今回、お話を伺うのは、伊勢崎市初となる地域おこし協力隊のお一人、皆瀬勇太さん。地域おこし協力隊になるまで、さまざまな資格を取得した理由、これからの夢などをお尋ねしました。
皆瀬 勇太(かいせ ゆうた)さん 安中市出身 伊勢崎市在住
皆瀬さんの生まれは、安中市。お隣は長野県、という旧松井田町です。自然の多いところで、虫が大好きな子どもだったそう。当時の夢は昆虫博士。毛虫も大好きで、クスサンという蛾の幼虫で、ふさふさの毛に包まれ、大きいものだと体長8センチにもなる白髪太夫(しらがだゆう)を手のひらいっぱいに乗せてというお母さまを驚かせたというエピソードも。 保育園の頃、お迎えが遅くなりがちなお母さまを1人で遊んで待っていた皆瀬さん。その姿を見て保育士さんが、お母さまに早めのお迎えを促したそうですが、皆瀬さんからすると誰にも邪魔されず一人で虫の観察に没頭できる至極のひと時だったのだそうです。「結局は、早くお迎え来てもらっても帰る時間は一緒。母には申し訳ないことをしました」と苦笑いします。 また、小さいころから「何事も中途半端が嫌い。突き詰める性格だった」と言います。お姉さまのソフトボールの練習に連れていかれた際は、小学校のビオトープに夢中に。どんな植物があるのか、どんな生き物がいるのか探っているうちにビオトープを破壊してしまい、後でお母さまが学校から叱られる羽目になってしまったのだそうです。 アウトドア派だった皆瀬さんですが、小学校高学年になると一転してインドア派に。きっかけは、誕生日にプレゼントされた昆虫の図鑑でした。夢中になって読みふけるうち、読書全般へと興味が広がっていったのです。 幼少期から学者肌、天才の匂いがプンプン漂いますね!! 一方で、アニメやゲームが好きという子どもらしい面もあったといいます。 そして、小学校1年生から続けていた水泳でも才能を発揮。選手コースに所属し、高学年ではジュニアオリンピック出場までわずか0.1秒というところまで迫ったことも。 天は、一人の人に二物も三物も与えるんですねぇ(羨)。 ところが、進学した中央中等教育学校では「毎年留年の危機にさらされていた」のだとか?このころになると、興味の対象は昆虫から「人」に移り、心理学に関心を抱くようになります。そして、人が作る社会から逆に人を見ていきたいと考え、それが学べる金沢大学地域創造学類に進学をしました。
大学生活を満喫し始めた頃、「このまま大学生活を終わらせるのではなく、今だけしかできないことをしたい!」と思い始めました。そして以前、家族旅行で訪れたケアンズで、ワーキングホリデー中の大学生に会い、その姿に憧れていたことを思い出すのです。そこで、1年間大学を休学してオーストラリアへ。1年間のうちの9カ月間は、日本人観光客向けのツアーガイドをしていました。このとき、条件ややり方次第で土地の魅力が作れることに気づいたと言います。 最も大きな収穫だと思えたのは、日本の魅力の再発見です。山にも海にも恵まれ、自然と共に生きる人々、その人々がつくり出す食事や文化。今まで当たり前すぎて気に留めることすらなかった日本の文化や暮らしが、世界から見たらとても貴重で価値あることだと気づいたのです。 復学後は土地の魅力を伝えたいと、上毛かるたをヒントにご当地、石川県の魅力を楽しみながら学べるトランプを企画すると同時に実行する学生の団体を立ち上げました。 まずは県内の全市町村へプレゼン。写真の提供を呼びかけ、他大学とも協力をしながらデザインを作り上げ、大学院生時代には販売までつなげました。 大学院卒業後は、栃木県の星野リゾートに就職。ホテルマンとして、受付〜調理場〜企画運営までオールマイティーに関わりました。中でも楽しかったのは商品開発。印象に残っているのは、施設のアクティビティで使われ特徴になっているきな粉を使ったオリジナルのビールづくりです。栃木県内にあるクラフトビールの会社と共に開発をはじめ、わずか1年で満足するテイストに仕上げることができました。ところが、思った以上に頭を悩ませたのが、ラベルデザインでした。専門の人にプロに頼むと予算オーバー。頭を悩ませ、従業員に呼びかけたところ、デザイン専門のアプリケーションを使える人、図案を得意とする人が集まり、プロジェクトを組んでラベルデザインを完成させました。 同時期、地域資源の活用に役立つとの思いから、松井田町の猟師のもとで修業を重ねて狩猟免許を取得。さらにアクティビティにつなげたいと国内旅行業務取扱管理者の資格も取得しました。ここで終わらないのが「何事も突き詰める」皆瀬さん。里山を包括的に扱う会社を運営することも見据え、中小企業診断士の資格を目指した勉強も始めます。無事、一次試験に合格。その後は二次試験を受けるか、実技を学ぶための学校に半年ほど通うかを選択しなければなりません。そこで皆瀬さんは学校に進む道を選択。仕事を辞め、登録養成機関が実施する養成課程を修了し、中小企業診断士の資格も得ました。 このとき「地域を活性化させるうえで手数は増えたものの、実務に携わっていない自分」に気づいた皆瀬さん。直接地域に関わりたいと思い始めた30歳の時、出あったのが「地域おこし協力隊」でした。
全国に広がる「地域おこし協力隊」の中で目に留まったのが、今年度初めて導入する伊勢崎市でした。初めてと言うことでゼロベースから始められる難しさと同時に面白さも感じられるのでは? と感じたそうです。何にでもチャレンジできる自由度の高さも魅力でした。一方、恵まれた土地ゆえの難しさも感じたと言います。「まちとして完成されている面が多く、日々の暮らしに満足している人が多い分、あえて伊勢崎を振り返ることがなく、魅力に気づかずに暮らしている」と思ったのだとか。そして、街中の街の顔とも言える中心外は元気を失いつつあることが気にかかっていました。 まちを歩いてみると、広瀬川沿いの図書館などロケーションの良さ、曲輪町、三光町周辺は見せ方次第で魅力的な場所になると確信しました。 今、皆瀬さんは、伊勢崎駅前のまちなかににぎわいを取り戻す活動を始めています。駅前のモニターを活用してゲームができるようにしたり、謎解きをしながらまち歩きを楽しんだり、さまざまな企画を考案中。小さい成功を重ねて、伊勢崎を盛り上げていきたい、と話しています。 駅周辺やまちなか、イベントなどで見かけたら「皆瀬さん!」と声をかけてみてください。爽やかな笑顔で振り向いてくれるはずですよ。
伊勢崎 地域おこし協力隊 ◆住所/伊勢崎市今泉町二丁目 410(伊勢崎市役所内) ◆活動開始年月/2023年4月 ◆問合先/伊勢崎市産業経済部商工労働課 商工振興係 Tel/ 0270-27-2754
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)