経営者の輪Vol.279 DYNASTY 代表 「戸丸恵美さん」
経営者の輪Vol.279 DYNASTYの代表 戸丸恵美さん
今回、お話を伺うのは、DYNASTYの代表 戸丸恵美さん。一緒にいるだけで心が浄化されるような気持ちの良い戸丸さんに、迷ったときの道の決め方、大切にしていること、心地よく生き方のヒントを教えていただきました。
意外にも体育会系⁉ スノボのケガで新天地へ
道に迷って何度も電話をする私に、その都度、優しく丁寧に対応してくださる戸丸さん。ようやく着いたときは、嫌な顔ひとつせずに「伝え方が悪くてすみません」(戸丸さん)と!!! なんて素敵な心遣いのできる方なのでしょう!
ふんわりした巻き髪に、ぱっちりした目元。モデルさんのような愛らしい戸丸さんですが「実は体育会系」なのだとか。
川場村で育った戸丸さんは、小学生から中学三年生まで競技スキーに打ち込む傍ら、中学時代はバレーボール部に所属。高校時代は空手部に籍を置いていたそうです。高校時代に始めたスノーボードは、インストラクターになることを考えたほどに夢中になりました。
卒業後は、憧れていた東京へ。それでも冬になると川場に戻り、スノーボードを楽しんでいました。一度、地元を離れたことで逆に地元の良さを見つめ直すことができた戸丸さんは、生まれ育った川場村にUターン。ゴルフ場に就職し、フロントで働き始めました。
冬、雪が降るとクローズになってしまい、副業を許されていたゴルフ場は、戸丸さんにとって理想的な職場。しかし、心のどこかで「本当にやりたい仕事?」という疑問が渦巻いていました。
そんなとき、スノーボードで大けがを負ってしまいます。入院を余儀なくされ、退院後はフロントに立つことを辛く感じるようになっていました。
「今、思えば辞める理由を探していたのかもしれません」と言葉をつむぐ戸丸さん。「ケガを負ったとはいえ、やってできないことはなかった」と振り返ります。そして、入院中の縁がきっかけとなり、伊勢崎に移り住むことを決意したのです。
好きを追求して広がる世界
伊勢崎で新たな暮らしを始めた戸丸さんは、キャバクラに勤務。それ以外は、今まで自問自答していた時間を取り返すかのように「好き」に向かってまい進しました。
もともと手先が器用で細かなことが好きだった戸丸さん。ネイルサロンで、自分のネイルがきれいに仕上がる過程を見ながら興味をもち、スクールに通うとサロンをオープンさせるまでになりました。
ヨガではインストラクターの資格を取得。知人から声をかけられ、ジムに出向くことも増えてきました。
ダイビングにも夢中になり、仲間と共に年に2回はフィリピンへのツアー。海外旅行が趣味に加わり、行動範囲は世界規模になっていきました。
海外で気づいたのは、日本人であることの素晴らしさ。日本では、多くの人が当たり前のようにしているマナーが、海外では賞賛に値することを知ったのです。
一方で「知らない」自分も見えてきました。生まれ育った国なのに、改めて聞かれると知らない、分からないことがたくさんあることに気づきました。
そこで始めたのが、日本舞踊です。元々、お祖母様とお母様が日本舞踊をやっていたこともあり、週に2回は川場に帰ってお稽古。「空手と似通ったところがあり、すぐになじむことができました」と話します。やがて興味は、着物、所作と興味が広がり、着付けの免許も取得するまでになりました。
「好き」を追求しているうちに、どんどん世界が広がり、戸丸さん自身も変わっていきました。ネイルサロンとヨガに本腰を入れようと、キャバクラ勤めにピリオドを打ったのです。
ところが、そんな戸丸さんをキャバクラ時代のお客様は放っておきませんでした。
「自分たちが本当に行きたいお店をつくってほしい」。
不思議なことに一人ではなく幾人ものお客様から同じ要望が寄せられたのです。
「頼られるのはうれしいことではありました」と戸丸さん。
それでも実際に起業するとなると、資金や人材など不安材料が山のように積み重なっていました。
しかし、あるとき、こう考えたと言います。
10年後、あのとき、やっておけばよかったと思うのか?
