経営者の輪Vol.313 株式会社たかのワークライフサポート取締役の「神山 美由紀さん」
経営者の輪Vol.313 株式会社たかのワークライフサポート取締役 神山美由紀さん
今回、お話をうかがうのは、株式会社たかのワークライフサポート 取締役の神山美由紀さん。たくさんの資格試験にチャレンジしたこと、人との縁と「思い」がクロスして誕生した今のお仕事についてうかがいました。
アルバイト時代に目にした働き方のヒント
お料理やお菓子を作るのが大好きだったという神山さん。小さい頃を振り返って「母が、とても思い切りのよい人で」とニッコリ。お母さまは、神山さんのおままごと道具に「使うのなら本物」と本物の包丁を渡してくれたのだそうです。そして、神山さんも何の疑いもなく本物を手におままごと遊びをしていたのだとか。確かに、とっても思い切ったご判断です。
中学生になると、近所のお姉さんに憧れて、小学生をサポートするジュニアリーダーに。ジュニアリーダーとは、市内の子ども会が、キャンプやレクレーションをする時にお手伝いをするスタッフ。子どもたちとのふれあいに加え「学校以外の人や年齢を超えたつながりができるのはとても楽しかった」と振り返ります。
髙校へ進学すると、神山さんの向学心が頭を持ち上げ始めます。資格の取得を推奨する学校だったこともあり、興味のあった秘書、簿記、ビジネス文書、情報処理など、さまざまな資格を取得していきました。卒業後は、秘書の勉強を深めたいと、当時、秘書について学べる医療秘書科のある専門学校に進学。興味のあることを学べ、充実した学生生活を送っていました。
このとき神山さんは、運命的な出会いをします。アルバイト時代に知り合った派遣社員です。一定期間働いた後、自分の時間を楽しみ、その後再び派遣の仕事についたり、興味のある仕事を選んで渡り歩いたり。そんな姿にひとつの会社に身を置き続けるのとは違う、新しい働き方を感じました。こうして神山さんも、卒業後は、自分の興味のある仕事をいろいろやってみたい、と特定の会社に就職するのではなく、派遣会社に登録をすることを選択するのです。
仕事を通じて目の当たりにした髙齢者問題
最初に勤めた建設会社の秘書。資料を作ったり、時には書類を届けるために日帰りで東北に出張したり、と貴重な経験を積みました。契約が終了すると、旅行に出かけるという理想のスタイルを満喫していました。
そんな中、24歳で結婚。その後も、向学心を持ち続け、CADオペレーター、クッキングスクールのインストラクターなどさまざまな資格を身につけていきました。
あるとき、ご主人の仕事の関係で、神山さん名義で会社を立ち上げる可能性がでてきたのです。いつでも起業できるよう、経営の勉強も始めました。やがてそれが現実になり、31歳で集合住宅の修繕を担う会社を立ち上げました。これが神山さんにとって大きな転機になりました。
仕事を通じて目の当たりにしたのは、髙齢者を取り囲む現実でした。片付けや清掃の依頼で訪れる先には、孤独死が原因となるケースが想像以上に多かったのです。孤独死は、誰にも看取られずに最期を迎える髙齢者、いきなり悲しい連絡を受ける近親者、大切な資産が事故物件になってしまう集合住宅のオーナー、それを管理する不動産業者、誰も得をする人がいないことに気づきました。どうしたら、この負の連鎖を断ち切ることができるだろう? せめて髙齢者が自ら助けを求められれば、と啓蒙のセミナーを開きました。しかし、情報を切に望む人は自力でやってくることができないのが現実。届けたいところに必要な情報が届かないジレンマを感じていました。
困っている人にたどり着く方法はないか? 行き着いたのは家族。つまり、髙齢の両親を持つ子ども世代へのアプローチです。昨今では、親だけでなく叔父叔母のサポートをしなければならない子世代も増えています。
介護申請、髙齢者施設への引っ越し、介護をしやすくするための部屋の片付けなど、介護保険ではまかないきれないサービスを「子世代の立場」で提供しようと考えたのです。そして、この部門を修繕・清掃を行う会社から独立。新しい会社は、「寄り添う」という意味を持つスナグルと名付けました。
積み上げたキャリアを無駄にしないために
もともと埼玉の商工会議所青年部に入っていた神山さん。活動する中でつながりができたのが、伊勢崎の商工会議所青年部です。仲良くなったメンバーに会いに、伊勢崎に訪れる機会が増えていきました。
「介護離職に頭を悩ませている会社がある」。そう話してくれた青年部のメンバーがいました。社会保険労務士として多くの企業をお客さまに持つ、たかの社会保険労務士事務所の髙野こずえさんです。髙野さんは、子育て中の女性を社労士の立場からサポートもしていました。そこで子世代の支援を得意とする神山さんと力を合わせれば、企業も従業員も幅広く守ることができるのではないか? と考え、今年1月、ふたりで会社を立ち上げました。それが「株式会社たかのワークライフサポート」です。神山さんは、取締役に就任しました。
実は、神山さんは高齢者サポートを行う都内の一般社団法人の代表理事と、その関連会社で生活サポート事業部長も務めています。その二社と神山さんが起業した株式会社スナグルが協力して、信託を使った新たなサービスをスタートさせています。
もうひとつ、特徴的なサービスが「おやのこと相談室」です。中小企業に勤めるスタッフの介護離職に歯止めをかけるのが目的。スタッフの親に関わることの相談に乗り、サポートするというものです。これらのノウハウを株式会社たかのワークライフサポートにも展開予定。特に「おやこのこと相談室は、会社の福利厚生的に活用してほしい」と話します。
今後は、障がいを持つ人やひきこもりにも焦点を当てていきたい」と神山さん。関われば関わるほど、隠れていた問題が浮き彫りになると言います。
神山さんが「なんとかできないか?」と思う問題の中には、私たちも気づいているにも関わらず、今までそうだったから、仕方のないことだからと、自分の中で理由をつけて目をつぶっているものが多くあります。
浮かび上がっている問題に関わる「人」のことを考えて、その人が置かれている環境に目を向け、解決策を模索して実行に移す神山さん。その真摯な姿勢は、感動を覚えます。神山さんの挑戦は、助けを必要とする人、その周りの人、会社を上手につなぎ、過ごしやすい社会をつくっていきます。
企業情報
株式会社たかのワークライフサポート
◆住所/伊勢崎市ひろせ町4088-12 株式会社グンビル内
◆TEL/ 0270-75-6400
◆営業時間/8:30~17:30
◆休日/日曜、土曜
◆業務内容/従業員の働く環境サポート
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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