今回、お話を伺うのはHaichi株式会社の代表取締役 荒木崇文さん。社会に出て気づいたコミュニケーションの面白さや、同社を立ち上げるまで、また取り扱っているウォーターサーバーの魅力について伺いました。
荒木 崇文(あらき・たかふみ)さん 太田市出身 伊勢崎市在住
荒木崇文さんが代表取締役を務めるHaichi株式会社。その母体は、お父様が社長を務める株式会社 日本常備薬です。富山出身の曽祖父様が置き薬の仕事で訪れた桐生市で、昭和元年に創業しました。 荒木さんが子供の頃は、ご自宅が事務所を兼ねていたため、ご両親が働く姿を間近で見て育ちました。外に出る仕事が多かったお父様、家事や子育てをしながら会社を切り盛りしていたお母様。「忙しそうだったので、手を煩わせてはいけないと思った覚えがありますが、どこか寂しかったのかもしれませんね」と当時を振り返ります。 小学生の頃、良い先生と出会ったことで、教師を志し、恩師の母校である文教大学へ進学。しかし、大学入学後、将来の夢に変化が生じました。 「身近な人を助けることのできる仕事、と考えたとき、真っ先に浮かんだのが両親の顔でした」と荒木さん。 長男である荒木さんに、跡を継ぐように言ったことは一度もなかったというご両親。荒木さんの選択に、お母様は嬉しそうにほほ笑んだそうです。大学を卒業後は、仕事のイロハを学ぶべく新潟県内にある同業他社に入社しました。 右も左もわからない未開の地で、初めての1人暮らしをしながら社会人としてスタートを切った荒木さん。任されたのは、置き薬の営業担当で主に新規開拓でした。置き薬の営業は特殊です。目的を持ってお客様が来てくださるのではなく、お客様の元に訪ねていって薬を置かせてもらい、古くなった薬を交換したり、使用分の料金をいただいたりします。 新規営業の場合、家族構成やライフスタイル、健康状態など情報は一切ありません。そんな中、頼りになるのが「雑談」です。他愛もない話の中から、お客様が必要としているものを探ります。 改めて雑談と言われても何から話せばいいのか? 大学を卒業したての荒木さんにはわかりませんでした。 上司は、元ホテルマンでお客様への徹底した心配りに努力を惜しまないことで知られていました。その上司からは「スポーツの話、政治の話、宗教の話はご法度。天気の話もできれば避けるよう」に言われ、途方に暮れたそうです。 断られるのが当たり前という世界で、とっかかりであり営業の肝でもある「雑談」で悩んだ荒木さん。訪ねては凹み、の繰り返しで、最初のころはメンタル的にもキツかったそうです。 そんな中、荒木さんの心の特効薬は「面白いことを見つけること」。仕事中に見つけた面白いことを、同僚に話すことで気持ちが回復していきました。
うまい具合に自分のスタイルが定着し始めた荒木さんは、新たな楽しみも見つけました。それは、今まで荒木さんを悩ませていたお客様との「雑談」です。「お客様は40代くらいから、上は90歳、100歳まで。普段は会うことのない、幅広い年齢層の方といろいろな話ができたのは財産」と胸を張ります。 また、タイプの異なる先輩の同行営業をすることで、自分のキャラクターを大切にすることも学びました。こうして、コミュニケーションの大切さ、楽しさ、そこから得られる貴重な経験の数々を存分に感じることができたのです。 およそ1年間の修行を終え、群馬にUターン、株式会社 日本常備薬に入社しました。 入社して良かったことの1つは、今まで知らなかったお父様の一面を知ることができたことです。「それまで頻繁に話をする親子ではなかった」と語る荒木さん。仕事という共通点を介して、お父様の経験談などを聞く機会に恵まれ「知らなかった父の姿が見えてきました。いろいろな苦労をしていたんだな、ということにも気づきました」と感慨深そうに話します。 また、ご自分のルーツも改めて目を向けることができました。