経営者の輪Vol.254 株式会社神倉の代表取締役「神倉勇哉さん」
経営者の輪Vol.254 株式会社神倉 代表取締役 神倉勇哉さん
今回、お話を伺うのは株式会社神倉の代表取締役・神倉勇哉さん。社名変更に隠された思い、「友達親子」というお父様との関係、将来の夢についてうかがいました。
「泥」好きな子ども時代
「声は体を表し、書は態を表す」というそうですが、わかる気がします。取材のアポを取るとき、電話の向こうから聞こえてくる声の印象と実物は、いつもそんなに大差がないからです。
ところが、今回、ご紹介する神倉さんは、電話で「真面目な方」と感じたのに対し、お目にかかったら「真面目に思えて、実はとっても面白い方」との印象が変わったおひとりです。
名刺交換をした際、クラフトパンチで猫型の穴が開いている私の名刺をご覧になって「あ、猫!」と神倉さん。そして社内のスタッフにそれを見せて「ほら、猫―」とニコニコ。聞けば、ご自宅には1歳から10歳までの元野良猫13匹がいて「仲良しの子は夜、枕元に来るんですよ」とうれしそう。真面目だけじゃない、と印象が少し変わった瞬間でした。
楽しいのは幼少期のお話。野球少年だった神倉さん。小学校時代はピッチャー、中学校時代は、セカンドを守っていたそうですが「もともとアグレッシブに動く方が好きなので、ピッチャーよりセカンドの方が向いていた」と分析します。
そして「動くのは好きだけれど、もっと好きだったのが『泥』」と笑顔。なぜか昔から「泥」が大好きで、子どものころに好きだった遊びは、穴を掘って水を入れ、泥だらけになること。野球のときも泥まみれになりたいがために、積極的にスライディングをしていたというのですから、大爆笑です。お母さまは大変だったでしょうが「今の仕事につながっています」と再び白い歯をのぞかせます。
中央高校に進学すると一転。バンドに夢中になります。当時、中央高校の周りは田んぼと畑ばかり。遊ぶ場所は皆無でした。神倉さんは、さっさと下校して伊勢崎に戻り、地元の仲間とバンドの練習に励みました。judy and maryの曲をコピーしては、ライブハウスで演奏。見に来てくれた仲間と大いに盛り上がっていたそうです。
卒業と同時に東京国際大学に進学しますが「何学部だっけ? あ、商学部だ(笑)」。神倉さんの笑顔は、空間をいつも和ませてくれます。
お父様の仕事を継ぐことを決めたのは、この大学時代だったそうです。
同業他社と手を取り合って互いに成長
卒業後は、地元の同業者のところに就職。高校時代からアルバイトでお父様のお手伝いをした経験があったせいか、仕事にはすぐになじめました。「体を動かすことが好きだったので、仕事は楽しかった」と振り返ります。
楽しかったと言えるのは、もうひとつ要因がありました。人間関係です。面倒見のよい先輩たちに囲まれ、いろいろなことを丁寧に教えてもらった神倉さん。「このときに経験したこと、学んだことが、今、仕事をするうえですべてのベースになっています」と話します。
25歳で、お父様の会社に入社。同社は、電線の地中化にいち早く取り組み、市内でも先駆け的な存在。営業~管理~現場と広く携わり、さまざまなことをどんどん吸収していきました。そんな神倉さんを支えてくれたのが、会社の仲間や同業者。「この業界は結びつきが強く、同業他社はライバルではなく仲間。知らないことは教え合い、お互いに向上できる良い仲間」なのだそうです。
仕事のやりがいは、何といっても手掛けたものが残り、多くの人を支えること。やればやるほど、やりがいは大きくなっていきました。
電線の地中化は、今でも同社の大きな強み。伊勢崎以外の市からも依頼されるほど重要な事業の柱に成長しました。
任せてくれる、このことが人を成長させる
神倉さんは、一昨年社長に就任。創業者のお父様は、会長になられました。「社長になって最も変わったのは気持ち」。社員とその家族を守る責任の大きさを改めて感じたそうです。
入社してから今まで「好きにやらせてくれた」というお父様とは、なんでも話せる「友達親子」。仕事のことを知り尽くした人が、その仕事を任せるのは、大変な勇気や葛藤があったに違いありません。特に「なんでも話せる」親子関係ならなおさら。アドバイスをしたり、手を差し伸べたりしたくなったことが、きっと何度もあったでしょう。しかし、お父様はそれをぐっと我慢して、神倉さんにすべてを任せてくれました。
社長就任後「いろんなことを変えましたね」と神倉さん。わかりやすいところでは、社名。「神倉建材興業」を、事業内容が合わなくなっていたことと、今後、広くいろいろなことに取り組んでいっても違和感のないように「神倉」としました。
社員の年齢もぐっと若返りました。若い元気な社員が「うちの会社いいよ」と、同年代の友達を連れてくるようになったのです。世の中では人材不足が深刻ですが、なぜ同社にはそれほどまでに人が集まり、定着するのでしょう?
「父が私にしてくれたように、私も若い社員に任せるようにしています」と神倉さん。時折、状況のチェックや、主要な部分の確認だけは怠らないようにし、あとは社員の力を信じます。そして時折「いじること(笑)」。コミュニケーションが潤滑油になり、社員はやりがいをもって日々成長していきます。この社員の成長が「今のやりがい」と神倉さんは笑顔で話します。
忙しい神倉さんの気分転換は、ラーメン屋さんめぐりと、読書。北方謙三さんがお気に入りで今は「岳飛伝」に夢中です。
仲間と一緒に「伊勢崎をもっと盛り上げたい」と語り合い、仕事では「もうひとつ主になる柱を生み出したい」と意欲的。仲間、社員、会長であるお父様、13匹を含めたご家族と良い関係を保ちながら、神倉さんはこれからも夢を叶えていきます。
企業情報
株式会社神倉
◆住所/伊勢崎市八斗島町1295-3
◆TEL/0270-32-5856
◆設立/1988年
◆従業員数/14人
◆営業時間/8:00~17:00
◆店休日/日、祝(土の場合も有)
◆業務内容/アスファルト舗装、土木工事
取材日 2021年4 月
株式会社神倉 は、こちら
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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