岡田　務（おかだ　つとむ）さん
伊勢崎市出身

前回の取材は2013年。爽やかな笑顔と、それに相反するような仕事に対する熱心さが印象に残っている経営者さんです。
この7年間で、岡田さんと岡田設備は、大きな変化を遂げました。

まず、取材直後に、岡田さんが社長に就任。翌年には会社を株式組織に変更しました。大先輩と話す中で、現在の売上とこれからの見込み、今後の予定を含め「株式にするなら今」というタイミングだったそうです。また、法人化は、岡田さんの以前からの希望でもありました。

これらの変化で、岡田さんの内面も大きく変わりました。
「今まではどこか気後れしてしまったところがありましたが、法人化してからは自信のようなものが生まれました」と話します。

その一方で、今後も順調にやっていけるだろうか？　新たな挑戦に対する不安もありました。しかし、その不安は「あること」をきっかけに、まったくなくなるどころか、今までとは違う新しい道を作り出すようになったのです。

きっかけは、事務スタッフの存在。
それまでの岡田さんは、昼間は現場、夕方、会社に戻ってきてからは事務仕事、と多忙を極めていました。岡田さんが尊敬する大先輩から自分の仕事の洗い直し洗い出しを勧められ、書き出してみると意外な事実が判明。岡田さんが携わる仕事の多くが、他の人に任せられる内容だったのです。中でも事務仕事は大きな割合を占めていました。餅は餅屋――。事務は専任のスタッフに任せた方がよい、との判断で事務スタッフを募集。岡田さんを支える右腕となる頼もしいスタッフが仲間に加わりました。

それからの岡田さんは、昼間は今まで通りに現場へ向かう傍ら、精神的な余裕からお客さまの元をきめ細かく回れるようになりました。夕方からは、今までできなかった商工会議所の集まりにも出席。ここでできた信頼関係をきっかけに、民間の工場、新築・リフォームと仕事の幅が広がり始めたのです。

「今までは、現場を充実させること、つまり職人さんがいれば仕事が回っていくと思っていました」と岡田さん。ところが、実際はそれだけでは片手落ちだったことに気づいたと言います。
「現場と事務、両輪があってこそ会社は進むということが分かりました」と感慨深そうに話します。

2019年には社屋を新設。「一番、社内に長くいるスタッフが気持ちよく仕事ができるように」という岡田さんに、「明るくて快適。居心地抜群です」とスタッフも笑顔で返します。同じ敷地内に倉庫も建設。準備もスムーズになり、作業効率も大幅にアップしました。
「自分たちが仕事をしやすくなっただけでなく、お客さまにもスピーディなサービスが提供できるようになりました」とメリットを語ります。

会社が法人化し、スタッフが増え、新しい社屋が完成し、と目まぐるしく「進化」している同社ですが「お客さまに喜んでもらえる存在になりたい」という思いは変わりません。

同社は、キッチン、お風呂、トイレなど水回りの専門家。岡田さん曰く「地域密着型のまちの水道屋さん」。キッチンやお風呂などの水漏れ、トイレの詰まり、水回りのリフォームなど、応急処置から、より快適に過ごすための提案をしています。

紹介や口コミで広がるお客さまは、信頼の証。「ありがとう」の言葉と共にお客さまが見せる安堵の表情と、多くの人のライフラインを支えている、その自信が岡田さんを支えます。

「今後は、今のお客さまを大切にしながら、自らの営業力も試したい。県外にもチャレンジしたい」と、意欲を燃やす岡田さん。

仕事をするうえでのモットーは「笑顔」。「自分がにこやかに接していれば、相手も心を開いてくれる。経験をとおして学びました」と、再び爽やかスマイルで答えてくれました。

株式会岡田設備工業

◆住所／伊勢崎市長沼町135

◆TEL／0270₋75-3931

◆営業時間／8:00～18:00

◆定休日／日曜、祝日

◆業務内容／

トイレ・キッチン・お風呂・給湯器・温水器・ボイラーなど、住宅、公共施設、工場、オフィス給排水設備衛生設備一式　工事、修理、リフォーム（伊勢崎市上下水道指定工事店）

 取材日　2020年4月