アジア熱処理技研株式会社の取締役・工場長星野智昭さんは、小学校2年生～東北福祉大学を卒業するまでサッカーひと筋。そんな星野さんに、サッカーに明け暮れたころのことや、親子で会社を経営することについて伺いました。

<プロフィール>

星野　智昭（ほしの　ともあき）さん

昭和51年8月8 日生まれ

伊勢崎市出身

埼玉県本庄市在住

星野さんとサッカーの出合いは、坂東小学校2年生のとき。やんちゃだった幼稚園時代の仲良しと離れ離れになったことで意気消沈気味だった星野さんに、友だちが「一緒にやろう」とボールを差し出したのがきっかけでした。始めてみると、自分で思った以上に上手。瞬く間に夢中になりました。「サッカーがきかっけで友だちも増え、本来の自分自身を取り戻したような気がした」と星野さん。その頃の仲間は、今でも連絡を取り合う仲といいます。

第四中学校時代もサッカーに夢中。当時は、今のようにサッカーがメジャーではなかったものの、サッカーの選手になれたら、という夢を抱いていました。卒業後はサッカーの名門・前橋商業へ進学。本格的にサッカー漬けの毎日が始まります。家を出るのは朝6時。登校後、1時間ほどの練習をこなし、放課後はまた練習。家路に着くのは、夜9時を回っていたといいます。入部当時の部員数は100人以上。部員は、1軍、2軍、3軍と3つのチームに分けられます。入部当時、星野さんは3軍。レベルの高さを見せつけられ、愕然としたこともありました。ここで諦めないのが星野さん！　華奢な体を鍛えるため、毎日、自主的に居残り練習で筋力トレーニングを欠かしませんでした。自慢の持久力を生かしてフィールドを駆け回る姿が買われ、1年生の冬には1軍でプレーするまでに。その後、進学した東北福祉大学でもサッカー部に所属し、日々、サッカーに励みました。

そんな星野さんが、サッカーに関係する仕事に従事することを望むのは不思議ではありません。ところが、当時は今のようにサッカーがビジネス・フィールドとして成熟してはいませんでした。「これから」を考えたとき、星野さんはお父様が創立した会社「アジア熱処理技研株式会社」の後継者になることを決心。「自分の好きな道を歩めばいい」と常に言っていたお父様も星野さんの思いを受け入れてくれました。

星野さんはすぐに同社に入社せず、まずは県内にある一部上場の製造会社へ就職。ここで現場～生産管理を経験します。実際に社会に出て「熱処理」という技術の特殊性に改めて気付いたという星野さん。早めにこの特殊な技術に触れた方がよいと判断し、3年後にはアジア熱処理技研株式会社へ入社しました。

同社でも最初のうちは現場の作業を担当。その後、生産管理に携わるようになりました。このとき、星野さんが大切にしていたのは「従業員とお客様の心のバランス」。「従業員さんに気持ち良く働いてもらいながら、お客様の要望に応えること」を常に考えていたそうです。

同社の特徴は「高品質」「短納期」「少量多品種」。決して多くはない熱処理を行う会社の中で「少量多品種」に対応しているところは珍しいといいます。今後は、オリジナル品を開発して市場に出すこともしてみたい、と意欲を見せます。

現在、工場長として工場全体の管理に携わっている星野さん。親子で経営に当たるメリットを「父が作った人と人とのつながりを生かせること」と言います。思い切ってデメリットを聞いてみると、首をかしげて考えながら照れくさそうに「親子であるだけに素直に話が聞けないところ、かな」とポツリ。

星野さんのモットーは「人に優しく、自分に厳しく。親しき中にも礼儀あり」。長年、サッカーをしてきた中で得たもの、と言います。会社発展のために心掛けていることを尋ねると「お客様に満足してもらうこと。そして、従業員さんの幸せですね」とキッパリ。人と人とのつながりや、人のこころを大切にする星野さんらしい言葉で締めくくってくださいました。

アジア熱処理技研株式会社

◆住所：伊勢崎市飯島町540－2

◆TEL：0270-32－6321

◆営業時間：8時30分～17時

◆創業：昭和43年

◆従業員数：98人

◆事業内容：金属部品の熱処理加工と付帯加工

◆アクセス：こちらをご覧ください

取材日　平成24年5月