経営者の輪Vol.266 株式会社矢尾の代表取締役「矢尾明彦さん」

経営者の輪Vol.266 株式会社矢尾の代表取締役・矢尾明彦さん

経営に、人材育成に、人付き合いに…。日々精進を続ける経営者たち。

前回、取材をしてから、役職が変わったり、店舗や社屋を移転したりと、新たなチャレンジを続ける経営者をご紹介します。


12 人目にあたる今回は、株式会社矢尾の代表取締役、矢尾明彦さん。前回の取材からおよそ10年間。営業職だった矢尾さんは、代表取締役に就任、プライベートでも結婚~パパへ、と大きな変化がありました。お父様からバトンを受け取った矢尾さん。市内の経営者からも手堅い経営で評判の高いお父様のやり方を継承しますが、就任早々、ある新しいことに取り組みました。


プロフィール

矢尾 明彦(やお・あきひこ)さん

伊勢崎市出身

伊勢崎市在住

 

新たに作った社員心得に込める思い

創業から51年目を迎える株式会社矢尾。製菓、製パン、製麺用食材卸、厨房機器、各種洗剤卸を扱う老舗企業です。

矢尾明彦さんは、同社で2018年から代表取締役を務めています。矢尾さんが同社に入社したのは、大学を卒業して5年ほど経った頃。いずれは代表取締役と言う役割を担うことになると覚悟を決めたうえでの入社でした。



お父様から引き継ぎの話があったのは2015年。いずれは、という思いがあったものの「30代でこの話しが来るのは、想像してたのより少し早いかな」という印象があったとか。しかし「引き継ぐなら後々のことを考え、早い方が良い」と前向きに捉え直したそうです。



入社当時は営業職。その後、専務取締役になっても仕事的には営業がメイン。経営そのものにどっぷりつかってはいなかったため「営業からいきなり経営者になったような感覚でした」と苦笑いします。

お父様は非常に手堅い経営者。周りの人からも「相談したときに安心できるアドバイスをくれる人」と高く評価されていました。それを表すように業績も、大きな波はなく非常に安定していました。

そんなお父様の後を継いだ矢尾さん。まずはお父様のやってきたことを継承しよう、と思ったそうです。そんな中でも矢尾さんが新たに取り組んだことがあります。それが経営理念の革新と、社員の心得の作成でした。

 

経営理念には今までの継承+ αこの先どうするかを混ぜ込んだ形に。新たに作った社員の心得には、挨拶や「報・連・相」の大切さ、6Sのほか、「できない理由を探すよりもできる可能性を探る」「愚痴や陰口を言わない」など望ましい態度を具体的に示しました。



「みんな実践してくれている」と矢尾さん。すぐに変化が出るものではないとわかっているからこそ、絶えず意識・行動し続けることで徐々に浸透していき、株式会社矢尾のスタイルとなってくれればと期待を込めています。


コロナはピンチではないと思える理由

代表取締役になって戸惑ったのは、社員さんへの接し方「今まで専務ではあったものの、営業のトップ社員のような立場でいたので」と矢尾さん。代表取締役となり、自分より年上の社員さん達を纏め上げなければならなくなりました。「私以上に社員は戸惑ったのでは」と周りを思いやります。実は、株式会社矢尾の自慢の1つは、離職率の低さ。勤続年数の長い社員が多く、特別な場合を除きほとんどが定年まで勤めあげるそうです。ですから、矢尾さんが入社する前から頑張ってやってきた社員も少なくなかったのです。矢尾さんと社員さんたち、双方の努力で少しずつ新しい「矢尾」のスタイルが出来上がってきました。


「経営的なことをも苦労しました」という矢尾さんですが、コンサルタントに入ってもらって1年で引継ぎを終えたそうです。他に比べてもすごいスピード! 「まだまだ勉強中。青年部の仲間に聞いたり会長に相談したり。周りの協力が有難い」と話します。


また、ものの見方や捉え方が変わったり、やりがいにも変化が生じました。しかしこれも「今まで会長や社員たちが築き上げてくれた土台があってこそのこと」と笑顔を見せます。社長になって改めてお父様のすごさも感じるようになったという矢尾さん。「自分が築いてきた会社なのに、代表の座に執着することなく、潔いほどすっと任せてくれた」そうです。ときに求めると、端的に的確にアドバイスをくださるお父様は、目標となる経営者の先輩でもあります。



「大切にしているのは従業員の幸せ」という頼もしい経営者である矢尾さん。代表取締役になって3年。一番のピンチは、このコロナ禍です。「計画していたことをも、これからやろうと思っていたことをもストップせざるを得なかった」と言う反面「周りをよく見直し、冷静になれる期間でもあった」と前向きに捉えています。


家族が仕事の原動力に

前回の取材から、プライベートでも大きな変化がありました。結婚をし今は2歳の男の子のパパ。「平日は、奥さんに任せきりなので」と、土日は家事全般をこなします。「クックパッドを見て料理のレパートリーも広がった」とニッコリ。なんと、食事だけでなく、ケーキを焼くこともあるそうです。


アンパンマンやゴジラに夢中な息子さんに付き合って遊んだり、プールや公園に連行ったり。「休みの日はまるで主婦」と、仕事の話をするときとは違う、柔らかな優しいパパの顔を覗かせます。

一方、独身時代のお休みのほとんどを費やしてきたラグビーは、封印中。「いずれ息子とラグビーができたらいいなぁ」と言いつつも「今はまだラグビーできる体になっていないからなぁ」と苦笑します。一緒にボールを追いかける日を夢見ながら、仕事にプライベートに充実した時間を送っています。


企業情報

株式会社矢尾

 

◆住所/伊勢崎市上泉町144-3

◆TEL/0270-25-6813

◆創業/1971年

◆営業時間/8:30~17:15

◆休日/日、祝、土曜午後

◆業務内容/製菓、製パン、製麺用食材卸、厨房機器、各種洗剤卸




 取材日 2021年8 月

 



株式会社矢尾 はこちら

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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