ベトナムで生まれ、奥様の出産を機に2008年12月31日、日本へやってきた石田健さん。13年の間に日本とベトナムに会社を立ち上げ、ベトナムには11店の店舗を展開するまでに成長させました。和の心を重んじ、旺盛なチャレンジ精神を持って躍進を続ける石田さんに、今までの歩みと今後の展望を伺いました。
石田 健(いしだ けん)さん ベトナム出身 伊勢崎市在住
1,553 km²という広大な湾内に1969もの奇岩が浮かぶベトナム一の景勝地、ハロン湾。世界遺産にも選ばれている美しい地が、石田健さんの故郷です。大学で中国語を専攻した石田さんは、在学中、故郷の世界遺産でガイドをしていたそうです。そこで出会ったのが、ベトナムで生まれ、6歳から日本で育ったという奥様でした。しばらくベトナムで過ごしていたお二人。しかし、出産を控えた奥様が安心して出産に臨め、子育てしやすいように、と2人で奥様の故郷である日本へ渡る決心をしたのです。石田さんのご両親は大賛成で送り出してくれました。 「日本に来たばかりの頃は大変でした」と石田さん。リーマンショックの影響で、世界的に不景気が続き、どこの会社を訪ねても門前払いだったとか。断られた会社の数は50社にも及んだそうです。そこで石田さんは、思い切った行動に出ます。「勤め先が見つからないならば」と奥様と2人で機械関係の会社を設立したのです。 「僕は、いつでも人に恵まれている」と瞳を輝かせながら語る石田さん。この時もベトナム時代のお客様とのつながりで、中古の機械を扱う会社が必要であることを知り、ガイドで貯めたお金を元手に貿易の会社を立ち上げたのです。 それから間もなくのこと。ベトナム政府が「生産から10年以内の機械でないと輸入はしない」と言う政策を打ち出します。石田さん達にとっては大打撃。しかし、めげないのが石田さんです。早速、ベトナムで市場調査を開始。そこで浮かび上がってきたのが、コスメ、健康食品、家電の需要でした。「経験はなくてもチャレンジはできる」と前向きな石田さん。早速スタッフを集めて新たに会社を設立。ハノイ市内に100%日本製のコスメをはじめ、雑貨や健康食品を扱うショップを立ち上げました。ショップはご長男の名前から「タカシ・ショップ」と名づけました。
店舗の運営を続けながら、日本とベトナムの文化の違いを追求していたという石田さん。どうしたらお互いにとって良いか? ベトナムと日本の架け橋になれるか? を経営者との交流や自らの学びを通して研究を続けました。 石田さんの強みは、商談を人任せにせず、すべて自らに臨むこと。その中から求められる日本商品がリアルに浮かび上がってきました。評判が良いのは、子供用のミルクやおむつ、そしてコスメ商品。逆に合わないのが、なんと食品だったのです。味の好みもさることながら、どうやって食したら良いのかわからない…。その「わからないこと」が需要に歯止めをかけていたのです。 どうにか日本の食文化をベトナムで分かってもらえないか? 模索していた石田さんに幸運が訪れます。業務スーパーを運営する神戸物産とのご縁をいただいたのです。そこで、2019年、ハノイに「健食業務スーパー」をオープン。翌2020年には、ベトナム国内に11店舗を展開するまでになったのです。この急成長を支えたのが「あきらめないでチャレンジする」と言う石田さんの強い意志と、頭脳を使った緻密な戦略です。 自社内でマーケティング部を立ち上げ、広報活動に力も入れ始めました。拡散力の強い有名人を使い、テレビやFacebookなどで使い方や食べ方を丁寧に伝えてきました。一方で、日本人街を中心に納豆、うどん、缶詰などを販売。両輪がうまく回り、1年後には11店舗という成長を遂げたのです。 経営者歴も13年になった石田さんは「多くの人に喜んでもらえたことが、数字になって表れるのは大きなやりがい」と笑顔を見せます。 逆に大変なのは管理。特に人事管理は日本とベトナムでは、社会情勢や仕事に対する価値観が違うため苦労を強いられることもあるのだとか。それでも「仕事が大好き、チャレンジ大好き」と前向きです。
今の売れ筋は、5年前から力を入れている健康食品。17品のラインナップの中で、人気なのは「ピコ型コラーゲンプレミアム」。従来のコラーゲンを1兆分の1サイズまで低分子化したもので、吸収しやすいのが特徴。肌のハリやツヤを求める女性や、膝の曲げ伸ばしがつらい、階段の上り下りがキツイという人にぴったりです。今年からはOEMもスタートさせました。 「僕はとてもラッキーな人」と再三口にする石田さん。さまざまなアイデアが石田さんのもとに寄せられるのだそうです。何かチャレンジをする時に心がけているのは、資料をよく見ること。そして社員に相談すること。「実際にお客様に関わる社員の意見はとても重要」と話します。 またお客様ともよく話をしています。お客様と社員、両方に相談をし、チームとなって取り組むことが、石田さん流の成功のカギです。 「夢は、会社を設立した時と変わらず『ベトナムと日本の架け橋になること』」ときっぱり。ベトナムの良い商品を日本に、逆に日本の良い商品をベトナムに。「双方の手伝いができれば」と表情を輝かせます。ビジネスを行う上で大切にしているのは「約束を守ること」という石田さん。誠実な人柄がこれからの飛躍を支えています。
株式会社リベト商事 ◆住所/伊勢崎市八斗島町1597番地2 ◆TEL/0270-61-6368 ◆創業/2015年6月 ◆営業時間/8:30〜17:30 ◆休日/土、日 ◆業務内容/日用雑貨・コスメ・ベビー用品・酒類・食品・家電製品の卸販売・輸出、海外直営店経営、農産物の輸入、ロジスティクス、美容・再生医療、観光サービス 取材日 2021年8月
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あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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