今回、お話を伺うのは株式会社梅沢工務店 代表取締役・梅澤孝幸さん。「気づかないうちに導かれていた」という歩みや、ご家族とのあたたかなつながりについてうかがいました。
梅澤 孝幸(うめざわ・たかゆき)さん 伊勢崎市在住
「こんにちは!」。梅沢工務店さんの玄関を開けると迎えてくれる女性スタッフの明るい声。社内には、なごやかな雰囲気が漂っています。その奥から優しい笑顔で訪れたのが、梅澤さんです。名刺を拝見すると「一級建築士」と「応急危険度判定士」の肩書が! なにやら難しそうな資格の保有者です。 「小さい頃は、ゲーム好きの子供でしたね。今も好きですけど」とニッコリ。小学生まではみんなで集まってゲームに打ち込んでいた(!?)梅澤さんですが、中学生入学後、卓球部に入部。メキメキと腕を上げていきました。スポーツの中でも特に集中力が大きくものをいうスポーツと言われている卓球。集中力が欠けると、いくら技術があっても大事な場面でミスが出て得点につながりません。その「集中できるところこそが卓球の面白いところであり、魅力です」と梅澤さん。卓球で培った集中力は今も仕事で生きているそうです。良いものを作り上げるために全精力をかけて挑む――、卓球の経験が今を支えます。 中学3年生の時は関東大会に出場。「まぐれかも!」と事務所内から再び朗らかな声。「そうだよねー」梅澤さんもおどけて返し、笑いがおこります。なんてフランクな会社でしょう! 聞けば同じ社内にお母様が経営する不動産会社があり、スタッフの一人は妹さんなのだとか。明るく穏やかな雰囲気は、家族のあたたかさが織り成すものだったたんですね。
中学で磨いた卓球の腕前は、高校では封印してしまったそう。 代わりに熱を入れようとしていたのがビリヤードです。友達と新たに同好会を立ち上げようとしたそうです。自分たちで新たな同好会を作る! 高校入学と同時に新しいチャレンジで盛り上がる様子が目に浮かびます。ところが梅澤さんの進学先は、県内屈指の進学校。中でも梅澤さんが属していたのは、特進クラスだったこともあり、先生から大反対。泣く泣く立ち上げを断念したそうです。 高校卒業後は、大学で建設を専攻します。おじいさまが創業した梅沢工務店や、お母様が不動産業を営んでいるという環境が影響かと思いきや「それよりもむしろ建設が持つ可能性の広さにひかれました」と梅澤さん。建築は、設計、デザイン、施工だけでなく、環境、歴史、文化、芸術、都市工学・開発などさまざまな分野と関連します。それだけたくさんの可能性を秘めているということで、そこに魅力を感じたそうです。 学生時代に早くも宅建の資格を取得。卒業後は、大手不動産会社に就職。 梅澤さんは、そこで現場監督としてマンション建設に携わりました。現場監督の仕事は、建設現場で安全、品質、工程などの管理をすること。ところが、いくつもの現場を経験するうちに、退職の二文字が梅澤さんの頭の中にちらつくようになりました。 マンションは1階のエントランス部分と屋上を除く階は、多少の違いがあるもののほとんどつくりは変わりません。たとえば15階の建物であればエントランスと屋上以外の14階分、同じ作業が続きます。やがて繰り返されるその時間が、とてつもなく長いものに感じられるようになってきました。退職後、梅澤さんは伊勢崎に戻ってきました。
戻ってきたばかりの梅澤さん。少し休もうと思っていたそうですが、おじいさまが創業した梅沢工務店が忙しくなっていたところだったのです。「自然の流れ」で家業を手伝うことになりました。 大学で建築を専攻し、卒業後は大型建築物の現場を管理。そして、工場や倉庫、一般住宅やリフォームを手掛ける梅沢工務店へ。「意図していたわけではなかった」とおっしゃる梅澤さんですが、歩んできたその道はまっすぐに「梅沢工務店」へ続いていたのです。 「あれ? 今、気づいたけど、仕組まれていたのかな?」と再び笑顔を見せる梅澤さん。事務所内に見えるお母さまの背中が嬉しそうに揺れています。 伊勢崎で仕事を始めて印象に残っているのは、曳家の現場です。曳家とは建物を基礎から切り離して、目的の場所へ移築する方法。今までマンション建設に携わり、地下深くまでしっかりと基礎を造っていた梅澤さんにとっては衝撃的でした。それと同時に、先人たちの思いや歴史を未来へ受け継いでいくという文化的な意義を深く感じた出来事でもありました。 試行錯誤しながら新たな取り組みに挑戦している梅澤さん。「工事お見合いシステム」というユニークなものも考えました。どんな職人さんが来てくれるのか、分かった方がお客様に安心していただけるのでは? という思いから、事前に職人の顔写真や年齢などを提出するというシステムです。ずいぶん喜ばれたのでは? と思いますが、実際のところは「あまり需要はありませんでした」と苦笑します。「顔を合わせて、話し込んでいくうちに仲良くなってしまうんです。システムを利用しないのは、お客様に見られているのは、職人さんよりも私なんだなと思いました」と話します。 仕事を離れると、男の子2人のお父さん。ホワイトボードを使って勉強をしたことを教え合っているのだとか。年齢が高くなるにつれ、父との関わりを避けるようになる息子が少なくない中で、梅澤さん親子の関わりは素敵です。仕事でもプライベートでも、あたたかな家族との絆が、梅澤さんの原動力になっています。
株式会社梅沢工務店 ◆住所/伊勢崎市八斗島町822 ◆TEL/0270-32-0900 ◆創業/1956年 ◆営業時間/8:00〜19:00 ◆店休日/日 ◆業務内容/公共事業、工場建築、工場や住宅建築・リフォーム 取材日 2021年6 月
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あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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