駒形インター入口真横というこの上ない好立地に本社を構える中一陸運株式会社。今回、お話を伺うのは、その中一陸運株式会社で専務取締役を務める中川 誠さん。今の仕事に至るまでの経緯や展望についてうかがいました。
中川 誠(なかがわ・まこと)さん 伊勢崎市出身 伊勢崎市在住
創業からおよそ60年。駒形インターすぐ横に7,625坪という広大な敷地面積を持つ本社倉庫を新設した中一陸運株式会社。広くきれいな本社屋でにこやかに迎えてくれたのが、専務取締役の中川誠さんです。仕立てのよいスーツに身を包んだ180センチを超える長身のイケメン経営者です。 茂呂小学校時代は野球、一中〜桐生高校時代はバスケットとスポーツ漬けだったという中川さん。武器は、90センチという桁外れのジャンプ力です。今の高校生3年生のジャンプ力の平均値が64.41センチですから、いかにすごいかがお分かりいただけると思います。「特別鍛えたわけではなく、気づいたら『ほかの人より高いかも』と思うようになって」と控えめな話しぶりに高感度がどんどんアップ。しかし「高いジャンプ力が自分の強み」と気づいたことが、自信を生み、堂々とプレーすることにつながりました。「このときの経験から一芸あれば戦力になる、世界が広がることを学びました」と中川さん。これは、今の経営にも通じるといいます。 そんな高校時代、中川さんは、将来、お父様の会社に入るとは思っていなかったそうです。当時、お父様はすでに中一陸運を経営していましたが、自宅と事務所は離れていたため、働く姿を目にすることはありませんでした。「父が経営者であることは知っていましたが、誰からも跡をつぐように言われたことはなかったんです」と中川さん。成城大学経済学部経営学科に進学し「当時伸び盛りの業界で商社より面白そう」という理由から、卒業後は大手通販会社のニッセンに就職。入社したその年に東証一部上場するという、勢いのある時期でした。
ニッセンではマーケティング部に所属。カタログの制作や共済会の企画に携わります。当時、ニッセンでは月に一度、役員・幹部と部長が顔をそろえる報告会が開かれていました。ここでは、各部署を代表して部長クラスの社員がプレゼンテーションをします。 「当時、うちの部の部長が型破りな人で」と中川さん。なんと、新入社員の中川さんに発表のチャンスを作ってくれたのです。一生懸命に資料を作成し、当日はものすごく緊張しながら発表を終えました。「今、思えば資料の完成度も未熟だった」とか。結果は散々で、お叱りを受けたりもしたそうです。しかし部長は「これはファーストステップ」とフォローをしてくれつつ中川さんに次も、またその次のチャンスも与え続けてくれたそうです。 回を重ねるごとに要領をつかんで、発表もスムーズになると周りの目も変わり、社員からも幹部からも好意的な目が向けられるようになりました。「たくさん恥をかきましたが、貴重なチャンスをいただけました。部長のフォローもありがたかった」と感慨深そうに話します。 入社2年目。順調に自分の道を進み始めていた中川さんの元にお母様から連絡が入ります。お父様の病気を知らせる電話でした。ただならぬ状況であることを感じとり、お父様の跡を継ごうと退職を決めました。 中一陸運のことも業界のことも知らなかった中川さんは、まずは取引先である東京の会社に就職。そこは、保有している車両だけでも100台を超えるという大手の運送会社でした。中川さんは、事務方として配車業務についたり、整備工場で勤務したりしてキャリアを積みました。 約1年、慣れ親しんだ職場ともお別れ。仲間たちが送別会を開いてくれ、伊勢崎に戻ってきました。ところが、すぐにまた東京の会社から「帰ってきて」というヘルプコールが。人手不足だったそうですが、退職したスタッフに声がかかるというのは、かなりのレアケース。中川さんがいかに取引先できちっとした仕事をし、信頼を置かれていたかを物語っています。 そのころには、お父様も回復。「求められているのだから」とお父様から背中を押され、「育ての親」である取引先で再び仕事を続けることになりました。 ここで中川さんは、運送業の恐ろしさを目の当たりにします。交通事故です。トラックのハンドルを握るということは、人に喜ばれる職業であると同時に、いつも危険と隣り合わせであることを痛感。普段、会社がしつこいくらいに行っていた安全教育の重要性を改めて実感したそうです。
中一陸運に戻った中川さん。力を入れたのが、安全教育です。土曜日にドライバーを集め、自ら指揮をとって安全講習会をはじめました。ところが、中川さんが熱心になればなるほど、ドライバーはトーンダウン。雰囲気は悪くなる一方でした。 思い通りにいかないことに悩み、もどかしさに怒りを覚える日々が続きました。そんなとき、ふっと「目的と手段」が混同していた自分に気づきます。目的は、社員や社会の安全。押し付けの安全教育をすることは目的ではない――。 そして「大手の手法をそのまま持ってくることがベストではない。その場に応じた手段が必要」と気づいたといいます。 ある日、それぞれのドライバーの運転記録、燃費、定時到着率などを記した報告書に目をとおしていると、記された数字が突如として雄弁に語り始めました。数字は記号ではなく、ドライバーさんたちの努力の賜物。見続けるうち、一人ひとりの長所が目に留まるようになってきました。「素直に称賛の言葉が出てきた」という中川さん。すると雰囲気も変わり、どんどんと良い成果が生まれるようになってきました。 この一連の様子を黙って見ていたのが、社長であるお父様。「言いたいことはあったと思う。でも、辛抱強く見守ってくれたおかげで今があります」と感謝の言葉を口にします。 現在の中川さんは、営業部隊。「情報を収集して次なる戦略を見出し、チャンスがきたときにはすぐに手を挙げられる体制を整えていたい」と話します。そして「まだまだ父には社長としていてほしい。大病をして第一線から離れていた分、長く現役でいてほしい」と偉大な経営者であるお父様を敬います。 お父様の尊敬すべき点はたくさんありますが、一番は「社員思いなところ」。「父が病に臥せったとき、なんとしても社員と家族を守り抜くという執念を感じました」と中川さん。「この強い思いを受け継いでいきたい」と力強く語ります。 目まぐるしい成長を続ける同社。運送事業から始まり、今では倉庫事業、アーカイブ3事業と守備範囲を広げました。前述のように、新社屋と倉庫を新築。今年度中には、新たに二つの倉庫の建設を予定しています。「各事業の連携を強め、会社全体の強化拡大を図ると同時に、付随した業務にも挑戦したい」と展望を話してくださいました。
中一陸運株式会社 ◆住所/本社オフィス 前橋市駒形町1421-1 ◆TEL/027-212-8245 ◆設立/1963年 ◆営業時間/8:00〜18:00 ◆休日/土、日、祝 ◆業務内容/運輸業、倉庫業、アーカイブ業 取材日 2021年5 月
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あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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