経営者の輪Vol.327 伊勢崎 地域おこし協力隊の「関口 咲季子さん」

経営者の輪Vol..327 伊勢崎 地域おこし協力隊 関口 咲季子さん

今回、お話を伺うのは、伊勢崎市初となる地域おこし協力隊の関口 咲季子さん。伊勢崎の地域おこし協力隊になるまで、こだわり続けた「やりたいこと」、これからの夢などをお尋ねしました。

プロフィール

関口 咲季子(せきぐち さきこ)さん

藤岡市出身

伊勢崎市在住


優等生から一転、おふざけキャラに

藤岡市出身の関口咲季子さん。中学生までは絵に描いたような優等生だったそうです。中学時代は生活科学部の部長を務め、運動部の生徒たちに必勝祈願のミサンガ作りや調理などに励んでいたのだとか。小さい頃から好きだったのが読書。小学校時代はハリーポッターに夢中になり、空が明るくなるまで読み続けていました。

 

ふざけキャラになったのは高校時代から。進学した埼玉県の本庄東高校は、同じ中学校から行った友達がわずか4人。クラスもバラバラで、同じクラスに知り合いがいなかったことで、キャラを作り直す機会と思ったのだそうです。

 

当時の夢は、小説家で毎月発刊する部誌に作品を発表。単語と単語を組み合わせて1つの物語を作っていく面白さを感じていました。たくさんの作品を書き上げましたが、思い出に残っているのは「散歩道」と言うタイトルの小説。猫が外から家に帰るまでを猫の目線でつづった作品でした。

 

その後、高崎経済大学地域政策学部に進学。異文化コミュニケーションに興味を持ち、留学生向けのパンフレットを作ったり、マイノリティーの調査に乗り出したりしました。やりたいことをやろうと、興味のあることにチャレンジ。1年生の終わりには、ハリーポッターをきっかけに憧れていたイギリスにホームステイ。英語を学ぶ傍ら、歴史的な建造物やメディアで取り上げられる景色を見に行きました。しかし路地裏では物乞いの人の姿があり「報道されない現実の表と裏を垣間見たような気持ちになった」と話します。

また、メディアにも興味を持つようになり、サークルは放送研究会に。2年生のときは、ナレーションの専門学校に通っていました。群馬の山を登ったり、日本中を旅したり、大好きなアーティストを追いかけて音楽フェスに参加したり、好きな本屋さんでアルバイトを始めたり。充実した毎日を送っていました。

 

関口さんは、やりたいことをやる中で、無意識のうちに「自分探し」をしていたのかもしれません。ところが逆に将来の仕事を考えたときに、自分はどんな道に進めばよいのか、わからなくなっていました。そんな時、クールカウンセラーのもとを訪ねて話をすると、自分では思いもしなかった言葉をかけられるのです。それは「あなたは人の荷物を背負える人。人に寄り添い、話を聞ける共感力があなたらしさ」と。この言葉は、今でも関口さんを支える大きなひと言になっています。


やりたいことを求めて

大学4年生になった関口さんは、就職活動はせず、夢だったセブ島への留学を目指します。セブ島は、留学費用が安い割に集中して英語を勉強できるという恵まれた学習環境。リゾート地という開放感のある雰囲気にも憧れていました。

 

夢を叶えるために、昼間はアイスクリーム屋さんで、夜は塾講師として1日12時間労働。ガッツで資金を貯めてセブ島へ向かいます。ここでは中国、台湾の学生と関口さんの3人部屋。お互いに拙い英語で、恋バナやときには政治的な話もしながら「政治とカルチャーは別だよね」と交流を楽しんだそうです。

 

 

帰国後は、限られた期間で集中して仕事に没頭できるリゾートでのアルバイトに精を出します。26歳で志賀高原のホテルに住み込みで働き始めました。格式の高いこのホテルでは、お客さまの食事の進み具合を見ながらサービスをすすめる接客を身につけました。学ぶところの多い職場でしたが、いかんせん山の中。このまま居続けていたら、視野が狭まるのでは? と不安を抱くようになります。

 

そんな時見つけたのがライター&バリスタ募集の求人情報。やりたいことと、興味のあることが同時にできる、関口さんにとって「夢のよう」に感じた仕事でした。これが、秋田県の地域おこし協力隊だったのです。締め切り1週間前というギリギリのタイミングでした。関口さんの選択にお母さまは「これでまた遊びに行けるところが増えたわ」という明るい言葉で背中を押してくれたといいます。

 

秋田県の最北端、白神山地を超えると青森県でまちの7割が森林という勤務地に着いたのは、2021年の12月。雪がすっぽりと針葉樹林を覆いつくす様子に「なんてキレイなんだろう」と感動したそうです。

 

ここでのお仕事は、黄色いキッチンカーに乗って、内 16カ所の公民館を回り、珈琲のサービスをすること。やってくるのは、ほとんどが高齢者。関口さんが来るのを楽しみにして待っていてくれたそうです。お客さまからとれたての野菜をいただいたり、食べ方を教えてもらったりしながら、食文化の違いを実感することができました。この様子をペーパーやSNSで発信。さらにイベントの企画~開催と大忙しの毎日が続きました。気が付けば採用された4人の仲間は、1年後には、関口さん1人になっていました。

 

2年目は、1人で頑張っていましたが、次第にふるさと群馬への思いが強くなり始めました。そこで、全国の地域おこし協力隊の本部に相談。2年間、協力隊を務めると、田舎から田舎への移動ができると聞き、2年間務めあげた後、群馬県内の協力隊に移ることを決めました。


若い世代に伊勢崎の魅力を発信

県内でもさまざまな市町村が協力隊を募集していました。そんな中、伊勢崎市が初めて採用に乗り出したことを知ります。そして、伊勢崎が行っていた応募前のウェブ面談に申込。関口さんが今までの経緯と同時に、これからの夢――新しい事業自体を自分で作れる、ライターの仕事を続けたい、デザインにも携わりたい、地域を元気にするコミュニティースペースを作っていきたいーーと話すと、担当者が「その覚悟に応えたい」と言ってくれたそうです。この言葉で、関口さんの気持ちは決まりました。

 

伊勢崎で地域おこし協力隊となって2カ月。伊勢崎は「よそ者扱いされない心地よさ」があると話します。他者を受け入れる心の広さと同時に、強い地元愛も感じるそうです。

 

今は、Instagram、YouTube、noteなどのメディアを活用し、情報の発信を始めています。ターゲットは高校生や、20代の若い世代。伊勢崎の街は、面白くなってきていることを伝えたいと思っています。

 

若い世代に特に知って欲しいのは、学校や家庭以外に伊勢崎には素晴らしい居場所がたくさんあるということ。まだまだ社会を知らない若い世代は、学校と家が自分の多くを占めていて、ここの2つでうまくいかないことがあると、すべての希望をなくしたような気持ちになりがち。しかし、少しひいてみれば、家や学校以外にも世界は広がっています。伊勢崎には居場所がたくさんあって、しかも両手を広げて迎えてくれる人たちが大勢いることを知ってほしいと話します。

 

「人に恵まれていると」いう関口さん。「これからも人との縁を大切に、伊勢崎を盛り上げていたいきたい」と笑顔で語ってくれました。


企業情報

伊勢崎 地域おこし協力隊

 

◆住所/伊勢崎市今泉町二丁目 410(伊勢崎市役所内)

◆活動開始年月/2023年4月

◆問合先/伊勢崎市産業経済部商工労働課 商工振興係

Tel/ 0270-27-2754




 
取材日 2023年5月



 
応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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