「山とスキーの店・石井」の店長石井達幸さんに、現職に至るまでの経緯と仕事のやりがい、マッキンリーでの貴重な経験についてお話いただきました。

<プロフィール>

石井　達幸（いしい・たつゆき）さん
生年月日：昭和54年1月26日
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住

「山とスキーの店　石井」は、その名の如く、登山用品とスキーの専門店。昭和38年に石井さんのおじいさまがオープンさせました。

石井さんが初めてスキーをはいたのは、3歳のとき。気候のよいときは、ご家族やいとことハイキングやキャンプなど小さいころから山に親しんできました。おじいさまは、まだ小さかった石井さんに（店を）継ぐつもりはないかどうかを再三尋ねたそうです。

石井さんは「いずれは店を継ぐのかな」と頭の片隅で思いながら、高校卒業後は調理師専門学校に進学。同校を卒業すると、県内のイタリアン料理店に就職を果たしました。

仕事にもようやく慣れてきたころ、おじいさまが経営する「山とスキーの店　石井」（以下、「石井」）が企画するイベントの話を聞いて石井さんの心の中に「参加したい」という。期間は1か月。行き先は、ヒマラヤ登山入門に最適の山として知られるアイランド・ピーク。一度は行ってみたいと思っていた山の名に石井さんの心は躍ります。考え抜いた末、石井さんはイタリアンレストランを辞め、ネパールへと向かいました。

お店のお客さまとおじいさま、そして石井さん含む30人で向かったネパール。トレッキングを楽しんだ後、そのうちの8人ほどがアイランド・ピークに挑みました。

「アイランド・ピークに行って驚いたのは、山の大きさです」と話す石井さん。

氷河に囲まれた孤島のようなアイランド・ピークを「白と青しかない世界」と文学的な表現で語ります。

標高の高いところで人々が当たり前のように暮らす様子にたくましさを感じたそうです。

山に対する気持が大きくなっていた石井さんは、ネパールから戻ると同時に「石井」の手伝いに入ります。

これがきっかけとなって「石井」に入社することになりました。

その後も先輩に誘われてキリマンジャロやマッキンリーに登った石井さんは、どんどん山に魅せられていくのです。

かつて移動の手段だったスキーが、レジャーとして発達したように、時代とともに求められるものも変化していきます。

このところ「石井」で力を入れているのが、バックカントリーです。これは、自然の山中を滑るスキー。だいぶメジャーになってきたとはいえ、まだまだ知られていない存在です。同じく、メジャーとはいえないロッククライミングの道具も充実しています。「石井」の強みは、このような専門性の高いものでも期待に応えられる点。
「新しいものに関わり対応する楽しさ、マイナーなものだからこそお客さまとのつながりも強くなります。それがうれしい」と専門店のやりがいについて石井さんはこう話します。

「石井」の特徴は、実際の経験を活かして商品を選んだ商品を取り扱い、初心者にも分かりやすく丁寧に説明をしてくれる点。多くの人に人気のトレッキングやスキーなどのツアーのほか、まだなじみの少ない「テレマークスキー」のお試し会を兼ねたイベントも開催。新しい山の楽しみ方を広げてくれます。

石井さんの最近の楽しみは、奥様とのトレッキング。最近では滋賀県まで出かけたそうです。たくさんの山を知る石井さんが県内でおすすめするのは、伊勢崎からとてもきれいに見える「赤城山」。手軽に歩けて、未舗装の起伏のある山道を走る「トレイルランニング」などの陸上競技もできる。冬になると雪もふる。「伊勢崎から1時間ほどで、まるでアルプスにいるような楽しみ方ができる山は貴重です」と石井さんは話します。

私たちの身近には、知らないだけで、魅力がまだまだたくさん眠っている場所がたくさん教えてくれる石井さんは、隠れた「群馬の観光大使」のようですね！

山とスキーの店石井

住所／伊勢崎市宮子町3448-2
TEL／0270-21-8025
営業時間／10：00～20：00
定休日／火曜

平成27年6月