今回ご登場いただくのは、Café&Bar Visionの牧野朋起さん。食事もお酒も、カラオケやダーツなどのエンターテイメントも! 一軒で完結できるCafé&Bar Visionは、オープンから15年という人気のお店です。「お店のコンセプトは特にないんです」と淡々と語る牧野さん。しかし、話をうかがっていると「ない」なんてとんでもない! 商売の基本、けれども案外おろそかにしがちな究極のコンセプトがありました。
牧野 朋起(まきの ともき)さん
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住
伊勢崎市民病院裏手にあるCafé&Bar Vision。オープンから15年という息の長いお店です。オーナーの牧野さんは、以前は自分でお店を持つことになるとは思っていなかったそうです。 ものづくりが好きで電気工事士になることを目指して高校の電気科〜専門学校と進学。今につながる道ができたのは学生時代。チェーンの居酒屋でのアルバイトがきっかけでした。配属になったのは調理場。このときの牧野さんは、ろくに包丁を使ったこともなく「リンゴの皮むきさえできなかった」と苦笑します。しかし、この居酒屋は男性スタッフはすべてキッチン担当。1か月目は揚げ物、2カ月目は焼き物、3カ月目はフライパン料理、とプログラムが決まっていて、できる・できないに関わらず、期間が来たら次のステップに進まざるを得なかったのです。 1か月目の揚げ物は順調。苦戦したのは焼き物です。「串に刺すのがどうもうまくいかなくて…」と牧野さん。しかし、3カ月目のフライパン料理が向いていて、こちらが難なくできるようになると不思議と焼き物もできるようになっていたといいます。 就職した後も、飲食店でのアルバイトは少しずつ続け、気づけば店長代行を任されるまでになっていました。 転機になったのは、26歳のとき。個人で飲食店を営むマスターと話をしているうちに、お料理もお酒も、人事や売り上げなど経営に関することまでできるようになっていた自分に気づきます。「自分一人で(お店を成り立たせることが)できるかもしれない」と思うようになった牧野さん。マスターにも背中を押されて会社員生活にピリオドを打ち、自分のお店のオープンに向けて、準備を始めました。
場所探し、ロゴやメニューの制作などすべて同時進行。「居酒屋の経験しかなかった」ため、メニューは本を見たり友達にアドバイスをもらったりしながら開発を進めました。落ち着いた茶系をベースカラーにした、30席のCafé&Bar Visionがオープンしました。2006年2月のことでした。 オープン初日。お客さまに対応できるだろうか? と「ワクワクよりドキドキが大きかった」と振り返ります。驚きなのは、プレオープンも、チラシをまくこともなく、いきなりオープンしたという点。「ワクワクよりドキドキが大きかった」というのも頷けます。 限界を感じていた牧野さんは、大きな勝負に出ます。1人で切り盛りしていたお店に、従業員を入れることにしたのです。今後「伸ばす」ことを考えた末の決断でした。
インフォメーションをしなかったにも関わらず、初日は大盛況。弟さんも手伝い、開店直後から大忙しで順調なスタートを切りました。ところが「翌日からはさっぱり…。2日目にして不安になりました」と言います。思うように数字が伸びなかった1年目、1人で切り盛りするのがキツくなった2年目、とうとうマイナスに転じてしまった3年目。その間、2度の大きなピンチもありました。「今となってはどうやって当時を乗り越えたか覚えていない」のだとか。苦しい日は、思いのほか長く、2010年まで続きました。
思い切った勝負。結果は大正解。新しいスタッフが入ったことで、人の動きができ、お店が盛り上がり始めました。 良いことはさらに続きます。バーテンダー協会に所属していた牧野さんの元に結婚式会場でのバーテンダーの仕事が舞い込んできたのです。週末の昼間は、幸せに華を添える役割が与えられました。評判が評判を呼び、市内だけでなく茨城県からも声がかかるようになりました。こうなると、一人で対応するのはとても無理。シェイカーが振れるスタッフも加わって仕事の幅を広げるうえ、バーテンダー協会の役員を務めるまでになりました。 今年は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、結婚式はほぼ取りやめ。4〜5月はお店も時短営業を余儀なくされました。6月からリスタートしてからは「常連さんに助けられています」とホッとした表情で話します。 かつて「お店のコンセプトは?」と聞かれたお客さまに「店側から『コレ』というものはありません」と穏やかに答えたとき、怪訝な顔をされたという経験を持つ牧野さん。「主体はお客さま。コンセプトもお客さまが決めてくださればいいんです」と控えめに話しますが「コンセプトがない」なんてとんでもない。 コロナでちょっと足踏み状態ではあるものの「将来に向けて作戦を展開中です」という牧野さん。そのVisionは止まるところを知りません。
「入ってくれたスタッフが良かった」と牧野さん。「誰からも愛される人で、集まってくれた彼の友だちと昔からの常連さんの交流も生まれてにぎやかになりました」と笑顔を見せます。
「楽しく飲んで食べて遊んで『楽しかった』と思ってもらえる空間」でありたいと思い続けたいと言う牧野さん。これこそ、究極のコンセプトではないでしょうか。
「楽しかった」と思ったら、お客さまは必ずまた訪れます。一緒に「楽しさ」を共有したい友達を連れて、次も、またその次も。
お料理のジャンルやお酒の種類を増やし、ダーツやカラオケなども導入するなど、お客さまの「楽しかった」に応えるように柔軟に変化をし続けるCafé&Bar Vision。
Café&Bar Vision ◆住所/伊勢崎市太田町149-1 1F ◆TEL/0270-40−6770 取材日 2020年8月
◆営業時間/19:00〜5:00
◆店休日/水曜日
◆業務内容/飲食業
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)