株式会社 日本常備薬の創業者である曽祖父様を襲った最大のピンチは昭和20年代にカスリーン、アイオン、キティと続けざまにやってきた大きな台風でした。これによって、街は水に流され、お客様を失い、お客様のもとに預けていた薬、つまり在庫をなくし、それに伴い売掛金も回収できないという危機的な状況に陥ったのです。そんな中、曽祖父様は富山に薬を買い付けに行き、困っているお客様のもとへ駆けつけ、お金もいただかずに薬を置いて回ったのだそうです。 また、先日は曽祖父さまの出身地である富山に法事で出かけた時、親戚の子供さんが荒木さんに「はい」と小さな手でグミを差し出したのだそうです。あまりにも自然なその行動を見て、親戚の人が「豊次郎さん(曽祖父様)も人に何かをあげるのが好きだったのよ」と話してくれたのだとか。人に何かをしてあげる事が好きな荒木家。このとき荒木さんは、株式会社 日本常備薬が経営理念に掲げる「利他で行動」は、荒木の血なのだと気づいたと言います。会社としての存在意義を見直すことにもつながりました。 置き薬から始まった株式会社 日本常備薬は、時代とともにサプリメント、日用品、と経営の柱を増やしてきました。さらに、お客様のご家族皆様に喜んでもらえるものは?と探っていたところ、たどり着いたのが「水」でした。平成28年の事でした。
この水は「海人ぬ宝」(うみんちゅのたから)と言って、沖縄近海から産出されるサンゴを活用する身体と環境にやさしいウォーターサーバーで、水道水を使って自宅でミネラルウォーターがつくれるのが特徴です。タンクで水を保管しておく煩わしさがないのも嬉しいところです。 日本人に不足しがちなカルシウム、マグネシウムが入った美味しくて身体のバランスを整える水で、水分を含んで食べ物を柔らかくしたり、物を溶かして良さを引き出したり、熱を早く伝えるなどの作用があります。 お茶やコーヒーがおいしく入れられたり、お米がふっくら炊き上がったり、神棚のサカキが長持ちしたり。半年に1度、スタッフがメンテナンスに来てくれるので清潔さが保てるなど、メリットがいっぱいです。 取り扱いを始めてから受注が順調に伸びていったことから、翌年に分社化。こうして誕生したのが、Haichi株式会社です。社名は、置き薬(配置薬)からヒントを得て、お父様と考えたそうです。代表取締役には荒木さんが就任しました。 新会社でも基本となるのはコミュニケーション。年に2回のメンテナンスでお客様のお宅へ伺い、様々な話をしながらお客様のニーズや困りごとを引き出し、それぞれに役立つ「情報のプレゼント」をしています。 「有難いことに紹介で増えてきました」という「海人ぬ宝」。「今までにはなかった展開」と口元をほころばせます。今では県内だけでなく栃木や埼玉にエリアを広げ多くのお客様の健康と快適のお手伝いをしています。「来てくれてありがたい」と喜んでもらえることは、大きなやりがいになっています。「これからも、ひとりひとりのお客様を大切にしながら、より多くのお客様に喜んでいただける仕事をしていきたい」と夢を語ります。 忙しい荒木さんの息抜きは、高校時代から続けている弓道です。師と仲間に恵まれ、昨年には五段に合格しました。「弓道は子供からお年寄りまで同じルール。同じ土俵で腕を競うことが出来るのも楽しさの一つ」と優しい笑顔を見せる荒木さん。弓道は、誰とでも分け隔てなく接する荒木さんをつくった一つの要因かもしれませんね。
Haichi株式会社 ◆伊勢崎市寿町120-1 ◆TEL/0270-75-3633 ◆設立/2017年 ◆営業時間/8:30〜18:30 ◆休日/第2・第4土曜、日曜、祝日 ◆業務内容/ウォーターサーバーのレンタル、メンテナンス 取材日 2022年1月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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