経営者の輪Vol.310 フクダ緑化 代表の「福田堅司さん」
経営者の輪Vol.310 フクダ緑化の代表 福田堅司さん
今回、お話をうかがうのは、フクダ緑化 代表の福田堅司さん。あの有名選手と稽古をしたお話、今の仕事の面白さ、モットーなどをお尋ねしました。
中学時代から始めた大工修業
5人兄弟の次男として生まれた福田さんはお兄様の影響で小学校1年から柔道を始めました。中学生のときにはベンチプレスで80キロから100キロのウェイトを上げていたそう。胸囲は1メートル以上。堂々とした体つきでした。中学3年生の時、柔ちゃんこと田村亮子選手と一緒に世界選手権に出場した赤堀町出身の北爪弘子選手と稽古をする機会に恵まれました。身長も体つきはもちろん福田さんの方が大きかったのですが、組んだ途端「勝てない」と思ったそうです。「はるか上をいく練習をしている」ということが感じ取れたと話します。
そんな福田さんは、中学2年生のときには将来、大工になると決め、長期休みは大工さんのもとで修行をしていました。中学3年生の夏休みと冬休みは、 1日でも休んだら修業は打ち切りと言われ、1日も休まず現場に向かったそうです。
卒業と同時に就職。当時の仕事は「ホウキとちりとりを持って立っている」ことでした。先輩が仕事をしてゴミが出るとすかさず掃除。それ以外の時間は、先輩の仕事ぶりを見ていました。そうするうち、自然に仕事のやり方や手順を覚えました。半年ほど経ったとき、内装工事に使うボードを切る仕事を任されるようになりました。すると「もうできるだろう」と室内のボード貼りもやることに。器用だった福田さんは、見よう見まねで仕上げました。その出来栄えに親方も先輩もびっくり。「だったら次はこれ」「その後はこっちも」とステップを踏んでさまざまな仕事を任されるようになり、どんどんスキルアップしていきました。今では少なくなってきた墨付けやホゾ作りなど伝統的な手法も、できるようになっていました。
心に決めていた大工でしたが、入社から5年、意見の相違で仕事から離れることになりました。
木の声を聞きながら剪定
「家で働いてみないか?」、声をかけてくれたのは、造園業を営んでいた友人のお父様。最初の仕事は、サッカーグラウンドの草むしりでした。ただひたすら広いグラウンドに生えた草を、腰をかがめて一つ一つ手で抜いていきます。地味なわりに重労働で敬遠される草むしりですが、福田さんは「友達と一緒に遊び感覚でできたので楽しかった」とうれしそうに振り返ります。木を切るときには、種類によって使う道具を変えたり、切り方を変えたり。植物に携わる仕事の奥深に、たちまち夢中になりました。
難しい松の手入れもできるようになっていた福田さん。ある日のこと、一軒のお宅から松の剪定を頼まれます。生育具合や、特徴からしても上へ伸びていこうとしている枝でしたが、お客様の希望は下へ曲げること。福田さんは、手をつける前に、仕上がりの具合を説明することを心がけています。その時も「ここまでは曲がるけれど、これより先は折れる危険性が高い」と説明。しかし「それでも良い」とお客様。丁寧に扱ったものの、福田さんの予想通り、途中で枝がわずかに折れてしまったのです。「これが、失敗と言えば一番の失敗」と苦笑。自分の要望に無理があることを知っていたお客様は、もちろん許してくれたそうです。
以後、それまで以上に木と対話をするようになった、と福田さん。手入れをしてきれいになると「木が喜んでいる」のを感じるそうです。やがて自分を振り返ったとき「ひと通りのことはすべて身につけた」と感じるように。気がつくと造園の世界に飛び込んでから13年が経っていました。
波紋のように広がる仕事。親切な心でさらに広く
独立してもやっていけるのではないか、思いが心をよぎり、2012年1月にフクダ緑化を立ち上げます。会社を去るとき社長から「明日から敵」と言われた福田さんはビックリ。独立はしても、手が必要なときは、お互い協力しあっていけるものと信じていたからです。その思いは、いとも簡単に打ち砕かれました。
その時すでに2人のお子さんがいた福田さん。看護師の奥様は「私にできるサポートは何でもする。必要なものはそろえる。虫が苦手だから現場作業は手伝えないけどね」とクスっと笑えるオチをつけて背中を押してくれました。この一言は、これから一人でやっていこうという福田さんの心に勇気を与えました。
お客様がいないゼロからのスタート。幸いにも弟さんの紹介で、お仕事が来るようになりました。
福田さんが心がけていたのは、誰が見てもきれいだと思ってくれる仕事。依頼先でハサミを握る福田さんに近所の人が「きれいにしますね。うちも頼める?」と声をかけてきました。お庭を拝見して見積もりを出し、今までと同じように「ここをこんなふうに整えると…」と出来上がりわかりやすく説明すると「では、お願い」。新しい仕事が生まれました。次はその隣の家、その次は奥の家と、まるで池に水滴を垂らしたように仕事の輪はひと所から大きく広がっていったのです。
どこか一軒、依頼があると、不思議とその近く、知り合い、親戚とつながっていくーー、これが福田さんの仕事の広がり方です。
「木と対話をしながら切り込み、翌年自分の思った形に仕上がっているとてもうれしい。きれいになった、と喜んでくれるお客様の笑顔を見ると、またうれしい」とニッコリ。仕事をすればするほど「やって良かった」と心から思えるのだそうです。「親切にしていれば親切が返ってくる」福田さんはそう思っているそうです。
「毎日が勉強」と福田さん。種類は同じでも1本として同じ木はありません。同じ木を切ったとしても、その年の天候によって枝ぶりは異なります。そこにも面白さがあります。
チャレンジしたいのは、山、川、池、枝かぶりの松などを配した典型的な日本庭園。これを一から手がけたいそうです。修学旅行で訪れた日光に、久しぶりに家族で出かけたところ、学ぶことが多くてビックリしたのだとか。「今、京都や奈良に行ったら、どれだけ勉強になるんだろう」と優しい表情で思いをはせる福田さん。優しさと親切な人柄でつなぐ福田さんの仕事の輪は、これからますます広がっていきそうです。
企業情報
フクダ緑化
◆住所/伊勢崎市茂呂南町4593-1
◆TEL/ 090-5547-9774
◆営業時間/8:00~17:00
◆休日/日曜、雨の日
◆業務内容/庭の手入れ、掃除、植栽全般
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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