経営者の輪Vol.238 株式会社佐藤塗装の「佐藤 和幸さん」
経営者の輪Vol.238 株式会社佐藤塗装の代表取締役「佐藤 和幸さん」
経営に、人材育成に、人付き合いに…。日々精進を続ける経営者たち。
前回、取材をしてから、役職が変わったり、店舗や社屋を移転したりと、新たなチャレンジを続ける経営者をご紹介します。
11人目にあたる今回は、株式会社佐藤塗装の代表取締役、佐藤 和幸さん。およそ10年間で従業員3倍、年商10倍と輝かしい記録を更新企業に成長。なおも、新型肺炎の影響で社会全体が冷え切っている今、支店をオープンと乗りに乗っています。ところが、その快進撃の幕開けのきっかけは、ある苦悩でした。
順風満帆な毎日を阻まれて
前回の取材から9年。佐藤さんと、株式会社佐藤塗装もまた、大変身を遂げていました。9年前、お邪魔した先は、会社を兼ねたご自宅。佐藤さん自身「今すぐにでも現場に駆け付けられます」と言わんばかりラフなポロシャツ姿でした。
今回、うかがったのは3年前に移った上植木本町の社屋。1階は、伊勢崎初の塗装ショールームがあり、シミュレーションもできる充実ぶりです。2階は事務所や会議室。ちなみに、同社には社長である佐藤さん用のデスクはなし。あえてデスクを持たず、いつでもどこでも仕事ができるようにしているのだそうです。会議室の壁には、社員一人ひとりの目標や、実績、予定などがギッシリと張られ、イキイキとした躍動感を感じます
そこで、社員と熱心に打ち合わせをする佐藤さん。心持ち、色白になったような…。ワイシャツ姿で一見、別人のようですが、「お久しぶりです」と立ち上がって見せてくれた人懐こい笑顔は、9年前のままでした。
「はじめの取材を受けてから今までに2度引っ越し、この社屋で3つ目なんです」と佐藤さん。この躍進のきっかけは何だったのでしょう?
「imapで紹介されたころから変化が出始めて…」との切り出しに、きっかけはimapか? と心が躍りましたが、そうではなく「受注先が少しずつ変わっていったこと」だったとか。
クライアントから直に依頼がくるケースが増えていき、直接お客さまとやり取りをする中で、それまでと同じように「お客さまのニーズを聞き、それ以上のものを提供する」ことを心掛けて仕事を進めていきました。やっていたことは以前と変わりませんが、違うのはお客さまが喜ぶ様子を目の当たりできたこと。このようなうれしい場面が増えていくうちに、お客さまと直接触れ合える楽しさにすっかり夢中になりました。
「それからはがむしゃらだった」と佐藤さん。業績は右肩上がり、事務所は手狭になって引っ越しを繰り返し、会社はどんどん大きくなっていきました。すべてが順風満帆でした。
ところが、どうしたことか、がむしゃらぶりに見合った成果が得られない、プライベートも思ったようにいかない不遇な時期がやってきたのです。
「何が悪いんだろう」「自分は何か間違っているのか」。佐藤さんは、考え、もがき、悩みました。この苦しい体験が、佐藤さんと同社が大きく生まれ変わる、まさに「転機」となったのです。
学びと人間力で新たな流れを
佐藤さんが取り掛かったのは、なんと「今までの自分を壊すこと」でした。持ち前の熱いハートと同じだけ必要なのは、クールな頭、とマーケティングと営業の両方を理論的に学び始めたのです。
マーケティングの第一人者である神田昌典さんの弟子からはその基本となる考えを、トップセールスマンからは営業の神髄を。県内外のセミナーに足しげく通い、有能な経営者や営業マンの存在を知ると直接出向いたそうです。
社長としての仕事をしながら、新たな学びを続けるのは並大抵のことではありません。佐藤さんの原動力になっていたのは、20店舗、年商50億企業という目標。また、かつての自分と同じように独立という夢に向かう社員の存在でした。
学びを進める中で佐藤さんが取り組み始めたのが、理念経営です。これは、企業理念を軸とした経営のこと。会社が掲げる理念が社員の共通目的となり、社員のモチベーションアップにつながります。また、会社が成長しいているときだけでなく、危機的な状況に陥ったときにも揺るがない、ブレの少ない強い企業になるというものです。
経営陣の思いを全社員に浸透させるのは、とても困難なこと。佐藤さんは、食事や「仕事帰りの一杯」にも社員と時間を共にし、社員の人間性を理解しながら佐藤さんという人間を飾ることなく見せ続けました。佐藤さんの考えに共感した社員が渦を巻くように増えていくと、お客さまの満足度も年商もぐんぐん上がっていったのです。
苦しい時期に、あえて「挑戦」
社会に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス。佐藤さんは、その対策を幹部社員と話し合い、緊急事態宣言が発令された翌日から、リスク回避のため社員を3グループに分けた分散出社を通達しました。佐藤さんは自宅待機。社員から上がってくる報告に対応する毎日が続きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業経営を脅かし、これにより倒産に追い込まれた企業も少なくありません。
「うちも厳しいですよ」と隠さずに話す佐藤さん。それでも「コロナの前に社内改革をして固定費を見直したことが功を奏して、この大変な時期を乗り越えられた」と振り返ります。
さらに、目標達成して年商アップ。「このような時でも目標必達するよう、社員全員があらゆることにベストを尽くした結果です」と頬を緩ませます。
同時に「お客さまを大事にするのは、当たり前。私にとっては社員もものすごく大事なんです」とにっこり。社員は、佐藤さんの自慢の宝物です。
これからしばらく、苦しいときが続くことが予想されますが、同社は来期も3人の新卒学生を採用。今は、新たな支店オープンに向けて準備が進んでいます。
「苦しい今、この時期だから、みんなの先陣を切って攻めていきます」と佐藤さん。
今後も攻めの姿勢を貫きたいと話します。夢の20店舗の中には、海外も。それに向けて、英会話も習い始めました。
「昔、真剣に取り組まなかった分、苦労していますよ」と苦笑しながらも、Facebookの「ブックカバーチャレンジ」で英会話の本をあげるほどの入れ込みよう。
「たくさん納税できる会社にしよう」を合言葉に、同社の強みである同じベクトルを持つ社員と新たな夢を実現し続けています。
企業情報
株式会社 佐藤塗装
◆住所/伊勢崎市上植木本町916-1
◆TEL/0270-27-4721
◆営業時間/8:30~18:30
◆定休日/日曜、祝日
◆業務内容/住宅・マンション・アパート・店舗・倉庫・ビル・屋根・内装・外壁補修・外壁・塗装・塗り替え・補修・雨漏り・リフォーム・外構工事・小工事・防水工事
取材日 2020年5月
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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