経営者の輪Vol.317 株式会社ホープの代表取締役「渡邊將弘さん」
経営者の輪Vol.317 株式会社ホープ 代表取締役の渡邊將弘さん
今回、お話を伺うのは、株式会社ホープの代表取締役、渡邊(←実際は1点しんにょう 以下同様)將弘さん。今の渡邊さんに結びつくきっかけを作った近所のお兄さんとの出会い、美容師資格を持っている理由、株式会社ホープの得意分野についてお話いただきました。
中1までは優等生。近所の「バイク好き」に憧れて…
髭男の藤原さんを思わせる、きれいなお顔立ちの渡邊さん。引っ込み思案だった保育園時代、力の強い友達にちょっかいを出されたことで、軽い怪我を負ったそう。それを知ったお父様が「肉体的にも精神的にも強くなるように」と連れて行ってくれたのが、近くにあった空手道場でした。稽古は面白く、すぐに試合にも出るようになりました。自分に自信がつき始めると本来の明るさが出始め、あっという間に友達いっぱい。楽しい毎日が始まりました。
中学では、柔道部に入部。アニメ「テニスの王子様」が流行っていたこともあり、当初はテニス部を考えていたのだとか。このとき、宮郷中学校で部員数が少なかったのが柔道部。「だったら自分たちが」と仲間たちと柔道部のドアを叩いたのです。「柔道は組んだとたん相手の実力が分かる、空手と柔道は似ているようで非なるものでした」と話します。
1年生の頃は学級委員長を務める優等生。少しずつ雰囲気が変わり始めたのは、1年の終わりごろからでした。近所のお兄さんの影響でバイクに興味を持ち、次第に部活から足が遠のいていきました。その分、バイクへの熱は高まるばかり。乗せてもらうのも、いじるのも面白く、時間がたつのを忘れてしまうほどでした。傍目には、道を踏み外したように見えたかもしれません。しかし、このときの経験がのちに渡邊さんの豊かな時間をつくり出すことにつながるのです。
高校受験を目前にすると、将来のことを考え、手に職をつけたいと思ったこと、昔から車好きだったこと、近所のお兄さんとのつながりでバイクをいじる面白さを感じたことなどから伊勢工業高校の機械科に進学しました。
夢中になれる仕事に出合って
「高校に入ってからはすっかり落ち着きました」とニッコリ。板金や溶接などの授業が楽しく、いろいろな機械に携われる環境はパラダイスでした。この時、危険物取扱者、溶接など4種類の資格を取得。このまま車やバイクについてもっと学びたいところ、中学時代の友達から都内の美容学校へ行く、と聞かされます。おしゃれへの興味も高まっていたため、渡邊さんは高崎にある美容専門学校へ進学。美容師を目指して勉強を始めます。ところが、入学してすぐに自分には向いてないと気づくのです。
当時の副校長先生が話した「これからの美容室経営」を聞き、美容師はますます遠い存在のように感じました。「なぜか、副校長に可愛がってもらった」という渡邊さん。その副校長から勧められたのが、フランスへの研修。美容室を営んでいるお母様は「なかなかできない経験」と背中を押してくれました。初めて訪れたフランスで、パリコレの裏側を見せてもらうなど、貴重な経験を味わいました。
美容師資格を取得し、美容室に就職するものの、得たのは「やっぱり合わない」という確信に似た思い。早々に退職し、お父様が経営する電気工事の会社に入りました。その後、車に携われるトラックの運転手をはじめ、いくつかの仕事を転々としていると、お父様から雷が。「フラフラしているなら出ていけ、と言われ、さすがにまずいと思いました」と渡邊さん。本腰を入れて仕事を探そうとした時、友達からビルメンテナンスのアルバイトに誘われました。ところが行ってみると、待遇は「社員」。戸惑いましたが、そのまま働き始めました。
上司が丁寧に仕事を教えてくれたこともあり、仕事は楽しかったと話します。きれいになるのが目に見えてわかると気持ちが良いだけでなく、お客様からも喜ばれ「次も」と頼まれるようになりました。この仕事について「時間がたつのが早い」と感じた渡邊さん。今までの仕事では感じなかったけれど、かつて味わったことのある感覚――、中学生のころバイクをいじっていたときに感じたものと似ていました。夢中になれる仕事に出合った瞬間でした。
当時の自分を振り返ると「生意気だった」そう。機械が好きで電気工事の経験のあることで、社長に交渉してエアコンクリーニングの資格を取得。自分の技術と会社の事業の幅を広げていきました。
大好きだった仕事ですが、会社の都合で社員は散り散りに。それからは、声をかけてくれる同業者の手伝いをしながら生計を立てていました。手伝いとはいうものの、道具をそろえ、事務的なことも自分でやり、と実働以外にもやることは増えていきました。
そんなとき、つき合いのあった同業の社長から声をかけられます。これが、渡邊さんにとって大きなターニングポイントになりました。
理想の会社を自ら設立
その社長からは、ダメ出しと言う愛の鞭の嵐が。「機材がない、ホームページがない。充実した事務所にした方がよい。これでは、お客様から信用されない」と指摘され、初めて会社組織にすることを真剣に考え始めました。
最初に取りかかったのは、事業として成り立つ仕事づくりと、一緒にやってくれる仲間づくり。丁度、お世話になった上司や、ハウスクリーニングをしていた同級生と集まる機会があり、理想の会社を作ろうと意見が一致。こうして誕生したのは株式会社ホープです。フリーランスになって7年目のことでした。
同社が得意とするのは、体に優しく環境にも優しいアルカリ電解水を用いたクリーニング。床や窓の清掃、エアコンは資格を持ったスタッフが作業にあたります。安全性においても経営者として社員を守るための判断です。空気の質や電気量などを左右するとあって、定期的に依頼するファンも増えてきました。
経営者としてもっと学びたいと考え始め、伊勢崎商工会議所に入会しました。すると、渡邊さんが慕う株式会社井野板金工業の井野公輔さんから「やるからには、青年部に入ってしっかりやらないと」と助言を受け、2018年、青年部にも入会。今は地域貢献活性委員会に所属し、副委員長として、ひまわりコンテストにも関わりました。井野さんや周りの先輩たちから「ちょっと難しいけれど頑張ればできる」課題を与えられることが、渡邊さんの力を伸ばします。
昨年、青年部では、部活動がスタート。車やバイクが好きな渡邊さんは、モータースポーツ部の初代部長に就任しました。みんなで元旦に館林まで初日の出を見に行くなど、プライベートも充実。逸れたと思われた道は、ここでも新たなつながりを作り、渡邊さんの人生を豊かなものにしています。
経営者になったことで「自分自身が変わった」という渡邊さん。これからは、社員教育に力を入れ、さらに理想的な会社づくりを目指します。喜ばれることでさらに、きれいな環境と心のきれいを増やしていきます。
企業情報
株式会社 ホープ
◆住所/伊勢崎市稲荷町851-1
◆TEL/0270-75-5409
◆創業/2019年
◆営業時間/8:00~17:00
◆休日/無休
◆業務内容/ハウスクリーニング、除菌・消毒サービス、エアコンの分解洗浄、フロアクリーニング、窓ガラス・サッシの掃除、カーペット清掃、掃除用具・薬品の販売など
株式会社ホープの紹介はこちら
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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