有限会社阿部ホンダの代表取締役・阿部徳人さんに現職に至るまでの経緯、お仕事の面白さ、これからの夢などについてお話いただきました。

<プロフィール>

阿部 徳人（あべ・のりひと）さん
昭和52年1月29日生まれ
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住

阿部さんが代表取締役を務める「有限会社阿部ホンダ」は、昭和25年、おじい様によってつくられました。商いを始めたのは、さらに前に遡ります。「もともとは競輪選手だった祖父が自転車屋さんとして始めたと聞いています」と阿部さん。実は、伊勢崎で最も長い歴史を持つ「有限会社」でもあるそうですから、いかに長く伊勢崎で愛されている存在であるかがわかります。

小さいころから、どこかで「跡を継ぐことを意識していたんだと思います」という阿部さん。伊勢崎第一中学校から伊勢崎工業高校機械科に進んだのも「どこかで将来を考えてのことだったのかもしれません」と振り返ります。高校時代に、危険物取扱や溶接に関する資格を取得。これが、後に有限会社阿部ホンダの優位性を高めるのに大きく役立つこととなるのです。

高校卒業と同時に、阿部さんはホンダのディストリビューターに就職。例えていうならここは、町のお医者さんが手におえない重症患者を受け入れる病院のような存在。当然、難しい特殊な修理が必要なものばかりだったといいます。
「仕事はとても厳しかった」と阿部さん。それでも、１年間で慣れたそうです。

その後、ホンダの直営店への営業なども経験。当然、ご店主の多くはバイク好き。阿部さんが一般の修理工場がお手上げだった二輪車の修理を手掛けていたことは、直営店のご店主との距離を縮めることにもつながりました。

この時代に、国家整備士の三級と二級の資格も取得した阿部さん。4年間勤めた後、いよいよお父様が経営する「有限会社阿部ホンダ」に帰ってくることになりました。

有限会社阿部ホンダは、本田技研工業の正規ディーラー。四輪車を扱った時代もありましたが、本田技研工業の方針で、二輪か四輪のどちらかだけを扱うようになったため、阿部さんは二輪専門のディーラーとなりました。

今までずっと右肩上がりの成長を続けてきた有限会社阿部ホンダ。それでも、阿部さんは将来を考えたときに「変えていく」必要性を感じていました。
今までやってきた実績を持つお父様と、新しいことにチャレンジしたいという熱意あふれる阿部さん。「ぶつかり合うことも少なくない、というか、ずいぶんケンカもしましたね」と当時を懐かしそうに、ほほえみながら話します。

阿部さんの考えは、新車を多く扱うこと。もう一つは、アフターメンテナンスをしっかりとすることでした。今では、通信販売も手掛ける阿部さん。成約率は80％にも達するそうです。

「そこには二輪車のお客さまならではのある特性も影響している」と話します。
「二輪車のお客さまは、フットワークが軽い人が多い」と阿部さん。「ツーリングがてら行きますよ」と、お客さまは全国各地からいらっしゃるそうです。

同社は、あるインターネットのサイトで、満点に近い超高評価。「親切丁寧な態度、バイクの手入れの良さで即決しました」「遠方でしたが、このお店にして正解」「親切で丁寧な対応、アットホームな雰囲気、サービスの良さ、どこをとっても素晴らしい」など、お客さまの喜びの声がたくさん記されています。

そんなお客さまの心をしっかりつかんだ阿部さんが大切にしているのは、「お客さまとのコミュニケーション。お客さまに喜んでもらえることが、何よりのやりがいです」と阿部さんは充実の表情でそう話します。

同社の強みの一つが、塗装や溶接などもできる点。高校時代に取得した資格が、生きた形となって今の同社の魅力を支えています。鈑金も大きなセールスポイント。お父様の仕事ぶりを見ながら確実にしていった技術でもあります。

「自分のところで手掛けられる分、お客さまにも安くご提供することができます」と話す阿部さんの夢は、バイクの楽しさを広く伝えていくこと。それにはまず、ハードルを下げる必要性を感じているそうです。「お金がかかりすぎるのでは…、と敬遠されるのではさびしい。そのくらいの金額でできるのならやろうかな、と始めて、バイクの楽しさを知ることで人生を豊かに送れる人が増えれば」と話します。

伊勢崎育ちの伊勢崎生まれという阿部さん。伊勢崎も良さを「居心地がいいところ、どこに行くにも便利なところ」と話します。「市民のもりなど、子どもと一緒に遊べる施設があることは、とても幸せ」と語る顔は、やさしさあふれるパパの顔になっていました。

有限会社阿部ホンダ

住所／伊勢崎市茂呂町1-423
TEL／0270-25-6615
事業内容／二輪車の販売・修理
創業／1950年

平成26年5月