矢内良春さんは、お父様が起業された豊鉄水工業株式会社で専務取締役として活躍中。大学時代から始めたレーシングカートでは優勝も経験。さまざまな経験を通じて感じた人生観もお話いただきました。

<プロフィール>
矢内良春（やない・よしはる）さん
昭和48年2月14日生まれ
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住

ご覧のとおり、スリムなイケメンの矢内さんは、小学生のときから中学～高校と、野球一筋。浪人覚悟で受験した山梨学院大学に見事現役で合格した後も、野球を続けました。

それほど、熱中していた野球ですが、肩を壊して断念。そんなとき、知り合いに「おもしろいよ」と誘われたのが、レーシングカートでした。普段、道を走るときとは比べものにならないスピード感と、抜いたり抜かれたりする知恵のバトル。すっかり夢中になり、大学卒業後もフリーターをしながら、地方カート競技選手権に参戦していました。

1年後、気が付くと、思いのほか借金が多くなっていたことに気づいた矢内さん。迷った末、やむなくカートを諦め、お父様の会社を継ごうと伊勢崎に戻ってきました。

ところが、自分の興味のある仕事に目が向き、すぐにお父様の会社には入らなかった、と矢内さん。しばらくして、やはりお父様の会社で一緒に仕事をさせてもらいたい、と考えるようになりました。
「継がせてほしい、とは言えなかった」と言う矢内さん。まずは、必要な技術と資格を習得してから、と求人情報誌に募集を出していた高崎の同業者のドアをたたきました。
そこで、出会った人たちから、仕事で必要なあらゆることを「納得できる説明」で教えてもらった矢内さんは「このときの経験は貴重だった」と当時を振り返ります。

矢内さんの頑張りを傍から見ていたお父様からお呼びがかかり、豊鉄水工業株式会社に専務取締役として入社。同業者の元で修業を積んだとはいえ、組織が違えば勝手も違います。見積書などの書類制作や営業など、今までに経験したことのない業務も増えていきました。

この時の矢内さんは、昼間は現場、夜は見積もりや書類の制作、それが終わると資格試験のための勉強と大忙し。寝る時間もないほどだったと言います。また、業務を遂行する上で分からない点は、自分で本を読んだり、先輩に尋ねたりして、根気強く分からないことをクリアにしていきました。

親子で経営することのメリットを「言いづらいことも言える点」と話す矢内さん。おかしいな、と感じることがあっても社員がなかなか社長に思いをぶつけることはしづらいもの。「みんなで気持ち良く仕事を進めるためにも、言いづらいことを言うのが自分の役目の一つ」といいます。
逆にデメリットとして挙げるのは「けんかになりやすいこと」。「でも」と矢内さんは続けます。「けんかになるというのは、お互いが真剣に考え、取り組んでいることの表れ。従業員のことやお客さまのことを考えればこそ、お互いに信頼し合っているからこそできることであって、決して悪いことではないんです」と。また「けんかしても、翌日は普通に話せる。親子ならではの良さなんでしょうね」と笑顔を見せます。

豊鉄水工業株式会社の強みは「少数精鋭」。社員全員が高い意識を持って取り組む、その姿勢は同社の自慢です。

 そんな矢内さんがこのところ、気にかけているのが社員の家族のこと。
「会社にとって大事な従業員が支えている家族、その従業員を支えてくれる家族。従業員は、一日の多くを会社で過ごしている。つまり、人生の多くをこの豊鉄水工業で過ごしていることになります。ほかの経営者が語る展望とは少し違うかもしれないけれど、従業員が自信と誇りを持って働き、社会に貢献できる会社であり続けたいと思うんですよ」静かに、しかし力強く話してくれました。

豊鉄水工業株式会社

住所／伊勢崎市中町７２
TEL／0270-32-1526
事業内容／給排水、空調、水道施設工事、重軽量鉄骨工事など
営業時間／8時～17時
定休日／日曜、祝日
設立／1977年4月

平成26年1月