経営者の輪Vol.305 株式会社佐藤 営業部次長「内山竜一さん」

経営者の輪Vol.305 株式会社佐藤 営業部次長の内山竜一さん

今回、お話をうかがうのは、株式会社佐藤 営業部次長の内山竜一さん。「思考は現実化する」という言葉を自らの体験で証明した内山さんに、そのときのお話や、「どん底」から見事復活を遂げた解決法などを尋ねました。

プロフィール

内山 竜一(うちやま・りゅういち)さん

伊勢崎市出身

伊勢崎市在住






 

現実化した思考。憧れの職人に

サッカー少年だった内山さん。小学校4年生でサッカーを始めたきっかけは、友人からの誘いでした。とにかく仲の良いチームで雰囲気は抜群。そのチームワークの良さがベースとなり、中学生になるとメンバーみんなが飛躍的に実力を伸ばしました。最後の中体連では伊勢崎市で優勝。県大会に出場しますが、市大会ですべてを出し切ったメンバーたちは、県大会で早々に力尽きてしまいます。やるとなったら一直線。わき目もふらずにがむしゃらに突っ走る内山さん。「この時、一足先にやり切った感を覚えてしまったことは、今でも後悔している」と悔しがります。

 

高校は、サッカーのつながりで伊勢崎工業高校・機械科に進学。ところが、高校生活は内山さんが思い描いていたものと違っていました。次第に高校から足が遠のくように。2年生に進級すると、その違和感はいっそう強くなり、思い切って高校を離れる決意をするのです。飛び込んだのは、建設業でした。

「自分で意識こそしていなかったものの、中学時代からずっと職人ってカッコイイと憧れていたのです」と内山さん。「うちの社長が『思考は現実化する』とよく言いますが、その通りです」とキッパリ。早速、建設業界で職人として働き始めました。

 

一時は、友人3人と住み込みで働き、どっぷり「職人」にはまっていたことも。しかし、何のために働いているのか? と自問自答した時、答えに詰まる自分がいました。時期を同じくして、ご両親からも大学進学を勧められていました。考えた末、退職。大検合格を目指して予備校へ通い始めました。半年後、見事合格。同級生と同じ18歳で、大学入学を果たしたのです。


人生を変えた1本の電話

予備校時代も鉄骨とび職のアルバイトをこなしていた内山さん。大学生になると、飲食店やパチンコ店でのアルバイトも経験します。しかし、他を知ったからこそ「建設業に従事する人と関わることが心地良い」とはっきりと気づきました。そんな中、大学2年生で結婚。家庭を支えるため、大学生活を続ける傍ら、派遣でのアルバイトを始めることにしました。

 

転機はある日突然やってきました。今まで全く経験したことのない、結婚式場での仕事を紹介されたのです。社長も上司も内山さんをとても可愛がってくれました。暮らしのリズムもでき始めました。こうして大学卒業と同時にこの式場を運営する会社に入社。「言葉遣いやビジネスマナーを身につけたのもこの会社。会社が自分を大人にさせてくれた」と振り返ります。また、上司の勧めで伊勢崎商工会議所青年部にも入会。ここではさまざまな経営者とのつながりが生まれました。「社会はこう回っているんだと見えてきた」と話します。「このときの経験がなければ今、営業はできていなかった」そう言い切るほど、内山さんに大きな影響を与えました。

 

 

しかし、数年経った時、求人情報が気になるようになります。目に入ってくるのは建設業ばかり。内山さんは、思い切って転職を試み、前橋の建設会社に就職が決まりました。それに伴い「伊勢崎商工会議所青年部を退会します」と報告を兼ねたお礼のメールを一斉に配信。すると、ものの1分もしないうちに内山さんの電話が鳴ります。

 

声の主は株式会社佐藤塗装(現 株式会社佐藤)の佐藤和幸社長でした。佐藤社長は、内山さんが勤めていた結婚式場を贔屓にして、「プランは任せる」と内山さんに信頼を寄せてくれていた一人。しかし、親しく話をする間柄ではなかったといいます。内山さんにとって佐藤社長は憧れの人。「頭が切れてカッコ良く、あんな風なりたい」と思っていた人物からの電話にドキリとしました。

