経営者の輪Vol.297 snack&bar 紫月の代表「長岡真美さん」

経営者の輪Vol.297 snack&bar 紫月の代表 長岡真美さん

今回、ご紹介するのは、snack&bar 紫月の代表・長岡真美さん。ボランティア精神あふれる長岡さんが最初に目指したのは、手話通訳士。その夢を諦めた驚きの理由や、同店を開くまでのパワフルなエピソードを「大笑いしながら」うかがいました。

プロフィール

長岡 真美(ながおか・まみ)さん

前橋市出身

伊勢崎市在住






 

目指していたのは「テレビに出る手話通訳士」

くっきりとした顔立ちでエキゾチック美人の長岡さん。両親が聴覚に障害があったことから、小さいころから身近に福祉があり「ボランティアをするのが好きだった」そうです。高校時代「視覚障害を持った子どもが読める絵本がない」と聞けば、点字を勉強して独自に点字絵本を作成するような、なんとも愛情あふれたお子さんでした。


ご両親とは手話で会話。将来は、テレビに登場する手話通訳士になりたいと思っていたそうです。手話のサークルの先生を務めていたご母様と一緒に、そのサークルに参加。手話の腕を磨いていました。


ところが、あるときサークルの人から衝撃的なことを聞かされるのです。「テレビで活躍する手話通訳士は、顔が派手だとなれないんだって」。

「私、小さい頃からずっと顔が派手なので」と笑う長岡さん。長岡さんが目指していたのは、手話通訳士の中でも「テレビに出る」手話通訳士です。思い描いていた夢が「ダメなんだ」と思ったら、心がしぼんでしまいました。


そんなとき、ひょんなきっかけから住宅の建築の手伝いをする機会に恵まれるのです。「今でも忘れられない」と話すのが、初めて関わったお住まい。夜、完成したそのお宅の前を通ったとき、カーテン越しに親子の影を見えのだそうです。「建物」が「住まい」に変わった瞬間を見て「涙が出るほど感動した」と長岡さんは振り返ります。長岡さんの豊かな感性を物語ります。


「働かないと元気がなくなってしまう」という元気いっぱいの長岡さん。昼は大工、夜はキャバクラと二足のわらじをはいてアグレッシブに働いていました。全力で突っ走り「大工もキャバクラも自分の中でやり切った」と思ったのは、30歳になったときでした。


お店を持つことを目標に

キャバクラを辞める時「仲間の女の子たちと、いつか自分たちの理想の店をやりたいね」と話していたという長岡さん。しかし「今の自分では、誰もついてきてくれない」と思ったのだとか。当時の長岡さんは、歯に衣着せぬ物言いをするタイプ。少し、社会で揉まれなければと思ったそうです。


そんな長岡さんが飛び込んだ社会は、運送業。実は、お父さまがトラックの運転手、お祖父様がバスの運転手という環境が影響したせいか、長岡さんは小さい頃から車が大好き。トミカがお気に入りで、クリスマスのプレゼントには「ユンボ」をもらったこともあったのだとか。トラックの運転手になるには、フォークリフトの免許を持っていた方が有利になる、と考え、まずはフォークリフトの資格取得から始めました。


こうと決めたら一直線の長岡さんは、派遣社員として働き始めます。気が付けば50人いた派遣社員は、長岡さんともう一人のたった2人になっていたのだとか。それほど、厳しい現場だったのです。しかし、見ている人はちゃんと見ているもの。ある日、ある運送会社から引き抜きの声がかかるのです。仕事中に腕を複雑骨折で全治3カ月と言われるものの、1カ月で「治っちゃいました!」と明るく仕事を続け、長期間のドライバーも務めました。


ドライバーをしながら、出店する候補地を探していた長岡さん。「お店を出すならここ」と決めていたのが昭和町のテナントでした。そんなとき、ある連絡が入るのです。


コロナ真っ只中に2店舗目をオープン

それは「お目当てだったテナントが空いた」という連絡でした。一歩入ったときに「ここだ」とビビッときた長岡さんは、予定より少し早くはありましたが、お店をオープンさせることに決めました。リフォームのときは、職人さんに混ざって大工だった腕をふるったそう。楽しく豪快、その一方で細やかな心づかいができる長岡さん。会った人はきっと誰もがファンになってしまいます。職人さんたちも、長岡さんの魅力にひかれ、長岡さんのために力を出し合い、楽しくお店づくりが進みました。そのお店は、長岡さんのラッキーカラーをとって「紫月」と名付けられました。


自分で開くなら「アットホームなお店に」と決めていた長岡さん。また、ご自身の経験から「自分が嫌だと思うことはしないように」心がけたといいます。スタッフの衣装は貸与、代行代を支給、お客さまがいらっしゃらない時も最低3時間の勤務保障などスタッフの待遇を整えました。


楽しい女性スタッフに加え、紫月の自慢は、厳選した日本酒やワインです。長岡さん自ら蔵元や試飲会に出向き「これは」と思う選りすぐりだけを提供。ほかでは味わえない逸品や限定品もそろいます。


「開店当初から3年後に2店目を出す」と公言していた長岡さん。その間、最大のピンチは、新型コロナウイルスまん延防止等重点措置による、クローズや時短です。しかし、そんな中でも、公言通り2店目となる「bar樹」をオープンさせるのです。「1店舗目を出した時よりも大きな賭けだった」と振り返ります。樹のスタッフは全員男性。オリジナルカクテルをいただけるゆっくり落ち着いて飲めるおしゃれなバーです。


楽しくて周りを笑いでいっぱいにするヒマワリのような印象の長岡さんですが、スタッフとぶつかり、頭を悩ませたこともあったそうです。

あるスタッフのお客様への対応が気になっていた長岡さんは、ある時、注意をするには強い口調になってしまったことがあったそうです。帰宅後、冷静になって考え、深く反省。翌日、まずは頭を下げて「ごめん。本当にごめん」と謝ったのだそうです。その上で相手の意見も聞き、こちらの言いたいことも今度は冷静に伝えました。向き合ってしっかりとコミュニケーションをとっていくことで再び気持ちの良い付き合いができるようになりました。長岡さんの心の奥底には、まちで偶然会っても気まずい思いをしたくない、いつでも気持ちよくつきあいたいという思いがあります。正直な付き合いをしたい、という長岡さんの心が表れるエピソードです。



とにかく話題に事欠かず、楽しい話が盛りだくさんの長岡さん。訪れた誰もが元気になり、お店を後にしてからも思い出して二度も三度も楽しい気持ちになれます。そう思う人たちが、今日も紫月に足を運び、店内は楽しそうな笑い声で満ちています。


企業情報

snack&bar 紫月

◆住所/伊勢崎市昭和町3803番 サンライズ伊勢崎1-C

◆電話/0270-75-5528

◆営業時間/20:00~25:00

◆店休日/木曜

◆創業/2018年

◆業務内容/飲食業


Bar 樹

◆住所/伊勢崎市本町8-7 金鳳ビル1F南

◆電話/050-5304-3994

◆営業時間/1:00~28:00

◆店休日/木曜


 

取材日 2022年6月
 
 


 




 

 

 

 

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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