今回、ご登場いただくのは、歓送迎会でにぎわうこの時期にぴったりの「旬処　大喜」ご店主の岩辺勝巳さん。海なし県である群馬の地において、おいしい魚介類がいただけるお店として大好評。そんなお料理自慢の「大喜」誕生までと、おいしさの秘密を聞いてきました。

 <プロフィール>

岩辺　勝巳（いわなべ　かつみ）さん

昭和48年7月20 日生まれ

伊勢崎市出身・伊勢崎市在住

住宅街に佇む旬処「大喜」さんは、新鮮な海の幸で評判のお店。宮子町で５年間営業をしたのち、ご店主である岩辺さんのご出身地である除ケ町に戻ってきて2年がたちます。

「もともと料理人に興味があった」という岩辺さん。そのきっかけともなったのが、沼津で魚屋さんを営んでいたおじさんの存在です。岩辺さんが19歳のとき、そのおじさんが「面倒をみる」と言ってくれ、沼津のおじさんが経営する魚屋さんで働き始めました。興味はあったものの「魚のことをまるで知らなかった」という岩辺さん。最初の仕事は、配達や魚市場への同行でした。少しずつ、魚の種類や値段が分かりかけたころから、実際に包丁を握って魚をさばくことも教わり始めました。

「最初はまるでうまくいかなかった」と当時を振り返って苦笑いをする岩辺さん。魚を上手におろせるようになるまで10年はかかる、と言われているそうですから、当然といえば当然です。それでも、１年後には念願の料理人修業が始まりました。修業先は、おじさんが紹介してくれた料亭。京都の料亭から暖簾分けしてもらった親方のもとで夢への一歩を踏み出しました。

魚屋さんでの修業を通して、魚をさばく腕を磨いた岩辺さんでも最初から包丁は握らせてもらえなかったと言います。

和食の修業は厳しく、仕込みや器並べなどの雑用全般から始まり、揚げ物を揚げる「揚げ場」、焼き物を担当する「焼き方」、煮物を作る「煮方」と進みます。煮方ができると板前と呼ばれ、カウンターに立ち板前を仕切れるようになると「花板」です。岩辺さんは、京都出身の親方だけでなく、東京で修業を経験した親方の元でも修業を重ねました。京都と東京では、味つけはもちろん、料理道具まで違うのだそうです。また、予約客だけしかとらないようなこだわりの料亭以外にも、旅館や結婚式場など一度のたくさんのお客様にお料理を提供する職場も経験。そのときどきに素早く対応できる方法を身に付けました。

多くの経験を通じ「いろいろなやり方があり、その中から自分に合うものを取り入れて行こう」と思うようになった岩辺さん。ついに念願だった自分のお店を持つために、伊勢崎に帰ってきました。

夢だった自分のお店の名は「大喜」。お客様に大いに喜んでもらいたい、と願ってつけた名前です。「だいき」といいますが、中には「おおよろこび」と読むお客様もいらっしゃるのだとか。そんなところからも話題が広がっていく和やかな雰囲気も人気の秘訣。　大々的な広告は打っていない、という「大喜」さん。お客様のほとんどは口コミで訪れます。「友だちに薦められて」「宴会で来たら美味しかったから」「雰囲気が気に入って」、さまざまな理由でファンが集まってきます。

「大喜」の特徴は、鮮度のよい魚料理。自ら市場に出かけて、これは、と思うものを仕入れてくるのだそうです。ですから「大喜」に行ったら、ボードに書かれた「今日のおすすめ」は必見。岩辺さんが自信を持っておすすめする「おいしい魚介類」が並びます。コース料理をお願いするときの賢い方法は、食べたいものと予算を伝えて「あとはおまかせ」。岩辺さんの眼鏡にかなった素材を自慢の腕前で仕上げてくれます。もちろん飲み放題も可能。おいしいお料理と、米処・新潟の日本酒で、男性・女性共に喜ばれること間違いなし。幹事さんは知っておくと、株があがります！

ランチは、充実のお料理がリーズナブルな価格でいただける「花御膳」や「刺身御膳」が人気。「いろんなお料理を少しずつ食べたい」という女性の心に応えるメニューには、奥さまのアイデアが盛り込まれています。実は奥さまは洋食の料理人。「職場で知り合ったから、今もお店に出ると仲間という意識が強い。ラブラブって感じじゃなくて」と朗らかに笑う奥さまと「（奥さまの）存在に助けられています」とはにかみながら答える岩辺さん。二人の息の合ったコンビで、今日もお客様の感動を呼ぶお料理を生みだしています。