イソベテックの代表である泉　和宏さんに、現職に至るまでの経緯、仕事の面白さ、人のつながりを大切にした支援活動などについてうかがいました。

<プロフィール>
泉　和宏（いずみ　かずひろ）さん

昭和49年11月23日生まれ
桐生市出身
伊勢崎市在住

泉さんのご両親は、機械の設計や製作を手掛ける会社を起業。泉さんは小さいころから、そんなご両親の背中を見て育ってきました。

高校中退後、夜は再び学校に通い、昼間はご両親の会社で働くという日々を送っていた泉さん。親戚中からも「後継者」として歩むよう、常日頃言われており、泉さんご自身も、ご両親の会社を継ぐのが当然のことのように当時は思っていました。

ところがある日、事態は一変。 「今日は学校に行かなくていい。話がある」とお父様から言われた泉さん。お父様から伝えられたのは、思いもよらぬ「倒産」の事実でした。

幸いにも泉さんは、お父様の計らいで２日後には親戚の鉄工所で働くことが決まりましたが、このとき初めて泉さんの中に「継がなければ、という自分が自分にかけていた呪縛から自由になった」という気持ちに気づいたといいます。

その後、足利にある会社に転職。「とても恵まれた環境でした」と泉さんは当時を振り返ります。

泉さんは昔から友達とバンド活動をしており、ＤＪとしても活躍していました。大勢いるバンド仲間の中には全国ツアーに出かける人気のバンドもいて、泉さんに「一緒にツアーに参加してほしい」というオファーがきていました。当時の泉さんは、会社員。ツアーに出れば３週間ほどは会社を休まなければなりません。そんな勝手が通るとは思えませんでしたが、社長に話したところ「一度しかない人生だからいいだろう。行って来い」と背中を押してくれたのです。

このように泉さんの「個」を大切にしてくれた職場で、十分なやりがいと充実感を持って仕事に励んでいました。 

その間、ご両親は再びご自分たちで仕事を始めていました。幸いにも、再び始めた仕事は順調で、日に日に忙しくなっていったのです。

再びご両親と共に働く道を選んだ泉さん。このときは「やらねばならない」のではなく、「やろう」という前向きな気持ちでのぞんだといいます。

外の世界を知ったことで「自分の会社」に対する気持ちも変わっていました。 運よく、今の会社の場所も見つかりました。１年に及ぶ片付けには、仲間たちが駆けつけてくれました。

現在、イソベテックでは、主に車をつくる機械を製作しています。0.1ミリの差がモノをいう、とてもシビアな仕事です。

面白いのは、仕事の形態。それぞれ得意とする仲間がグループのようになって仕事をする「社内外注」という形式をとっています。みんなが自分の能力を生かせるだけでなく、仕事の内容や規模にも対応できるため、むだがありません。 仕事でのやりがいは「考えるところ」と泉さん。

「受けている仕事の多くは、予算や納期など厳しいものが少なくないんです。どうやったら間に合うか、どうしたら納まるか、隙間を探して道をつくるのが面白い」と白い歯をのぞかせます。

「日々チャレンジです」と再び笑顔を見せる泉さん。そんな泉さんがよりどころとしているのが、商工会議所青年部のメンバーです。

「困ったときに相談することで、足踏みをすることが少なくなった」「自分自身をレベルアップできる」「知識も得られる」とメリットはいろいろ出てきますが「何より楽しい、おもしろい」のだとか。

メンバーが中心となって行っている「気仙沼支援活動」にも積極的に参加している泉さん。大好きな音楽活動に独自のアイデアをプラスした新しい支援活動も思案中。今までのつながりの輪に乗って、新たな波が生まれそうです。

イソベテック

住所／伊勢崎市国定町1-1108-3 
TEL／0270-63-1547 
事業内容／各種機械・治具・省力化装置・設計・製作
営業時間／８時～17時
定休日／日曜
設立／平成９年

取材日　平成25年6月