有限会社吉田鉄工所の専務取締役・吉田尚弘さんに、現職に至るまでの経緯と、ギネスに登録された青年会議所の活動について話していただきました。 <プロフィール> 吉田 尚弘(よしだ・なおひろ)さん
昭和47年5月8日
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住
「キーワードは、野球と理事長」。 まず、一つ目のキーワードである「野球」。 県内屈指の強豪校である農二。上下関係が厳しく、1年生のときは試合に出るなんて夢のまた夢。先輩方が気持ちよく野球に専念できるよう、周辺環境を整えることが、1年生の役目だったそうです。朝は5時台に出発する始発電車に乗り、帰りは日がどっぷり暮れてから。疲れて下車駅である伊勢崎を通り越し、桐生まで行ってしまうことも少なくなかったといいます。 甲子園の夢が現実味を帯びてきたのは2年生のとき。なんと、1つ上の先輩たちが、甲子園への切符を手にしたのです! 翌年、みんなの期待を背に夏の県大会にのぞんだ吉田さんたちは、まさかの3回戦敗退。 高校進学時同様、先輩に導かれるようにして、中央大学経済学部に進学。学生時代も野球部に所属し、東都大学リーグで神宮(球場)を目指しながら、仲間と共に楽しく野球に励む日が続きました。「勝ち負けではなく、野球は、楽しむもの」との意識が芽生えたのもこの頃。
吉田さんを知るアイマップ・スタッフから、取材ポイントをそう教わり、向かうは喜多町の有限会社吉田鉄工所。
本社のドアを開けると、今月の取材対象者さまである吉田尚弘さんが、にこやかに出迎えてくれました。
吉田さんは、市立北小学校3年生のとき、友達に誘われて校内の野球チームに入部。市の大会で優勝し、県大会に進んだこともありました。当時のポジションはキャッチャー。
市立第三中学校に進学してからは、外野手に転向したそうです。
中学時代の吉田さんの目標は「甲子園出場」。その夢を叶えるべく、先輩のあとを追って高崎市にある東京農業大学附属第二高等学校(以下、農二)に進みました。
アルプスから見るダイヤモンドは、キラキラ輝く夢の大舞台。
先輩たちを応援しながら「来年は絶対に自分たちが」と決意を新たにしたそうです。
最後の攻撃を迎えた9回。吉田さんに打順が回ってきました。バットが球を捉えますが、残念なことにダブルプレーでアウト。次の選手のバットは、宙を切り、吉田さんたちの夏は終わってしまいました。
それでも「残念でしたが、やりきったという達成感が残りました」と吉田さん。卒業から25年になりますが「当時の仲間みんなで集まると、あの頃に戻って、会わない時間があったというのを感じないんです、不思議ですね」と吉田さんは笑顔を見せます。
野球が持つ魅力を「みんなで一つの目標に向かって取り組む楽しさ、同じ志を持った仲間と過ごす充実感」と話します。
大学卒業後、吉田さんは伊勢崎に戻り、実家の家業である「吉田鉄工所」に入社。社会人としての一歩を踏み出しました。 小さいころから、ご両親が営む同社によく来ていたという吉田さん。従業員さん、会社の雰囲気もよく知っていたので、すんなりとその場に馴染めたそうです。 ところが、ただ知っているだけでは、すぐにできるような仕事ではない、それが同社の仕事の難しさ。 しかも同社が得意とするのは、多品種少量生産。注文ごとに求められるものが異なるため、応用力も求められます。 「工場で穴あけ加工や溶接など、ひと通りの工程を実際にやってみると、少しずつ光が差すように見えてくるものが増えてきました」吉田さん。その後は、独学で勉強に励み、さまざまな技術を身につけていきました。その経験こそが、今の仕事をする上でベースになっていると話します。 同社の強みは、切断・切削・穴あけ・パイプ曲げ・溶接仕上げまで、社内で一貫して加工できる点。そのため、お客さまのご要望にスピーディーにこたえることができます。 目指すは、お客さまにとっての「オンリーワン」。そのために、吉田さんは技術の向上を目指して努力を惜しまず、仕事に取り組んでいます。
図面を見ただけで、必要な材料や技術、製作期間、経費などがわかるようでなければなりませんが、当時の吉田さんは
「図面を広げても何がなんだかさっぱり…」
さらに、材料も鉄やステンレスなど多様、薄いものから厚みのあるものまで対応が可能という幅広さもお客さまにとってはうれしいポイント。
吉田さんの2つめのキーワードである、理事長。 そんな中で、吉田さんとメンバーがやりたいと思ったことの一つが、子どもに何かを体験させる機会を作りたいということ。もう一つが、ギネスに挑戦したい、ということでした。 そこで、まずは小学生を対象とした職業体験を実施。大工といった伝統的なものから、ネイルやパティシエなど新しいものまで、いろいろなブースを作って、小学生が自由に体験できる機会を設けました。 ギネスは2011年10月29日に市民プラザにつくった「野菜の巨大なモザイクアート」で申請。公募で集まった市民とともに、伊勢崎銘仙である絣を着せた「ぐんまちゃん」を、いろとりどりの野菜を使って仕上げました。大きさはなんと、375平方メートル! まさに「巨大な」モザイクアートです。 2011年といえば、あの大震災が起きた年。さまざまなものが「自粛」され、吉田さんもこの企画を進めてよいものかどうか、随分迷ったそうです。 背中を押してくれたのは、被災地の方々でした。震災から1週間後、支援物資を持って被災地を訪れた吉田さん。そこで感じたのは、みなさんが想像以上に前向きだということ。 野球を通じて、仕事を通じて、常に高い志を持つ仲間に恵まれ、力を合わせて何かを作り上げる楽しさや達成感を学んだ吉田さん。
吉田さんは、4年前、公益社団法 伊勢崎青年会議所の理事長を務めていました。入会から5年で理事長に就任したのは、最短。
先輩たちに勧められてこの重職についたものの、心のうちは不安もあったそうです。
お泊りキャンプも実施。子どもたちに自然に親しみ、自然と人間の関係を知る機会を提供。仲間と協力する楽しさや、知恵を使う大切さを経験を通じて伝えることができました。
その様子を見て、自粛することだけがよいことなのか? と考えるようになったそうです。
そして「活動としてできることをやろう」と、計画を実行したそうです。
心が通ったネットワークを生かして、これからも今までにない新しいものを生み出してくれそうです。
有限会社吉田鉄工所 住所/伊勢崎市喜多町100-2
TEL/0270-25-2370
業務内容/各種機械加工、試作品加工、省力化機械、生産技術開発
創業/昭和22年
URL/https://www.yoshida-iron.com
平成27年1月
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)