経営者の輪Vol.212 渋澤製パン有限会社の工場長「澁澤昌明さん」です
経営者の輪Vol.212 渋澤製パン有限会社の工場長「澁澤昌明さん」です
今回ご登場いただくのは、渋澤製パン有限会社の工場長・澁澤昌明さん。来年で創業70周年という伝統ある老舗の3代目です。長い歴史の中で変わったことや変わらないこと、仕事のやりがいや仕事を通して変わったことについてうかがいました。
結婚をきっかけに後継者への道を
渋澤製パン(有)の3代目、澁澤昌明さんは、パン屋さんを切り盛りするおじいさまやお父様の姿を見て育ちました。
店先では、たくさんのパンや焼き菓子がきれいにディスプレーされていますが、工場では職人さんたちがせわしなく働いています。昔はそのギャップを見る度に「大変そうだな」と感じていたそうです。
千葉県にある中央学院大学の商学部を卒業すると、数々のアルバイトを経験。清掃業、チラシ配り、イベントスタッフ、引っ越し屋さん、と種類を問わなかったのは「違った世界を見てみたい」という思いがあったからでした。
「心のどこかには、いずれ家業を、という思いがあったのだと思います」と澁澤さん。子どものころから親しんできた環境に身を置く前に、さまざまな景色を見たかったのです。
当時、すでに結婚を考えていた澁澤さんは、フィアンセと話し合い、澁澤製パンを継ぐために伊勢崎に戻ってきました。23歳のときのことでした。
「祖父や父から、継いでほしいと言われたことはありませんでしたが、私たちの決断を喜んでくれているのは感じました。従業員さんたちも喜んで迎えてくれたのはうれしかった」と爽やかな笑顔で当時を振り返ります。
試行錯誤の末に生まれた新製品
入社後、1~2年は包装、配達、掃除に明け暮れた澁澤さん。
パンづくりに携われるようになったのは、それ以降だったそうです。
初めてのパンづくりは、給食用のクリームパン。教えてもらったとおりにつくると、馴染みのあるふっくらふわふわのクリームパンができあがりました。
切り込みを深く入れるとどうなるのだろう? 逆に浅くしたら? …というような「実験」的なことを少しずつ加えながら、結果を見比べ、パンの不思議に夢中になっていきました。
「指示を仰いでいたときはよかったのですが、自分でやるようになってからは随分頭を悩ませました」と苦笑いをする澁澤さん。
気候、気温によってイースト菌の発酵具合は変わります。粉の状況によって、さらに生地の状態も変化。思ったように仕込みが進まないことも少なくありませんでした。
店はもちろん、給食用のパンもたくさん扱っているだけに、クオリティを保つことは必須。
何度もチャレンジして、身体に染み込ませていきました。
「今なら人脈もできているので、悩みを相談することもできます」と笑顔を見せます。
澁澤さんにとっての大きな転機は、市内の高校から新しいパンのリクエストをもらったとき。期待に応えたいけれど、技術が追い付かない…。悩みつつも試行錯誤を重ねて新メニューが誕生させ、学校側から喜ばれたことは大きな自信になりました。
「最近、自分が変わってきたなと思います」と笑顔で話す澁澤さん。変わるきっかけとなったのが、伊勢崎商工会議所青年部での経験でした。
みんなで協力してイベントを成功させるうちに、一人の力のはかなさを感じました。それと同時にみんなで力を合わせると、想像以上に大きなことができることも知りました。
今まで、会社では自分ひとりでどうにかしようともがくことが多かったそうですが、今は3人のスタッフと楽しみながらパンの開発にかかわっています。
「スタッフが自ら考え、いろいろなアイデアを出してくれるので新しいパンが続々誕生。今ではメニューは、130種類を超えるまでになりました」と頬を緩ませます。
おいしさをお届けするために
パンの製造販売をする会社はほかにもありますが、同社ほど長い歴史のあるところはなかなかありません。
創業者のおじいさまは会長、会社を引き継いだお父様は社長、澁澤さんは工場長を務めています。3代そろっていることで幅広い年代のお客さまが楽しめるパンを提供することができるのは、同社の大きな強みのひとつ。生バナナが入った「バナナパン」や、オリジナルのケーキ「ウィンザー」は変わらない味で愛され続けているロングセラー。それに、デニッシュや日替わりの調理パンなど、新しいアイテムが続々誕生して、幅を広げています。
店舗販売のほか、市内4つの高校や、市内や県外にある45の保育園にもパンを提供。ほかにも病院や会社など、市内の各地を回っています。
「焼きたてをお届けできるよう、段取りを考え、緻密な計画を立てて配達しています」と澁澤さん。お客さまを思う姿勢と、同店のおいしいパンを求めて「昔食べた味が懐かしい」と店舗を訪れる人もあとを絶たないそうです。
「さらに多くの人に喜んでもらえるよう、スタッフ全員でレベルアップを目指します」と、にこやかに話してくれました。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)
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