経営者の輪Vol.306 株式会社WILLKOの代表取締役「渡辺孝二郎さん」

経営者の輪Vol.306 株式会社WILLKO 代表取締役の渡辺孝二郎さん

 今回、お話をうかがうのは、株式会社WILLKOの代表取締役、渡辺孝二郎さん。強豪校の高校球児から、世界的人気ブランド店での勤務をご経験。転機となった東日本大震災と、今年立ち上げたご自身の会社についてお話いただきました。

プロフィール

渡辺孝二郎(わたなべ・こうじろう)さん

太田市出身

伊勢崎市在住






 

憧れの人気ブランド店に就職し、ニューヨークで受けた刺激

伊勢崎インターを降りてすぐ、ひときわ目を引くおしゃれな住宅があります。ここが渡辺さんの自宅兼仕事場+奥様が経営する美容室です。このご自宅、なんと渡辺さんが設計し、ご自身が建設に携わったのだとか。天井高が3.5mと2階建てに相当する高さの平屋で、開放感たっぷり。内装の漆喰はご家族で協力して塗り上げたり、県産のスギの無垢材を椅子として加工したり、ストーリー性に富んだ素敵なお住まいです。

 

そんな渡辺さんのご実家は、重機を使う会社。小さい頃から車が身近だったせいか、車好きでF1レーサーに憧れていたのだとか。

 

小学生になると、通っていた毛里田小学校の野球チームに入団。中学に進学する時は本格的に野球を続けたいと、栃木県足利市のクラブチームに入り硬式野球を始めました。高校は「ユニフォームに憧れて」前橋育英高校を志望。セレクションと呼ばれるテストを受けて合格、無事に入学を果たすと同時に寮生活が始まりました。

 

当時は、先輩について洗濯をしたりマッサージをしたり。部活、寮と共にする時間が長かったこともあり、部活内は兄弟のような関係だったそうです。絆は強く、今でも現役対OBの紅白戦をすることがあるそう。「最近では、高校生のボールが速くて目がついていけないですね」と苦笑します。

 

もともとおしゃれで、洋服やデザインに興味があった渡辺さん。高校卒業後は、アパレルの道へ進みます。勤め先は、アメリカ生まれのストリートファッションブランドSupreme(シュプリーム)。紹介がないと入れない人気の会社ですが、先輩からの紹介で憧れのブランドで仕事を始めます。配属されたのは、管理部。アメリカから届いたばかりの商品のチェックや仕分けをする部署です。誰よりも早く本場の新商品や、ときにはプレミアムのつくアイテムに触れることができる仕事で、日々ワクワクしていたと話します。

 

Supremeが生まれたニューヨークには何度も遊びに行き、Supremeを愛用している俳優やスケーターを紹介してもらったことも。「公式の場ではなく、ナイトクラブなどプライベートな時間を共にしたことは刺激になりました」と目を輝かせます。

 

10年ほど勤めた後、独立してデザインの仕事をしたいと群馬にUターン。しかし「当時はなかなかデザインに対する理解がなく、苦労しました」と振り返ります。


転機は東日本大震災。福島で建築学ぶ

そんな時、 東日本大震災が起こりました。渡辺さんは早速、仲間たちと支援物資を持って被災地を訪れます。津波の被害にあった石巻のまちは、まるで教科書で見た戦争の後のよう。めちゃめちゃになり、人の息づかいが一切感じられないまちに大きなショックを受けました。その後1年間は石巻に移り住み、ボランティア活動を続けたといいます。なかなかできることではありません。

 

再び太田のご実家に戻った時、ご実家の事業は代替わり。お兄さまが社長に就任し、建築を手がけるようになっていました。東北では、原発で被害を受けた福島で住宅建築が進んでいたものの、建築に携わる人員が不足していました。お兄さまの会社にも、ヘルプの声がかかっていました。そこでお兄さまが、先方に渡辺さんを紹介。会社の社員、4人と福島に移り住み、住宅の建築に尽力することになるのです。

 

初めての土地、初めての仕事。もちろん人のつながりもありません。何もかもがゼロからのスタートでした。「モットーである『困ったときはお互い様』の精神を持ち、なんとしても成功させるという強い気持ちでのぞみました。すでに家庭がありましたから」と話します。

自分の持っている技術を他人に教えるのを嫌がる職人さんが少なくない中「福島の職人さんは違いました」と渡辺さん。思いやりあふれる職人さんに囲まれ、急速に技術を身につけていきました。「ありがとう」というお客さまの声は、やる気を後押ししました。

 

「このときの経験がなければ、今はありませんでした」と渡辺さん。福島と群馬を行き来する日々は、10年近く続きました。


新しいステップを求めて自分の会社を立ち上げ

「ひと所に腰を落ち着けるより、いろいろなことに挑戦をしたいタイプ」と自分を分析する渡辺さん。次のステップに進みたいと考えるようになり、今年6月に独立。建築の内装と、ドローンの撮影をする会社、株式会社WILLKOを立ち上げました。

 

渡辺さんの一番の持ち味は、使いやすくシンプルで、インパクトのあるデザイン。「他では断られてしまった」「どうしても譲れないこだわりがある」などと言われると、俄然、張り切ってしまうのだとか。自ら大工仕事をした経験から、大工としての知識も豊富で、それをわかりやすく伝えられるのも大きな武器です。オリジナルの建具は、空間と調和し、寸法もピタリ。「オリジナルというと金額が張るのでは? と心配されますが、決してそんなことはないので相談して」と笑顔を見せます。県産材をうまく活用するのも渡辺さん流。特に木の質感をダイレクトに感じられる無垢材は、住まいと共に色艶や手触りも変化し、一緒に育っていく楽しさがあります。

 

グローバルな視野と、誰とでもすっと馴染める柔軟性に富む渡辺さんの目は、今、海外に向いています。というのも、知人をとおしてカナダの別荘地の内装を依頼されたのです。300坪という広い別荘の内装を1か月で仕上げる予定なのだとか! 異国の地で偉業に挑む渡辺さん。「守りではなく、自分らしさを出し切りたい」とニッコリ。渡辺さんならではのデザイン性に富んだお仕事は、カナダの住人を驚かせ、喜ばせるはずです。


企業情報

株式会社WILLKO



◆住所/
伊勢崎市三和町1937-7

◆TEL:0270-75-4677、080-5880-0033

◆創業/2022年

◆営業時間/8:00~17:00

◆定休日/日曜

◆業務内容/建築・空間デザイン・店舗リノベーション・ドローン撮影


取材日 2022年10月(当時の屋号は The WILL-Ko-CRAFT Company)

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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