飲食店の経営者が続く経営者の輪。今回は、市内で人気のLUCE CAFEを経営するBehind The Clouds株式会社の代表取締役・竹澤勇太さん。強い気持ちと抜群の行動力で夢をかなえてきた竹澤さんに今までの道のりと、お客さまと接するうえで大切にしていることなどを伺いました。
竹澤 勇太(たけざわ・ゆうた)さん 伊勢崎市(旧東村)出身 伊勢崎市在住
白を基調とした明るくおしゃれなLUCE CAFE。サーフボードや海をモチーフにしたオブジェがある開放感あふれた店内に身を置くと、リゾート地にいるような気分になります。 このカフェを経営する竹澤勇太さんは、小さいころから漠然と料理に興味を持っていました。それが、将来にリンクしたのは、小学校3〜4年生のころ。 「学校のイベントがあった日、母に桐生のフレンチレストランへ連れて行ってもらったのが決め手になりました」と話します。そこで目にしたのは アートともいえる、きれいなお料理でした。もちろん、味にも感動。このときの経験から「将来は自分の店を持ちたい」と思うようになったそうです。 中学でも夢がぶれることはなく、卒業後は、県内唯一の高校における調理師養成課程をもつ桐生第一高校へ進学。調理実習で日本料理、西洋料理、中国料理、パンなどの技術を習得、座学で調理・衛生・栄養・食品等に関する専門知識を学びました。クラスは、男女で分かれており、男子クラスは50人。クラスメイトは、飲食店のオーナーになっている人も多く「今でも連絡を取り合ったり、コロナで大変なときは励まし合ったりする大切な仲間」と言います。 高校を卒業後は、横浜へ。かつて叔父さまが勤めていた会社に就職します。人気が人気を呼び、全国各地へと広がった人気のパン店。この店の赤い袋を持って横浜の街を歩くのが流行っていて、ファッション誌にもたびたび取り上げられていたほどのお店です。学校の実習でパンに興味を持ったこと、叔父様から粉ものは利益率が良いと聞いたことで就職を決めました。 しかし、高校の実習と実際の仕事では大違い。異なる点や発見がいくつもありました。その一つが、パンは今までに感じていた以上にデリケートだということ。グラム単位で状態が一変。ポイントは仕上がったときの生地の温度を一定にすることですが、これがまた言葉で言うほど簡単ではなかったそうです。 パン作りの基本を学んだ竹澤さんは、伊勢崎に戻ってパン屋さんで修業を重ねました。当時、はっきりしたコンセプトこそなかったものの、独立するためにお酒のことも学びたいと、カリスマバーテンダーのいる店に飛び込み、直談判。 「酒は作れるか?」「作れません」 「やる気はあるか?」「あります」 この2つの会話で、翌週から勤務することになったそうです。
カリスマバーテンダーの元で皿洗いから始まりカクテルの作り方、仕入れの手法など幅広くお店全般のことを学んだ竹澤さん。当時は社会全体が元気でお店も忙しく、夕方5:30に店を開け、終るのは翌朝の8〜9時。ビックリするほどの激務ですが「大変だと思ったことはありませんでした」とにこやかに答えます。 この後、竹澤さんは何度か職場を変えましたが、すごいのはすべて目的がある転職だったこと。 転職した分だけ、確実にステップアップしていったのです。 一度は、病院の厨房で勤務していたこともあります。結婚が決まったタイミングで「家庭を持つには安定した病院の方が良いのでは?」と心配したお祖母さまの配慮で、親戚の病院で勤めました。しかし、夢がはっきりとし始めた竹澤さんは、自分が目指す道を再び歩き始めようとしたのです。 「自分の店を持ちたい」という竹澤さんに、親戚も奥様の親御さんも大反対。そんな中、ひとり、味方をしてくれたのが、20歳のころから付き合っていた奥様です。「出店は(竹澤さんの)昔からの夢だから」と、反対する周囲を説得してくれたのです。 奥様の全力の応援があったから「一層、思いが強くなりました」と、竹澤さん。条件にこだわった店舗探しを始めました。その条件とは、一戸建て、広い駐車場、そして幹線道路に面していること。なかなか希望にあう物件が見つからない中、普段通らない道を通った竹澤さんの目に飛び込んできたのは、理想にぴったりの店舗に張られた「入居募集」の張り紙でした。「ここだ!」胸は高まりました。ところが、そこはすでに7人がアプローチしていている人気物件だったのです。
魚のさばき方や和食を学びたいと居酒屋に、「お酒と美味しい料理を提供する店を出したい」と思うようになってからはダイニングカフェへ。運営能力を身につけたいと、レストランの立ち上げに携わったときは、経営の仕方だけでなく、イタリア帰りのシェフから珍しい野菜や本場の料理を教わるといったうれしい「おまけ」もありました。
すでに借り手が決まりかけていた物件。「ここしかない」と思っていた竹澤さんは、大家さんに猛アプローチし、毎日も足を運んで熱意を伝えました。その熱意が認められ、夢の一歩を踏み出すことになったのです。 店内は、大好きな湘南をイメージ。義兄や友人が手伝ってくれ、イメージ通りの仕上がりとなったお店には、竹澤さんが昔からいいなと思っていた、イタリア語で「輝き」や「光」を意味するLUCE(ルーチェ)をとってLUCE CAFEと名付けました。お客さまやスタッフも光り輝き続ける場でありたい、との願いもこもっています。 2015年1月19日、念願のオープンの日がやっていきました。どこにもインフォメーションせず、開店時間と同時にプレートをそっと<OPEN>に。ワクワクと緊張が入り交じった気持ちでその瞬間を迎えた竹澤さんの元に「いつオープンするのだろう?」と楽しみにしていたお客さまが一気に押し寄せました。 オープンから6年。LUCE CAFEは、お客さまがひっきりなしに訪れる人気店に成長を遂げました。竹澤さんが気にかけるのは、お客さまとの距離感。対応マニュアルは作らず、お客さまの小さな変化も素早くキャッチできるスタッフの力を大切にしています。 その分、必要になってくるのが、スタッフの教育。竹澤さんは、スタッフひとりひとりの「らしさ」を尊重して個性を伸ばすよう、心がけています。 「休みの日は、スタッフや家族とBBQやスノーボートに出掛けるのが楽しみ」という竹澤さん。「本当に仲が良いよね」と周囲からも言われるスタッフや家族は、竹澤さんの宝物です。 業界全体が、コロナで打撃を受けていますが、宝物に囲まれた竹澤さんは、テイクアウトや「中食」の開発という新たな挑戦を始めています。目指すのは県内でもう1店舗、将来的には観光地に出店して多くのお客さまに喜んでいただくこと。夢は広がります。
「自分が感じる不安と恐怖の要因を全部吐き出し、それを一つずつ潰していく。その先に光が見える」と竹澤さん。そう話す竹澤さんの不安が消え、光が差し込んだ瞬間でもありました。
「たとえば、今まで着ていた上着を脱ぐーー。それはお客さまからのメッセージ。小さなアクションを丁寧に拾いあげていきたい。それにはマニュアルがかえって邪魔になることもあるのです」と話します。
Behind The Clouds株式会社 (LUCE CAFE) ◆住所/伊勢崎市上諏訪町2111-1 ◆TEL/0270-61-6710 ◆創業/2015年 ◆営業時間/【昼】11:30〜15:00(L.O.14:30) 【夜】18:00〜23:00(L.O.22:30)※時短営業中は〜20:00 ◆店休日/木曜 ◆業務内容/飲食業 取材日 2021年2 月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)