たとえ失敗したとしてもやって良かったと思うのか?
決めるのは自分の心ひとつ。
折角なら、チャレンジして後悔した方がいい――と。
後押しをしたのは、自分を信じる気持ちでした。
そして、その「自分を信じる気持ち」を支えてくれたのは、起業を勧めてくれたお客さまたち。
「『女』を売らない」戸丸さんの仕事ぶりを、真のプロフェッショナルとして評価してくれたことが、大きな自信と誇りになりました。
「契約書に判を押した後は、一切の迷いがなくなりました」と戸丸さん。夢の実現に向けて動き始めました。
お客さま、スタッフに恵まれて
新しいお店づくりで目指したのは、ホッとできる空間。女性一人でも安心して訪れることができ、待ち合わせのようにも使え、誰かと出合っても恥ずかしくない場所。お手本はホテルのラウンジです。一流ホテルに何度も足を運び、イメージを固めました。
こうして誕生したのが、DYNASTY。王朝や名家と訳されることが多い言葉ですが、強豪チームという意味もあります。戸丸さんは「強豪チーム」と言う意味に惹かれ、スタッフだけでなく集うお客さまも含めて高いプロ意識を持ったチームでありたいとの願いを込めてこの名をつけました。
万人に受け入れられなくてもいい、戸丸さんが感じた「いいな」を集めたDYNASTYは、類い稀なお店になりました。
完全な紹介制で、初めて訪れる人は、常連客と一緒に訪れるのが決まりです。「聞いていたのと雰囲気が違う」というトラブルを避けるためです。
店内は禁煙。いつでもクリーンな空間は、時間制でないテーブルチャージ制で、時間を気にせずゆっくりできます。
戸丸さんが「ベビーちゃん」と愛情たっぷりに呼ぶスタッフは7人。「要求することは何もない、パーフェクト」なスタッフたちで、プロ意識の高さは戸丸さんもビックリするほど。客足が途切れたとき「休も♪」と誘うと「丁度良い機会だから、いつもできないことをしましょう!」と、普段は使わないグラスをぴかぴかに磨くなど、今、自分たちにできる仕事を自分から見つけてどんどん進めていくのだとか。実に有能です!
紹介でつながったお客さまは、価値観を同じくする人が多いようで、DYNASTYで仲良くなるお客さまも多いそう。中には、仕事に結びつくこともあると言います。DYNASTYは、新たなビジネスが生まれ、豊かな社会をつくり出す「泉」のような場でもあるのです。
起業から今年で4年目。「最高の仲間に恵まれ、最高に幸せ」と微笑む戸丸さん。
「無理に背伸びはしない。でもその時その時でベストを尽くす自分でありたい」と背筋を伸ばして話す戸丸さんは、キラキラと輝き、実際よりもずっと大きく見えます。
戸丸さんが理想とするのは「お客さまにもスタッフにももうこんなに時間がたったの? 思ってもらえる空間」。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますからね。逆に言えば、時間があっという間に過ぎるというのは、それだけ充実した時間を過ごしているという証拠です。
かくいう私も、ふと時計を見ると5時近く。取材を始めたのが2時ですから、3時間近くが経過していたことになります。ついさっきノートを広げたばかりだと思っていたのに、「あっ」という間もなく時間が過ぎていました。
お話を伺ったあとは、気持ちがすっかり浄化されたよう。心は軽く、元気がみなぎって、なんとも心地がよいのです。DYNASTYに集うお客さまもきっとこの心地よさを感じているのでしょう! 「地元にもこういうお店がほしい」とつぶやく市外のお客さまが多いというのも納得です。
企業情報
DYNASTY
◆伊勢崎市本町4‐37 3F
◆TEL/0270-50‐0201
◆設立/2019年
◆営業時間/20:00~翌1:00
◆休日/土曜、日曜
◆業務内容/飲食業
取材日 2022年1月
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)
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