 

佐藤社長の第一声は「転職って、建設業だろう?」。心の中を見透かしたように言葉にびっくり。「うちも建設業だよ、とりあえずいちど話を聞きにおいで」と誘われて、同社を訪れ「そこでクロージングされました」のだそう。

 

転職先まで決まっていたのに佐藤社長について行こうと心を決めたのは「佐藤社長と話すうちに、明るい未来が浮かび、仕事への期待感やモチベーションが一気にアップしたから」だと言います。入社する前から心の中は「やるぞ」という気持ちでいっぱいになっていました。奥様も賛成。1本の電話から内山さんの進む道は、急展開したのです。


素直でがむしゃら。それゆえに乗り越えられた壁

30歳で株式会社佐藤塗装に営業担当として入社。建設業の経験はあったものの、塗装の仕事も営業の仕事も全く初めて。最初のうちは部長に同行し、現地調査に同行したそうです。隣で話を聞いていても、専門用語が多くわからないことがだらけ。しかし、内山さんは先輩たちに迷惑をかけたくない、とできる限りインターネットで調べ、どうしてもわからないところだけを教えてもらったそうです。「インターネットに助けられた」と内山さん。「Googleが先生でした」と笑います。

 

結婚式場で叩き込まれた丁寧な言葉遣いと、品のある立ちふるまいは、お客さまに好感を与えるのに十分。これが内山さんの大きな武器になりました。最初は、部長が見通しの確かなお客さまを渡してくださり、順調に受注を重ねていきました。半年後、営業マンとして独り立ち。「本当に大変なのはそれからでした」と内山さん。アポイントを取って見積もりを提出するまではスムーズですが、契約に至らない。そんな時期が1年ほど続いたといいます。本を読んだり、やり方を変えたり、内山さんは1人でもがき苦しみました。

 

佐藤社長に相談に行き、一度受けた佐藤社長の営業研修を、もう一度受けさせてほしいと頼み込んだそうです。それからは朝8時から30分間、佐藤社長がマンツーマンで営業の勉強に付き合ってくださいました。佐藤社長の営業スタイルは独特です。「売りに行くな。選んでもらう存在になれ」。今の自分の中身を抜き出し、佐藤社長の考えを自分の中にすっぽり入れるような気持ちで臨んだそうです。

 

なかなか実行するのは難しいですが、根が素直で誠実な内山さんは、佐藤社長の言葉をストレートに染み込ませることができました。「どん底に落ちたことで振り切れました」と内山さん。ちょうど新卒の社員も入り始め、1人の営業として成り立っていかないと、というプライドが内山さんを強くしました。

 

2020年、熊谷支店に異動。今では営業部の次長を務め、営業だけでなく、社員教育、採用も担当しています。内山さんが心がけているのはお客さまの希望をきちんと受け止めること。言いたいことを理解し形をする――。お客さまが抱える問題を自分ごととして共感し、喜んでいただける提案・施工をしています。心と心の結びつきが、信頼となり、内山さんとお客さまを強く結びつけていきます。

 

夢は、株式会社佐藤がグループ化した時、グループ内の会社の社長になること。このことは佐藤社長に申告済です。「それには、まだ経営マネジメントの力が不足しています」と自己分析をする内山さん。「自分は頑張れる人なので」と朗らかに前置きをした後で「頑張りをさらに発揮していきたい」とニッコリ。思考は現実化する――、内山さんの夢はすでに現実化の一途をたどっています。


企業情報

株式会社佐藤



◆住所/(
本社)伊勢崎市上植木本町916-1

(熊谷支店)埼玉県熊谷市新堀930-5

◆TEL:(熊谷支店)048-594-7845

◆営業時間/8:30~17:30

◆定休日/日曜、祝日

◆業務内容/住宅・マンション・アパート・店舗・倉庫・ビル・屋根・内装・外壁補修・外壁・塗装・塗り替え・補修・雨漏り・リフォーム・外構工事・小工事・防水工事



 
 
 

取材日 2022年10月


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あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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