今回、お話をうかがうのは、株式会社タリモ 代表取締役 齋藤聖浩さん。バスケットによって切り拓かれた進路、独立後の仕事がスムーズに運べた理由、独立後のお気持ちなどを尋ねました。
齋藤 聖浩(さいとう・まさひろ)さん 伊勢崎市出身 伊勢崎市在住
今年3月に設立したばかりの株式会社タリモ。その代表取締役を務めるのが齋藤聖浩さんです。聞き慣れない「タリモ」という社名。字面から「タモリ?」と間違えられることもあるのだとか。実は3人のお子さんの頭文字をつなげたもの。大切に育てていく、という決意を感じます。 そんな齋藤さんの進路を決定づけたのは、小学校3年生の時にお姉さまの影響で始めたバスケットボールでした。殖蓮中学校でもバスケットボール部に入部。当時の殖蓮中学校は県大会の常連校で、当然、齋藤さんたちの代にも期待がかかっていました。3年間で最も思い出深いのは、夏の伊勢崎市大会の決勝戦。対戦相手は、普段なら負けることなど考えられないチームでしたが、このときばかりは相手の調子が良く、逆に殖蓮中は絶不調。リードを許したままゲームは進んでいきました。
ラスト10秒。パスは齋藤さんのところに回ってきました。受け取ったのはコートの角。齋藤さんが得意とする位置でした。「負けてしまうのでは? という不安を抱えながら、冷静にシュートが打てました」とその時を振り返る齋藤さん。見事に決まり、試合は延長戦へ突入しました。そこからは気持ちを取り戻したメンバーたち。無事に勝利し県大会へ駒を進めました。県大会では惜しくも優勝校に当たってベスト16で敗退しましたが、肝を冷やした市大会の決勝戦は、県大会のどの試合よりも強烈な印象を残しました。
高校は高知県の明徳義塾高校に進学。わずか15歳で生まれ育った伊勢崎から遠く離れた高知へ。しかし、寂しいという気持ちはなく、むしろワクワクしていたのだとか。ご両親も「いってらっしゃい」と快く送り出してくれたそうです。 明徳義塾は高校だけでなく中学もあり、寮生だけでも数百人。日本だけでなく海外からの留学生もいて、齋藤さんは目の前が急に開けた思いがしたそうです。ここでもバスケット部に入部。しかし、腰を痛めてレギュラーメンバーへの道は難しくなってしまいました。それでも好きだったバスケットを続けながら、吹奏楽部で楽器を演奏したり、銃剣道に挑戦したり、と今までとは違う学生生活を送りました。 一番の思い出は、高校2年生で3カ月間、オーストラリアに留学したことです。ホストファミリーの家に滞在し、そこから語学スクールへ。70代のホストファミリーご夫妻のスキンシップが強烈だったこと、ランチボックスを開けるとリンゴ2つとレバーやイワシなどのペーストがたっぷり塗られたパンだったことなど、文化の違いにも驚かされたとか。「英語が苦手だった」という齋藤さんですが、3カ月で英語にどっぷりつかっているうちに、言われることはわかるほどの英語力を身につけていました。そして、帰国後に受けた英検準二級にすんなり合格。「今だったら受からないでしょうね」と環境が与える影響の大きさを語ります。 その後、得意だった国語をさらに学ぼうと、東洋大学文学部に進学。「思っていた学びと少し違った」と言いますが、古文や漢文もノートをとりながら講義に出ていたそうです。 大学3年生からは公務員を目指して準備を始めますが、4年生の秋、残念なことに本当に志望していたところからは良い知らせが届きませんでした。当時は「残念」だったこの知らせこそ、その後の齋藤さんを輝かせるきっかけとなったのです。
大学4年生の秋から企業訪問を始め、内定をもらったのがアパートやマンションの提案から建設までを手がける大手建築会社。本社採用ではありましたが、配属先は高崎。齋藤さんの社会人生活は、地元・群馬から始まりました。 営業職に就いた齋藤さんの仕事は、土地のオーナーさんが所有する土地の悩みを聞き、それを建物の賃貸事業で解消できる方法を提案すること。インターフォンを押しても切られてしまったり、ドアをピシャリと閉められたりと苦い経験も味わったそうです。当時、社内には日焼けをしていること=仕事をしている、と思われる風潮があったため「なるべく日焼けをするよう上を向いて歩いていました」と涙ぐましくも、笑えるエピソードも。 物件が大きいだけに、そうそう契約が取れるものではありません。齋藤さんは、今後、土地を相続する若い世代の悩みを聞くようにしたそうです。こうして着々と実績を積み上げ、配属になった高崎・前橋・太田のすべての支店で管理職を任されるまでになっていました。 一方、悩みもありました。若くして管理職になったため、いわゆる「部下」と呼ばれる人の中には、自分よりも年上、もしかしたら親子くらい年が離れた社員もいたのだそうです。人当たりが良く柔らかな物腰の齋藤さんは、他人に強くものを言うことが苦手。しかし、上司からはしばしば「(部下に)もっと強く言うように」と促されていたのだそうです。それでも、自分らしさを貫いた齋藤さん。上からモノを言うのではなく「一緒にやりましょう」「〇〇した方がいいんじゃないですかねぇ?」と、一人ひとりの部下に寄り添った自分らしいやり方を通しました。「敵を作らかった」と齋藤さん。このことがその後、齋藤さんの道を切り拓く手助けにもつながっていくのです。 勤め始めて10年、やり切った感を感じた齋藤さんは、独立を考えるようになりました。不動産で悩む土地オーナーに対し、マンションやアパートでしか解決策を提案できないところにも歯がゆさを感じていました。上層部からは強く引き止められましたが、気持ちは変わりませんでした。奥様も独立に賛成。こうして今年の3月に「株式会社タリモ」を立ち上げ、さまざまな申請の許可が下りた6月2日の午後から正式に会社が稼働しました。 それから3ヶ月。「毎日が楽しくて仕方がない、ワクワクの連続」と満面の笑みで語る齋藤さん。「敵を作らなかったこと」が幸いして、メーカーの社長や前の会社から巣立って別の会社に行った仲間たちから問い合わせの連絡がひっきりなしに寄せられます。スケジュールに空きがないほどで「やっている感があって充実しています」と声を弾ませます。 目標は、ある会社の社長。同業者ですが、齋藤さんの独立を心から喜んでくれたそう。目標となる具体的な人物が身近にいるのは、大きな励みになります。その社長の姿を目標に、仲間たちの応援を受け、今日も齋藤さんの充実した一日が始まります。
株式会社タリモ ◆TEL/ 0270-61-8547 取材日 2022年9月
◆住所/伊勢崎市宮子町3574-1-A1
◆創立/2022年3月1日
◆営業時間/9:00〜18:00
◆休日/不定
◆業務内容/不動産売買、不動産仲介、リフォーム
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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