栁田　陽平（やなぎた・ようへい）さん
1977年、伊勢崎市（旧境町）生まれ

株式会社ウイルビックの前身である「株式会社 マサル工営」を、お父様が設立したのは、1984年。柳田さんが小学1年生のころでした。時々、会社を訪れることはあったものの、別段、興味を抱かなかったという柳田さん。野球部で汗を流し中学・高校時代を経て、東洋大学法学部に進学します。
「父のあとを継ごうとは思っていませんでしたが、勤め人になるよりもいずれは独立して何かをしたい」と考えての進路選択でした。

好きだったアパレル関係への就職を考え始めていた矢先、お父様が体調を崩されました。
「『好きなことをやりなさい』と父は言ってくれましたが、父の会社を継ごうと決心しました」と柳田さん。それを聞いたお父様は、口には出さなかったものの、うれしそうな表情を浮かべたそうです。こうして、柳田さんの進む道が決まりました。

会社を継ぐと決めた柳田さんですが、まずは協力会社に就職。溶接や板金などの技術を学びました。
「重い、熱いなど大変なこともありましたが、自分が手掛けたものが製品になって、やがてお客さまのもとへ届く、と考えるとうれしく、ものづくりの喜びを感じました」と仕事で感じた喜びを話します。
1年後、お父様の体調が優れず、急きょ、株式会社ウイルビックに入社。管理や営業などを経験しました。お父様が快復すると、今度は別の協力会社へ出向。外注管理、工程管理、納期の調整なども任されるようになりました。忙しい毎日でしたが、確実に成果をあげていった柳田さん。会社からも一目置かれる存在になっていました。

一連の仕事を通じて感じたことは、塗装の大変さです。前の工程がずれ込むと、最後の塗装にしわ寄せが来る。このことがきっかけで、再び株式会社ウイルビックに戻ったとき、柳田さんは塗装工場を新たに設立したのです。

2010年、お父様が他界。柳田さんは、株式会社ウイルビックの社長に就任します。33歳のときでした。
「父の存在の大きさを改めて感じました」としみじみ語る柳田さん。お父様という大きな後ろ盾をなくし、精神的にも大きなプレッシャーを感じたそうです。それと同時に、お父様の素晴らしさも実感。「人のために動くのが好きで、行動力にあふれた父は、今でも目標」と笑顔で話します。

柳田さんが立ち上げた塗装事業は順調に進み、何の心配もありませんでした。ところが、2～3年前にお仕事が激減。新たな取引先の開拓が迫られました。
「常に前進しなければ…」このとき、柳田さんはこう強く感じたと言います。積極的な営業活動と、ホームページの立ち上げで、お客さまは少しずつ増えていきました。

株式会社ウイルビックの強みは、品質、価格はもちろんのこと、納期厳守。工程を見直して徹底的に無駄をなくすことで、時間的に厳しい状況で仕事が回ってきても、不具合を出さずに決められた納期を守っています。
得意分野は、配電盤の塗装。同社が手掛ける粉体塗装は、熱性、耐油性、防錆性にも優れ、過酷な条件下でも耐えうる強い塗装。長寿命で環境にも優しいのだそうです。

過去の苦い経験から、今では展示会など外と繋がれる場所にも進んで参加。「ビジネスマッチングにも興味がある」という柳田さん。「決して積極的なタイプではなかった」と自らを称する柳田さんにとって大きな刺激になっているのが、商工会議所青年部の存在です。
アグレッシブな仲間たちを見ると「現状に満足せず、少し背伸びをすることも大切」と感じるようになったそうです。少し背伸びをして頑張ってみる、すると、背伸びをしたところまでが実力になっている。常に上をみて頑張ることが、成長につながると感じているそうです。

休日は、ご家族でキャンプを楽しむ優しいパパ。家族との時間が、明日の活力をつくりだしています。

株式会社ウイルビック

伊勢崎市境伊与久1935-2
TEL／0270- 76-7492
創業／1984年
営業時間／8：00～17：00
休日／土曜、日曜
事業内容／塗装部門：各種金属製品塗装（粉体塗装）、板金部門：配電盤、ボックス他板金加工

平成30年10月