梅田　剛志（うめだ　たけし）さん

伊勢崎市出身

梅田製作所の旧社名は太田製作所。梅田さんが会社を引き継いだときも、社名は「太田製作所」でした。
かねてより「社名に『梅田』を使いたい」と考えていた梅田さん。画数や方位なども見てもらい、平成19年、念願の社名変更と同時に組織も大きく変えました。

それをきっかけに「すべてが変わっていきました」と梅田さん。事業の幅が広がると、新たな取引先が加わるようになり、売り上げも右肩上がり。見える景色は目まぐるしく変わっていきました。

事業拡大、売り上げ増加は、多くの経営者が望むところ。しかし、なかなか願ったようにいかないのが実情です。その秘訣を尋ねると
「特別なことはしていません」とサラリ。いやいや、きっと何かあるはず、と食いつくと
「果報は寝て待て」とニヤリ。なんだか禅問答にすり替わりそうです。

何でも梅田さんも、社員の方々も、営業をしたことがないのだとか。
お客さまや知人・友人の紹介、社員をきっかけに生まれた「縁」という細い糸を太く、強いものに育てていくのが梅田さん流。

鍵を握るには、多品種少量生産という同社のビジネススタイルにありました。

多品種少量生産は、少品種・大量生産に比べてとても手間がかかるため、敬遠する企業が少なくありません。「手間がかかるからこそ」「大変だからこそ」梅田さんは、多品種少量生産にこだわりました。

そして「縁」に加えてもうひとつ、梅田さんが大切にしたのは、お客さまの『困った』を解消することでした。
「『こういうことできる？』　と尋ねられたら、経験のないことでも断らないんです」と梅田さん。その自信の源となるのが、今までの経験と、商工会議所青年部を通じてできた異業種のつながりです。

自分の専門外の知識や技術を持った仲間が集う青年部。メンバーに相談を持ち掛けると、解決の糸口が見えてくるのだそうです。

「お客さまの困りごとを解決するために動いていたら、その伝手で新しい困りごとを抱えたお客さまと次々につながり、今までにできなかったことまでどんどんできるようになった。それだけのこと」とニコリ。

断らない、目の前のお客さまの「困った」に真摯な姿勢で応え続ける、これが、営業をしない、事業拡大、売り上げ増加という結果を生んだのです。

梅田さんは、昨年、株式会社ホルミシスヘルスプロダクトを設立。ホルミシス効果が期待できる酸素カプセルを開発し、伊勢崎、前橋、桐生、太田の企業様や介護施設様が導入されて、各社毎に高濃度ラドンガスの吸引ができるサロンを展開しています。

ホルミシスとは、ある物質が高濃度あるいは大量に用いられた場合は有害であるが、低濃度あるいは微量に用いられれば逆に有益な作用を果たす現象のことをいいます。ホルミシス酸素カプセルは、秋田県の玉川温泉で得られる効果と同等の効果を居ながらに得られるもの。

実際に梅田さんのご家族も「助からない」と言われた状況から見事復活を遂げたそうです。深刻な病気で悩むお客さまも、お医者様もビックリするような効果を出していたり、病気でなくても「徹夜明けでもスッキリした」「疲れがとれた」と喜ばれたり。「このサロンなしでは」という多くのお客さまが、梅田さんのもとを訪れています。

この商品の開発も、関西にある会社から寄せられた「困った」が発端でした。試行錯誤を重ねること2年。完成したとき、先方の社長はすでに他界されていたそうです。今、多くの人に喜ばれているホルミシス効果酸素カプセル。その様子を依頼主の社長に見せるかのように、伊勢崎のサロンには社長の写真が飾ってあります。

「これからも、みんなの『困った』に応えたい」と梅田さん。今はまだ世の中にない面白いものが、今後も生まれていきそうです。

株式会社 梅田製作所

◆住所／伊勢崎市喜多町97-5

◆TEL／0270-25-1814
◆定休日／土.日曜、祝日
◆創業／昭和26年6月10日
◆業務内容／◆マグネシウムポンプ　アルミニウムポンプ、マグネシウム、アルミニウムの生産の効率化提案　◆新規試作開発、ＦＡ、ＴＰＭ対応、専用機、省力機、治具設計製作　◆機械加工、精密加工、バス機械部品、クーラー部品、溶接、板金単品、量産、特急、ボルト一本から対応　◆ＮＣ旋盤、ＭＣ加工、製缶、アルゴン溶接も社内対応　◆開発、機械、設備加工のコンビニエンスストア

 取材日　2020年6月