今回「経営者の輪」にご登場いただくのは、株式会社エヌケー工業の代表を務める中澤幸司さんです。
株式会社エヌケー工業は、塗装剥離を手掛ける県内で唯一の会社。その同社を立ち上げた中澤幸司さんに現職に至るまでの経緯や事業の特性ついてうかがいました。 <プロフィール> 中澤 幸司(なかざわ こうじ)さん
昭和36年11月15日生まれ
伊勢崎市出身
伊勢崎市在住
高校では、食品化学科に在籍していたという中澤さんは、卒業後、市内のパン製造会社に就職。そこでパンづくりの奥深さに目覚めます。 「パンは、粉、塩、イースト、バターなどを混ぜて作るんだけれど、少しの配合で食感も何もまったく別のものができる。形を変えればさらにまた変わる。その加減が難しいけど、面白くてね」
そんな面白さを感じていた中澤さんに転機が訪れたのは、お兄様の結婚式。仲人をつとめたプレス会社の社長から「ウチに来ないか」と声をかけられたそうです。中澤さん、25歳のときでした。
入社から半年で、新しく塗装の部門に乗り出すことになり、担当者として白羽の矢が立ちました。中澤さんに下されたのは「1か月でラインが動かせるように技術を習得すること」というハードなオーダー。塗装はまったくの素人だった中澤さんは現場に入り、分からないことは分かるまで尋ねてメモを取りました。あまりのハードさに、1か月で5キロもやせたそうです。 中澤さんの努力の甲斐があって、新しい塗装のラインは、予定通り1か月後にスタートしました。
塗装とひと言で言っても技術はいろいろ。塗料を霧状にして吹き付ける「吹き付け塗装」、粉末状の樹脂からなる塗料を静電気により被塗物に付着させた後に加熱して塗膜をつくる「紛体塗装」、導電性のある水溶性塗料を入れたタンクに浸けて電流を通し、塗料を塗着させる「カチオン電化塗装」など、仕上がりも効果も異なります。
しかし、もちろんすべてがうまくいくわけではありません。そこで必要になってくるのが、塗装とは真逆の「剥離」という技術。ところが、この技術を持つ会社は県内にはありませんでした。
当時の中澤さんは、営業、技術、品質とさまざまな部門を任され、どんどん会社での地位を上げていきました。そんなときに今までに得た知識から、バケツの中に薬剤を混ぜ、剥離を試していたところ、うまくできたのです。
「自由にいろいろなことを任せてもらえたおかげで、剥離を試すことができました」と当時を振り返ります。そこで中澤さんは会社に、剥離技術の部署の立ち上げを提案したのです。
ところが、会社の事情で剥離技術部門の設立は実現せず、中澤さんは自分でやってみよう、と思うようになります。
決心をして退職するまでの8か月間少しずつ機材を集めたり、剥離薬品の情報召集を会社の仕事が終わってから毎日のようにやったりして、独立の時を迎えました。
独立直後、中澤さんは市内の塗装会社に飛び込みで営業をかけました。幸いにも伊勢崎は、塗装会社が市内に40社ほど、と多く集まっている地域でした。中澤さんの人柄も大きく影響して、訪問をした6割の塗装会社から発注を得ることができました。
独立当時を振り返って中澤さんは「人に恵まれました」と感慨深そうに話します。
営業から納品まですべて一人でやっている姿を見て、元部下が手伝いを買って出てくれました。「満足な給料は払えない」という中澤さんに「それでもよいから」と気持ちよく手を貸してくれました。ある友達は、何も言わないのに「独立したばかりならお金も必要だろう?」と15
0万円もの大金をポンと貸してくれました。中澤さんが始めたのなら、と仕事を出してくれる人もあとを絶ちませんでした。こうして成長を続けている同社は、「塗装を知っている剥離会社」として広く知られるようになりました。ただ剥がすだけではなく、次に塗装しやすいように剥離するのが同社ならではの強みです。
地元金融機関との付き合いも、これからの会社の成長にとって大きなものとなりました。「今、会社のあるこの土地も地元の金融機関さんが紹介してくれたんです」と中澤さん。「これから事業を拡大しようというときに良いパートナーに巡り会えたという感謝の気持ちでいっぱい」と笑顔を見せます。
これからは、今までの「縁」を大切にしながら、プラスチックの塗装剥離などにもチャレンジしたい、と意欲を燃やす中澤さん。リサイクル、リユースが注目を集める時代にうれしい挑戦が始まりそうです。
株式会社 エヌケー工業 取材日 平成25年1月
住所/伊勢崎市柴町1770
TEL/0270-40-3560
営業時間/8時〜17時
定休日/無休
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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