ。それ以上に自分もビックリ。その後、子どもたちからプレゼントされた歌の曲目を思い出せないほど感極まっていました。
この時代、保護者の接し方が子どもの成長に大きく影響すると実感。しかし、各家庭が抱える事情はいろいろで「やりたくてもできない」家庭があることも知ったのです。中には、開園から閉園まで、およそ12時間もの時間、保育園で過ごす子どももいました。家でトイレトレーニングをする時間が取れない子もいました。少しでも子どもや保護者を支えることができれば、と工夫を凝らしながら日々の保育にあたっていたと振り返ります。
保育士になって10年目。新藤さんが32歳のとき、伊勢崎市議会議員補欠選挙が行われることになりました。このとき、当時の議員から出馬を勧められたのです。かつて市議会議員を務めていた叔父様の選挙事務所に行ったり、応援をしたりした経験はありましたが、当時の新藤さんにとって政治は縁のない世界のように感じていました。自分が市政に関わるとは想像さえしなかったそう。「無理です」と断ったものの、今まで関わった子どもたちの顔が次々と浮かびました。まだまだ社会から目を向けられていない問題がたくさんあることを実感していて、無意識のうちにいつも「誰にとっても今より少しでも良い世の中になってほしい」と考えていました。みんなにとって未来が明るいものであってほしい、それを実現するには政治に関わる必要がある――。そう考えた新藤さんは、誰にも相談せずに出馬を決めました。
「その後、周りは大騒ぎ」と苦笑。奥様は怒り、親戚では会議が開かれるほどだったそうです。それもそのはず。奥様は4か月前にご長女を出産したばかりで、これからさらにパパの助けが必要になる時期でした。また、立候補を決めたのは、選挙まで2ヶ月を切っていたとき。選挙を知り尽くした叔父様をはじめとする親戚が心配するのも当然のことでした。
新藤さんは自らチラシを作ってポスティング。「演説しようにも、声は届いているのか、手ごたえがあるのか、それさえも全くわからなかった」と言います。それでも、みんなの期待を集めて見事当選。その後も4回の当選を果たし、現在11年目を迎えています。
誰もが『伊勢崎で良かった』と思える場所に
「市議になってよかったと思うのは、さまざまな立場の人に出会い、いろいろな声を聞く機会が増えたこと」と新藤さん。一方、強い思いを持って臨んでも、実現できないもどかしさがあることも知りました。特に「限られた財源の中で最大パフォーマンスを上げるのは、議員にならせていただく前の立場でいたときからは想像もつかないほどの難しさを感じる」と話します。
原動力になっているのは「周りの人の笑顔」です。「人を怒らせたり、悲しませたりするのは、言葉は悪いが簡単。しかし、喜んでいただくのは難しい。目の前の人が何に喜びを感じるのか、それを知るために真剣に対峙しなければ『何か』は見出せないから」と話します。それだけに、新藤さんは多くの人と積極的に関わりを持つことを大切にしています。
子どもたちの居場所を作りたい、と9年前からは児童クラブの運営にも乗り出しました。現在、五目牛町にあかべこ児童クラブを、柳原町にさくら児童クラブを開所しています。ここで新藤さんが大切にしているのは、子どもたちの気持ち。自主性や人権を重んじて、同じ地域に生きる人として子どもたちと接しています。
また、子どもたちにとって「第二の我が家でありたい」とも話します。学校では多少気を張っていても、クラブに来るとほっと一息。そんな空間を目指しています。同クラブで保護者に喜ばれているのは、きめ細やかで優しい眼差し。保育士経験を持つ新藤さんならではの目線は、スタッフにも浸透しています。
児童クラブがオープンするのはお昼の12時。午後になると授業を終えた子どもたちが次々と訪れます。現在、同クラブの午前中の有効活用を思案中。「学校に行けない子どもたちの新たな居場所が作れれば」と新藤さんは前を向きます。
子どもたちの息抜きの場づくりに尽力している新藤さん。ご自身の息抜きを尋ねると首をかしげ「何だろう?」。しばらく思いあぐねて「最近できていないのですが、家族旅行かな」とニッコリ。知らない土地で、その土地に住む人たちと話すのも楽しいのだそう。土地の住民だからこそ、出てくる本音や自慢話を聞きながら、伊勢崎で生かすヒントをついつい考えてしまうそう。ご自身の楽しみが、そのままより良い伊勢崎をつくるヒントになります。「伊勢崎を築きあげてくれた先輩たち、今、伊勢崎を盛り上げている人たち、これからの伊勢崎をつくる子どもたち、誰にとっても『伊勢崎で良かった』と思ってもらえる場所にしたい」と抱負を語ってくれました。
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今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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