今回、お話を伺うのは8hammer株式会社(エイトハンマー)の代表取締役 土井 一樹さん。物心ついたときから「社会に出ること」を意識していたという土井さんに、起業まで経緯と会社の強みについてうかがいました。
土井 一樹(どい・かずき)さん 前橋市出身 前橋市在住
高崎問屋町駅から徒歩5分。さまざまな会社が集う一角に「引っ越したばかり」という、土井さんのオフィスがあります。ドアを開いたところには、広いフリースペース。可愛らしいベビーサークルがあり、その先には可愛らしい赤ちゃんをおんぶしたオフィスの役員で奥様でもある小百合さん。ベビーちゃんもごきげんなスマイルで迎えてくれます。 「この時期、毎日の変化がわかるくらい成長していますからね」と土井さん。子どもの成長を間近で見られる、このうえない幸せを感じながら仕事ができる最高の環境です。 そんな土井さんは、小さい頃から絵を描くことが大好き。特にキャラクターを描くのが得意で、漫画家を夢見ていました。ところが、ご両親は大反対。 「子どもを前にそこまで反対しなくても…、と思いましたが、親になるとその気持ちが少しわかる気が」と目じりを下げながら話します。ご両親の思いを汲んだ土井さんは、ご自分の気持ちを胸に秘めながら、もう一つ自分の好きなものに目を向けます。それが「ゲーム」でした。当時、ご両親からパソコンを買ってもらいプログラムの面白さに目覚めた土井さん。ゲームをつくることにもつながり、ほかにも需要がありそう、との思いから前橋工業高校の電子科に入学します。 「理由がわからないけれど、社会に出るということを常に意識していた」という土井さんの視線は、中学生のころから未来に向けられていたのです。高校入学と同時にアルバイトも開始。大型量販店、飲食店、コンビニなどさまざまな業種を経験しました。 高校卒業後は、中央情報経理専門学校のゲームクリエイターコースに入学。ここでの講師との出会いが、土井さんの人生を大きく左右するのです。 当時は、就職氷河期。土井さんは夢を追いかけ、世界的に知られる、ゲーム開発〜製造〜販売を手掛ける会社の最終面接までこぎつけました。あとは、採用決定の通知を待つだけ。しかし、結果は不採用。土井さんも当時の担当者も「ダメな理由が見つからない」不本意な知らせでした。後日、耳に入ってきたのは「真面目すぎたのでは?」という話。なんともやりきれない思いに駆られたと言います。 気が付けば、就職活動は終盤。ほとんどの会社の採用は終わっていました。
就職したかった、という思いを抱きながら、短期のアルバイトを繰り返しました。誰よりも早く「社会に出ること」を考えていただけに、就職をした友達の話を聞く度に気持ちは沈んでいきました。 このままではダメになる、と感じ、自分の好きな「思いをかたちにする仕事」を求めて印刷会社に就職。ところが、ほどなくして体調の異変を感じます。あまりの激務に体が悲鳴を上げたのです。 そんなとき、声をかけてくれたのが、専門学校時代の恩師。恩師の会社に誘ってくれたのです。「大きな会社でないので、0から10まで携われる、と聞いて心が躍りました」と土井さん。早速、転職をすることになりました。これが土井さんにとっての人生の転機となりました。 チラシ制作に始まり、webやホームページの制作まで。webやホームページの制作は、当時、社内に詳しい人がいなかったため、本やネットで調べて上司となった専門学校時代の恩師と相談をしながらひとつひとつお客さまの思いをかたちにしていきました。大変だったけれど、確かなやりがいを感じていました。 ところが、ふと自分が関わった仕事を振り返ったとき「やっていることが正解なのか不正解なのかわからなくなった」自分に気づきます。そんなとき、起こった東日本大震災をきっかけに「今の自分では何も残せない」と感じて、一念発起。最先端の技術と知識を肌で感じるために都内での就職を考え始めます。こうして叩いた制作会社のドア。デザイナーとしての腕を買われた土井さんは即採用され、ITサービスを提供するデザイン部門で嬉々として働き始めました。 ここでは個人を対象に動画の素材を販売するプラットホームを立ち上げ。次第に集客イベントを手掛けたり、広報を担当したりと活躍の場を広げていきました。実は群馬にいたときから制作する動画が好評を得ていた土井さん。「好きなことをしたい」と動画にも積極的に携わり始めました。 いろいろなジャンルのYouTubeクリエイターが集まってつながるための交流イベント、ハッピーアワーにも携わり、さまざまな方面とのコラボも進めました。 結婚をしてお子さんにも恵まれ、順風満帆。いつも「先」を見据えている土井さんは、ある考えがありました。 それが「子育ては、群馬で」という思いでした。おじいさま・おばあさまの愛情をたっぷり受けて育った土井さんは、自然いっぱいの中、祖父母との交流を持つ大切さを実感していたのです。奥様に相談すると、快諾。生まれ故郷に戻ってくることになりました。5年前のことでした。
土井さんが代表取締役、動画のディレクターである奥様が取締役につき、高崎で起業。家紋に幸運のイメージのある小槌が8つ描かれていたことから、社名を8hammerとしました。 「当初はパジャマを売りたかったんです」と驚きの発言! 何でも、世に名を馳せる人たちは、どんなに忙しくてもきちんと睡眠時間をとっているのだとか。そして、その大切な睡眠時にまとっているのが「パジャマ」。ということから、至った事業内容だったそうです。 その後、恩師からの誘いで伊勢崎商工会議所青年部に所属。人脈と共に、交友関係や仕事の幅も広げました。今、主に手掛けているのは、web制作やアプリのデザイン。県内ではあまりないエンターテイメント的な楽しみを作りたい、とイベントも開催しました。親子を対象とした「リアル鬼ごっこ」や「ケードロ」は、ファッションやメイクにも凝って大好評だったそうです。 8hammerの強みは、丁寧な対応、新たな技術、そして創造力です。お客様の声にしっかりと耳を傾け、オリジナリティに富んだ制作を続ける土井さん。「せっかく作った動画も視聴されなければ意味がない」と、届ける手法にも工夫を重ねます。 Webや動画の制作、ライブ配信など、さまざまなコンテンツを展開する8hammer。撮影用の専用のスタジオやキッチンスタジオも整備して、いろいろな要求にこたえています。今後の広がりにますます期待が高まります。
8hammer株式会社 ◆住所/ 高崎市問屋町2‐2‐9 ◆TEL/080-4196-3112 ◆設立/2017年11月29日 ◆営業時間/9:00〜18:00 ◆休日/土曜、日曜 ◆業務内容/動画制作、ライブ配信、セミナー、教育関連事業など 取材日 2021年12月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)